「肺気胸って何?」と聞かれて即答できる人は、そう多くはいないでしょう。聞いたことはあるけれど、何だかよく分からないという人もいるかもしれませんね。
今回は、この気胸という病気について医師に解説してもらいましょう。

そもそも「肺気胸」ってどんな病気?

「肺気胸」は、正確には「自然気胸」もしくは「気胸」と呼ばれています。人間の呼吸器官である肺の周囲にある胸膜に穴があいて、本来空気を含んで膨れているはずの肺が部分的にしぼんでしまったものをいいます。

具体的にいうと、肺の周囲は直接守っている内側の胸膜、胸膜腔と呼ばれる空間、そして壁側胸膜と呼ばれる外側の胸膜からなっています。この胸膜腔の圧力の変化によって肺は呼吸のたびに膨らんだり、縮んだりを繰り返しています。この膜に穴が開いてしまうと、この圧力変化がうまくいかなくなり、肺の一部が膨らめなくなってしまうのです。

やせ型の男性に起こりやすい「特発性気胸」

この気胸には、いくつかの種類があります。
一つは「特発性気胸」で、一番多いものです。やせ型で長身の若い男性に起こりやすいとされ、芸能人でもかかったことのある人がいます。

やせ型の男性に起きやすい原因としては、この部分にのう胞と呼ばれる小さな袋状の構造物ができやすいためと考えられています。ではなぜこのようなのう胞ができやすいのかについては、はっきりした理由は分かっていないようです。

呼吸困難に至る「緊張性気胸」

また、特発性気胸ほど頻度は高くはありませんが、医学的に重要な気胸として「緊張性気胸」という病気があります。
これは、胸膜腔に空気がどんどん入り込み、肺が膨らめなくなって呼吸ができなくなる病気です。一刻も早く治療をしないと死に至る可能性のある非常に重篤な病気のため、疑ったら一刻も早く救急車を呼んで医療機関を受診することが大切です。

主な症状と治療法は?

気胸の症状として典型的なものは、いきなり起こる胸痛と息切れです。特発性気胸では命を失うことはまずありませんが、緊張性気胸では血圧が下がり頻脈、チアノーゼを呈するようになるため、早急の処置を要します。

また、特発性気胸の治療法としては、気胸の程度が軽い場合は安静にして自然治癒を目指します。胸膜にあいた穴が小さければ、比較的速やかに治る場合があります。一方で中等度以上の場合には、特別な処置が必要になります。身体の表面から穴をあけ、胸膜腔まで管を通して空気を排出させるという手術を行うこともあります。

医師からのアドバイス

気胸は突然起こるものです。ほかの多くの病気とは異なり、生活上の心がけで防止することはできません。また、再発しやすい病気ともいわれているので、おかしいと思ったら病院を受診し、胸部写真など必要な検査を受けるようにしてくださいね。

(監修:Doctors Me 医師)