熱性けいれんの症状

熱性痙攣は、発熱をしてから、24時間以内に痙攣を生じることが多いです。体温の急激な上昇時に生じます。
ほとんどの場合、強直性(手足を伸ばして、全身を突っ張らせる、もしくは体を曲げて強く固まる)か、間代性(ほぼ規則的にガクガクと激しく震えるなどの、一般的な痙攣のイメージ)の全身痙攣を生じます。痙攣発作中は意識が無くなります。通常は数分で発作は消失し、意識の回復もすみやかです。意識が戻ると、少しぼーっとしていることも多いですが、元気にしていることも多く、この場合は治療の必要もなく、心配はいりません。まれに、10分以上痙攣が続くことや、痙攣が治まった後、24時間以内にまた痙攣を繰り返す、片側だけに起こるなどの場合もあり、これらの場合は薬を使用するなど治療が必要です。6歳以降は、熱性痙攣をおこすことはほぼ無くなります。

熱性けいれんの原因

38度以上の発熱に伴い、通常は発熱から24時間以内に生じます。急激な体温上昇が原因です。
6か月以上、6歳未満の乳幼児に生じ、6歳以降の発症はほとんどありません。1歳未満で熱性痙攣を発症すると、その後6歳になるまで発症を繰り返す傾向があります。また、親に熱性痙攣の既往があると、発症しやすくなります。発熱に伴う痙攣であっても、中には熱性痙攣ではなく、別の病気や異常が原因で痙攣発作を起こしている場合があります。血液中の電解質(ミネラル分)のバランスが崩れたり、低血糖(当分が少なくなる)になっていたり、細菌感染症により痙攣が生じている場合があります。これらは熱性痙攣とは言いません。また、意識障害や嘔吐が治まらずに続く場合、髄膜炎や脳炎を起こしている場合があります。痙攣発作が純粋に熱が原因でなく、これらのような異常がある場合、治療が必要です。

熱性けいれんの予防/治療法

熱性けいれんは、急激に高熱になると起こるため、一般的な感染対策が予防となります。手洗いやうがい、加湿などです。
熱性痙攣の患者の60%は1回、30%は2回、9%は3回、再発すると言われています。通常は6歳までに自然に消失し、特に後遺症も残さないため、再発したとしても治療の必要はなく、心配もいりません。ただし、1回の痙攣が15分以上続いた場合や、2回以上熱性痙攣を繰り返しており、片側だった、親にも熱性痙攣の既往がある、発作前にしびれや麻痺などの神経学的異常があった、発達遅滞がある、などが2つ以上当てはまる場合、短期間に発作が頻回に起きた場合は、予防的にジアゼパムという成分(抗痙攣薬)の入った坐薬を使用して痙攣を予防します。
万が一自宅で熱性痙攣を再発した場合、衣服をゆるめ、静かに横にして様子を見ましょう。痙攣を抑える坐薬を医師にもらっている場合は、挿入します。5分経っても痙攣が治まらない場合は、救急受診をしましょう。痙攣中に、舌を噛まないように口の中にタオルや箸などを挿入するのは、飲み込んでしまったり、怪我の原因になるのでやめましょう。舌を噛むことはあまりなく、かえって異物を飲みこむことの方が危険です。もし嘔吐した場合は、顔を横に向けて気管に嘔吐物が入って窒息するのを防ぎましょう。