症状

副鼻腔嚢胞は、経過がきわめてゆっくりで、自覚症状が現れるのは病気が相当進行してからになります。術後性の上顎嚢胞は感染によって急速に発症する事が多いです。
初期症状として、前頭部の頭痛、鼻周囲の鈍痛、眼の周囲の痛みを感じる事が多いです。その他に、嚢胞が眼の付近まで膨隆して鼻涙管を圧迫する事で流涙をきたします。また、眼球突出を引き起こしたり、眼球を下外方へ転位させ、複視、視力障害、失明を生じさせたり、眼球運動を障害したりする事もあります。鼻周囲の病変はあまり有りませんが、嚢胞が無い側への弯曲があったり、鼻の腫脹が見られたりします。
術後性上顎嚢胞では、頬の腫脹、疼痛、鼻閉、歯肉腫脹、歯の痛み、ときに眼球突出が起こります。

原因

副鼻腔嚢胞は、炎症、外傷、鼻・副鼻腔手術後、解剖異常、腫瘍などで起こります。
鼻・副鼻腔の手術を行った事がある術後性のものが最も多く、全体の2/3を占めます。その他1/3は原因不明とされています。
術後性の上顎嚢胞がもっとも発症頻度が高く、手術後15~20年後に上顎洞内に嚢胞が発生するものを指します。その発生原因は、粘膜遺残説、鼻腔粘膜侵入説、歯根のう胞説などさまざまな説が言われていますが、病的な粘膜でおおわれた閉鎖腔ができ拡大する事で発症しているとされます。
まれな疾患として前頭洞気嚢胞があります。その発症原因は外傷、胎生期の異常などとする人もいますが、前頭洞の異常な気泡化によるものと考えられています。

治療法

副鼻腔嚢胞の1/3が原因不明であるので予防が難しい部分もありますが、2/3は鼻・副鼻腔の手術後に起こる為、鼻・副鼻腔の手術を行った事がある方は定期的に耳鼻咽喉科に通院するなどの対応により発症する事を防ぐ事が出来ます。
また、原因の一つとして外傷がある為、鼻・副鼻腔の周囲に傷を負うような行動を避ける事も予防の一つとして挙げられます。
発症後の治療として、手術的治療が必要となります。術式によっては、顔面の皮膚に術創が残る事や口唇や頬の部分にしびれや違和感が残る事があります。最近では、内視鏡下鼻副鼻腔手術によるアプローチが行われる事が多くなっています。緊急手術を要するのは視力障害をきたしたものですが、発症後1週間以内であれば手術によって改善する可能性があります。