子どもをもつお母さんのほとんどは、「熱性けいれん」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。実はこのけいれん、日本人では10人から15人に一人の子どもは経験するという、かなりよくある病気なんです。多くの場合、後遺症を起こさずに状態はおさまり、熱性けいれんを起こした子どもの7割は、発作は一生に一回のみで繰り返すことはないといわれています。

今回はこの熱性けいれんについて、医師に詳しく解説してもらいましょう。

そもそも「熱性けいれん」とは?

熱性けいれんの定義は、「38度以上の発熱に伴って、生後6カ月から6歳の乳幼児期に起こるけいれん発作を伴う病態で、ほかにけいれん発作の原因となる異常がないもの」といわれています。

例えば、何らかの代謝異常や脳炎、脳症などがあり、それがけいれん発作の原因となりうるものは、発熱時にけいれんを起こす症状があったとしても、熱性けいれんとは呼ばれません。

けいれんの原因と症状は?

熱性けいれんを伴う発熱の原因となる病原体は、A型インフルエンザウイルスエンテロウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型(突発性発疹の原因となるウイルス)などがよく知られています。

また、このけいれんは、39度以上の高熱12時間以内に一気に上昇してでた場合に特に起こりやすいといわれています。そして、もっとも典型的な場合は、意識を失い、全身が強直するのとガタガタと痙攣するのを交互に繰り返す、全身性の強直間代けいれんを起こし、顔が青白くなるチアノーゼを呈するとされています。数分以内におさまることが多いとされます。

こういった典型的な発作(単純発作という)の場合は、繰り返しても脳に後遺症を残すということはないので、安心して大丈夫です。これとは異なる発作、例えば時間が15分以上も続いたり、24時間以内に繰り返したりといった場合は、小児神経の専門医に相談する必要があります。

子どもが熱性けいれんを起こしたら…

もし、子どもが熱性けいれんを起こしても、慌てることはありません。ほとんどは数分で止まり、命にかかわることはまずありません。以下のようなことに注意して、冷静に対処しましょう。

・着ている洋服を緩めて、楽にしてあげる
・吐いてしまうことがあるため、吐いたものでのどを詰まらせないように、横向きに寝かせる
しっかり状態を観察する。けいれんの持続時間を時計できちんと確認しましょう。発作が5分以上続いたり、繰り返したり、全身の発作ではないなど、通常と異なるときは迷わずに救急車を呼びましょう。

舌を噛むことなどを心配し、スプーンや箸を口の中に入れる方がいますが、これはかえって危ないのでやめましょう。

医師からのアドバイス

熱性けいれんは、対応法さえ知っておけばさほど恐ろしい病気ではありません。頻度の高い病気だからこそ、しっかり知って、いざという時に備えておきたいですね。

(監修:Doctors Me 医師)