百日咳という病気を知っていますか?その名の通り長期間にわたってしつこい咳の症状を起こす感染症です。

以前は子どもの病気と思われていましたが、最近では大人がかかることも多くなっています。大人の百日咳とはどのようなものなのでしょうか?

今回は、大人の百日咳について、医師に聞きました。

そもそも百日咳って?

百日咳は、咳など患者の飛沫に含まれる菌を吸うことで感染します。小さい子どもの場合、ひどい咳と呼吸困難を起こし、死亡することもある病気です。世界では、まだまだ百日咳で命を落とす子どもが多くいます。

現在日本では百日咳に対するワクチンを接種することがすすめられています。その成果もあってか、百日咳が重症化する子どもは減りました。百日咳ワクチンの入った混合ワクチンは、3~7歳6ヵ月の前日までに、3~8週間の間隔をあけて3回、終了後、1~1年半後に追加接種を1回行います。

しかしワクチン接種後、徐々に病気と戦うための抗体は減っていきます。これを抗体価の低下といいます。抗体価はワクチン接種後3~5年ほどで低下し始め、10~12年で予防効果がなくなってしまうといわれています。

つまり、大人になると抗体価が低下するので、百日咳に感染してしまうことがあるのです。

大人の百日咳はわかりにくい?

百日咳は、菌の感染後、7~10日程度の潜伏期間を経て発症します。
大人の場合も症状として咳が出ますが、一般的な風邪と見分けるのが非常に難しいです。咳が長引くことによって、はじめて百日咳と疑われることもあります。血液検査でも、子どもがかかった場合に見られる、百日咳に特徴的なリンパ球の増加がみられないことが多いです。

大人の百日咳は「咳が長く続く」こと以外、風邪と見分けるのが難しいです。
しかし、百日咳は人から感染するため、感染者がいると周りの人に感染する可能性が高くなります。自分の咳が長引くとき、まわりで長引く咳をしている家族や職場の人がいれば、百日咳にかかっている可能性も考えて、検査や治療を受けることが大切です。

大人の百日咳、治療と予防

大人の百日咳の治療は、基本的に長期間のマクロライド系など抗生剤の内服を行います。また、咳を鎮める薬を使ったり、対症療法をしたりすることで咳の症状を和らげます。

部屋を暖かくし、加湿器や濡れタオルなどで加湿をしっかりすることも、咳の症状に対して効果的です。

百日咳にかからないようにするには、手洗い・うがいを行いましょう。これは子どもも大人も変わりません。マスクをすることも効果的です。
加えて、ワクチンの抗体価が低下する時期に改めてワクチンを打つことも予防方法のひとつです。

【医師からのアドバイス】

大人の百日咳は重症化することはありませんが、他の大人にうつしてしまうおそれがあります。
まだワクチンを受けてない乳児にうつしてしまうと、重篤な症状を引き起こすこともあります。自分や周りの人を守るためにも、予防や対策をとるようにするといいですね。

(監修:Doctors Me 医師)