網膜芽細胞腫とは
網膜芽細胞腫は、乳幼児に多くみられる疾患で、出生児1万5000人から1万6000人に1人の割合で起こります。目の奥に広がるフィルムの役割をもつ網膜に、悪性腫瘍が発生します。そのため、視力が低下しますが、乳幼児が視力低下を訴えることはなく、赤ちゃんの眼が白っぽく見える(白色瞳孔)、目つきがおかしい(斜視)、目が揺れる(眼振)などで保護者が気づくことが多いです。
網膜芽細胞腫の症状
網膜芽細胞腫の代表的な症状として、視力の低下が挙げられます。しかし、網膜芽細胞腫ができるのは乳幼児に多いため、視力の低下が起こっていても患者がその症状を伝えることが困難です。そのため、周りの大人が発見することが多いのですが、発見できるところまで症状が進んでからの発見となります。例えば、斜視と言って、黒目が右と左を向いていたり、光が腫瘍に反射することにより、目が白く光って見えるような症状が現れます。ちょうど、夜になると動物の目が光って見えるのと、同じように見えます。
これらの症状を見つけたら、早めに病院を受診することが大切です。
網膜芽細胞腫の原因
網膜芽細胞ががん化する原因はわかっていません。しかし、RB1遺伝子という遺伝子の異常、または変異が関係していることはわかっています。網膜芽細胞腫の患者のうち、約40%は遺伝性だと言われています。遺伝性の場合でも、ほとんどの場合は両親に網膜芽細胞腫は認められません。この場合、卵子、または精子が、受精前から遺伝子の異常があったことになります。網膜芽細胞腫は、両目に発生する両眼性と、片目に発生する片眼性があります。両眼性の場合は、100%の割合で遺伝し、片眼性の場合は、10から15%が遺伝すると言われています。RB1遺伝子の異常は、治療が終了してかなりの年数が経ってから、別の悪性腫瘍を引き起こす可能性が高いこともわかっているので、注意が必要です。
網膜芽細胞腫の治療法
網膜芽細胞は、腫瘍がまだ小さいうちは視力が十分に残っています。その場合は、眼球を摘出せずに、レーザー光凝固や冷凍凝固などの局所治療を行います。症状によっては、抗がん薬や放射線治療で腫瘍を小さくした後に、局所治療を行う場合もあります。症状が進行している場合には、眼球を摘出します。そして抗がん薬、放射線治療などを行います。両眼性の場合には、進行の早い方だけ摘出し、進行の遅い方の目は、できる限り残すようにするのが一般的です。
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