症状

乳幼児痔瘻の症状は、最初に肛門周囲膿瘍という肛門の周りが腫れて皮膚が真っ赤になり、おできのような膿瘍ができることが始まりになります。膿瘍は膿がたまっている状態なのでさわるだけでも赤ちゃんはひどく痛がります。

そして、排便とは関係なくいつもズキズキと痛むので赤ちゃんは常に不機嫌になり、ぐずるようになります。また、38℃以上の高熱や排便障害を伴う場合もあります。悪化すると細菌が繁殖してピンポン玉くらいの大きさまで腫れあがることもあり、膿瘍の表面の一部が破れて膿が出てきます。膿が出ると発熱が下がり、痛みも落ち着きます。

乳幼児痔瘻になる場合は、肛門周囲膿瘍が良くなったり悪くなったりと繰り返す場合が多くみられます。

原因

乳幼児痔瘻は肛門周囲膿瘍が原因で起こります。肛門周囲膿瘍の原因は、便の中に含まれている大腸菌や腸内細菌などで、下痢をした時の便汁が肛門の中の歯状線にある小さなくぼみ(肛門陰窩)にしみ込むと、便のなかの菌が感染をして炎症が起こります。

その炎症が広がって膿をもった状態の膿瘍になります。風邪や下痢などの体の抵抗力が弱っているときに起こりやすくなります。また、オムツカブレによって皮膚からの菌の感染も考えられています。

肛門周囲膿瘍の膿瘍が自然に破れたり、治療で切開することで排膿をします。そのために、炎症を起こしていた肛門陰窩と排膿された膿瘍部分の穴がつながりトンネルとなる管が形成されて乳幼児痔瘻となります。

治療法

乳幼児痔瘻は、赤ちゃんが1歳から2歳になると自然に治る場合が多いので、症状の経過を見ながら必要となる治療を行います。膿瘍の膿が出ている場合は、指で押して膿を外に出すようにします。膿瘍が腫れあがって膿が出ない場合は、病院で切開してもらい排膿を行います。

また、抗生物質を服用する場合もありますが薬によって赤ちゃんの便が軟らかくなり、症状が悪化する場合もあるので注意が必要になります。乳幼児痔瘻が悪化した場合には成人の痔瘻と同じように手術を行う必要があります。

乳幼児痔瘻の予防には、オムツ交換のたびに温水でお尻をよく洗い十分に乾燥させてオムツカブレを防ぎ、常に清潔にすることを心がけます。