胃憩室/十二指腸憩室の症状

胃、十二指腸憩室は胃や十二指腸の一部が袋のように飛び出している状態をいいます。胃や十二指腸の内部の圧力が増加したとき、内壁の弱い部分が外側に突出します。胃の入り口近くや十二指腸の総胆管や膵管の開口部にあたるファーター乳頭付近は筋層が薄いため憩室の好発部位とされています。
胃、十二指腸憩室はたいていの場合は無症状です。大きな憩室になると食後に心窩部膨満感というみぞおち付近の膨満感を感じたり、嘔吐、胸やけなどの症状が出ることもあります。稀に憩室炎や潰瘍などがおこり出血することもありますし、穿孔を起こした場合には胃や十二指腸の消化液を含む内容物が腹腔に流出するため、腹膜炎など厳しい症状になってしまう場合もあります。

胃憩室/十二指腸憩室の原因

胃、十二指腸憩室の原因は胃、十二指腸の筋層が薄くて弱い部分で、圧力もかかりやすい部分に好発し、弱いところが内部の圧力により外側に飛び出して憩室になるといわれています。
胃では入り口近くの噴門部後壁の発生が75~80%と圧倒的に多く、これは良い部分に発症する典型例です。次に多い幽門部底部は周囲の臓器の炎症などにより憩室が発生すると言われています。
十二指腸では下行脚が70~80%と圧倒的に多く、その大部分がファーター乳頭という腸壁が脆弱な部位に発生します。
胃憩室は発生頻度は低く、ほとんどみられませんが、十二指腸憩室は比較的よくある症状で、5~10%の人に見られるといわれており、加齢とともに増えるのも特徴です。

胃憩室/十二指腸憩室の治療法

胃、十二指腸憩室は胃や十二指腸の弱い部分が内部の圧力で飛び出したもので、予防は難しいところがあります。暴飲暴食を避け、食物繊維をしっかりと摂るという憩室一般に言われることくらいしか予防法はありません。

胃、十二指腸憩室はたいていは無症状で予後も良好なので特に対応は必要ないのですが、憩室炎や穿孔を起こすと重い症状になるので、この場合は積極的な治療が必要になります。憩室炎の場合は胃酸分泌抑制剤を使用します。胃、十二指腸穿孔の場合には命にかかわるような重篤な症状が発生しますので、緊急に手術を行うことになります。ファーター乳頭の付近に憩室ができると、胆汁の流れを悪くして胆管炎が起こることがあります。この場合は胆汁をさらさらにする薬を使用します。