妊娠中のよくある症状に「眠気」があります。人にもよりますが、眠気が強い人の場合には、意識を失いそうなほどの眠気に襲われるということも。

そんな妊娠中の眠気はなぜ起きるのでしょうか。

今回は妊娠中の眠気についてまとめます。

要チェック項目


□妊娠初期の眠気の原因は、プロゲステロンとアロプロゲステン
□妊娠初期の眠気はだいたい妊娠16週頃までには落ち着くことが多い
□妊娠中期~後期の眠気は身体の負担が増し疲れることなども原因す

妊娠中の眠気の原因

妊娠すると女性の身体は大きく変わり始めます。目には見えませんが、体内ではホルモンの分泌も大きく変わってきます。そのせいで特に妊娠初期はつわりなど身体に影響が現れることも多いのです。

眠気もその一つです。妊娠に関わる体内のホルモンはいくつかありますが、眠気につながるホルモンの一つとしてプロゲステロンが挙げられます。

プロゲステロン


プロゲステロン(黄体ホルモン)は普段は排卵後に分泌されるホルモンで、女性の身体を妊娠にむけて整える役割を果たしています。

子宮内膜を厚くしたり、体温を上げたり、乳腺を発達させたりします。そして妊娠成立しなければ、黄体ホルモンは減少し、月経となります。

しかし妊娠が成立するとプロゲステロンは分泌され続けます。分泌量が増え、妊娠を維持するように働きながら胎盤を作っていきます。

妊娠14週頃になって胎盤が完成すると、今度は胎盤からプロゲステロンが分泌されるようになります。そしてその分泌量は妊娠8~9カ月頃にピークを迎え、出産に向けてゆるやかに減少していくと言われています。

また、産後は急速に分泌量が低下するそうです。

プロゲステロンの働きのおかげで、妊娠を維持することもできますが、その一方で肌荒れや便秘なども引き起こします。眠気もこのプロゲステロンの分泌によるものだと言われています。

排卵後~月経までに良く見られる生理前症候群(PMS)の症状にもこのホルモンが関係していると言われています。

アロプロゲステロン


また、プロゲステンが分解することでできるアロプロゲステロンというホルモンも関係があると言われています。このアロプロゲステロンは睡眠薬などと同等の強い催眠作用があるようです。

このため、妊娠初期は眠気を強く感じる場合があると言われています。

妊娠初期の眠気

上記のように妊娠初期の眠気の原因は、女性ホルモンであるプロゲステロンとアロプロゲステロンのせいではないかと言われています。

妊娠初期の眠気はよくある症状で「眠りつわり」などと呼ばれることもあります。夜にしっかり寝たはずなのに昼も眠い、気を失いそうなほどの眠気に襲われるなど、当人にとってはつらいものです。

他にも妊娠初期の眠りつわりには以下のような症状があると言われています。
・倦怠感(身体がだるい)
・ぼんやりする
・記憶力や判断力の低下

これらの症状も現れる場合もありますので、妊娠初期には車の運転などにも注意が必要です。

身体を休ませる


このように、症状が出ている方にしてみればとても迷惑で不快な症状ではありますが、これは妊娠した身体を休ませようとしているためとも考えられます。

妊娠初期は身体の変化も大きく、知らないうちに色々な負担がかかります。眠気を催すことで、少しでも身体を休ませるようにと、指示を出しているとも考えられるのです。

そのため、もし眠れるような余裕があるのでしたら、無理せずに眠るのが一番です。

妊娠初期の眠気はいつからいつまで?

妊娠初期の眠気はいつ頃から始まり、いつまで続くのでしょうか。

眠気の始まり


妊娠初期症状の一つとして眠気を感じることが挙げられます。ですので、早い人では妊娠に気が付く前や、妊娠超初期と言われる3週頃から始まっているようです。

眠気の終わり


眠気につらい思いをしている場合にはいつ頃終わるのかがとても気になりますね。個人差がありますが多くの人が言うには、妊娠16週前後には落ち着いた方が多いようです。

妊娠16週とは、妊娠5カ月の安定期に入る頃です。この頃には胎盤も完成して体調も安定してくる頃です。

ただし、人によっては妊娠中期まで眠かった場合や、妊娠中ずっと眠気に悩まされたという人もいます。もちろん眠気をあまり感じない人もいますし、強い人もいます。

個人差がありますので終わりの時期も一概には言えません。

妊娠中期~後期の眠気

これまで妊娠初期の眠気について上述しましたが、妊娠中期や後期の眠気もあるようです。これは妊娠初期のホルモンの影響とは少し違う原因だと言われています。

妊娠中期の眠気


妊娠中期と言われる妊娠5カ月~7カ月頃にも眠気を感じる妊婦さんがいます。原因として考えられるのはいくつかあります。

まずは、ホルモンの影響が続いている場合です。プロゲステロンなどの影響をまだ受けていることが考えられます。

次に胎児が大きくなってくることが考えられます。おなかも大きくなりますし、妊婦の身体への負担も増えてきます。そのため身体に疲れがたまり、眠気を感じるいうことが考えられます。

また、血流量の増加も原因ではないかと言われています。胎児に送る分も含め、血流が増加しますので貧血になりやすくなります。そのため貧血による疲労やだるさが眠気につながっているのではと言われています。

その他にもつわりが終わって食べ過ぎてしまうことで眠気を催すなどと言われています。

妊娠後期の眠気


妊娠後期と言われる妊娠8カ月~10カ月の眠気はなぜ起こるのでしょう。

一つは出産も近くなってくることで、胎児も大きくなり、母体への負担が大きくなっているからと考えられています。この頃には妊婦の体重も増え、動くのも大変になります。

胎児も大きくなってきていますし、胎動もあります。そのため体力が消耗し、眠くなると言われています。

また、臨月に入ってくると、ホルモンが変わってくることも考えられます。これまで分泌量が多かったプロゲステロンが減り、エストロゲン(卵胞ホルモン)が増えてきます。

エストロゲンには眠りを抑制する効果があると言われています。そのため、夜の睡眠が浅かったり、よく眠れなかったりすることが。夜にしっかり眠れないせいで、日中に眠気を感じると考えられます。

妊娠中の眠気への対処法

眠い時には眠ったり休めたりするのが一番ではありますが、仕事をしていたりするとなかなか休んでばかりもいられません。ではそのような場合はどのように眠気に対処するのがいいのでしょう。

具体的な対策としては
・少し身体を動かしてみる(少し歩く、ストレッチなど)
・飲み物を飲む(冷たいものやハーブティなど)
・おしゃべり(声を出す)
・ガムを噛む(噛むことで脳を覚醒させる効果があると言われています)
・ツボを押す(眠気に効くツボがいくつかあります)
・夜にしっかり寝る(夜にきちんと寝ることで昼間の眠気の軽減を目指します)

などの対策があります。少し環境を変えたり、身体を動かしたり、気分を変えたりすることで眠気を軽減できることもあります。もちろん寝られる時には眠るのが一番の対策だということも覚えておきましょう。

妊娠中の眠気は身体のサイン

仕事をしていたりすると、昼間の眠気は本当に困りますね。

しかし妊娠中は身体も大事な時期です。ゆっくり休むように身体がサインを出しているのかもしれません。

あまり無理をせず、休める時にはゆっくり休むのが、ママのためにも赤ちゃんのためにも良いでしょう。

(監修:Doctors Me 医師)