先天性風疹症候群とは
風疹に免疫のない母親が妊娠初期に風疹にかかると、風疹ウイルスが胎児に感染することがあります。 感染により出生児の心臓、目、耳などに障害を引き起こし、後遺症を残す場合があります。これらを総称して「先天性風疹症候群」といいます。 妊娠初期であればあるほど、発症するリスクは高くなるといわれています。
先天性風疹症候群の症状
母親が風疹に罹った場合、妊娠1ヶ月で30から50%、2ヶ月で25%、3ヶ月で8%、全妊娠期間の最初の3分の1の期間全体で20%程度の頻度で先天性風疹症候群が発症するとされています。症状が出ていない不顕性感染でも発症することがあります。先天性風疹症候群の3大症状として、
・心室中隔欠損、心房中隔欠損などの先天性心疾患
・高度難聴
・白内障
があります。
それ以外にも、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、網膜症、血小板の減少、小眼球(眼が小さいため視力が低下し、重症の場合は全盲となる)、肝脾腫(肝臓や脾臓が肥大する)などさまざまな症状を引き起こすことがあります。患児は将来、糖尿病にもなりやすくなります。
先天性風疹症候群の原因
先天性風疹症候群は、風疹ウイルスの免疫のない女性が妊娠初期に風疹罹患し、胎児にも風疹ウイルスが感染することが原因で発症します。風疹ウイルスは、成人の約15%に不顕性感染があるため、母親が無症状であっても先天性風疹症候群が発生する可能性があるので注意が必要です。風疹は主に春に流行するため、感染した胎児は秋から冬にかけて生まれることが多いと言われています。
予防接種などにより、風疹の全国規模での流行は1993年を最後に認められていません。そのため、先天性風疹症候群の発生数も非常に減少しましたが常に注意が必要です。
先天性風疹症候群の治療法
先天性風疹症候群を予防するには、母親が妊娠中に風疹ウイルスに感染しないようにすることが大切です。過去に風疹に罹患したことがない人、風疹ワクチンを接種していない人は、抗体を持っていない可能性があります。また、既往歴があったり、風疹ワクチンを1回接種していたりする人でも、抗体が低下している場合もあります。
風疹ウイルスの抗体は風疹ワクチンで得ることができますが妊娠中の接種はできません。したがって、妊娠可能な女性は抗体検査を実施したり、あらかじめ風疹ワクチンを接種したりしておくことが望ましいです。
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