受験シーズン真っ只中になり、受験生たちは最後の追い込みで忙しく過ごしていることでしょう。

 

受験勉強に必死になっている子供たちのために、親としては何とか協力してあげたい!と思っている方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、受験生のための「胃腸にやさしい夜食」と、試験当日に会場に持っていける「脳に早く糖が届く手作りおやつ」について、管理栄養士の横川さんに教えていただきました。

 

 

受験生の夜食にはどんなものが適しているの?

 

受験生にとって夜食は必ずしも必要なわけではありませんが、お腹が減っていては勉強に集中しにくいもの。そんなときは、夜食を活用して受験勉強をしているお子さんを応援してあげましょう。

 

夜食に食べるなら以下を意識したものを、就寝する約2〜3時間前に食べるのがおすすめです。

 

脳のエネルギー源「糖質」を含むものを中心に

勉強で疲れている子も多いため、エネルギー源となる糖質は受験生の味方です。

 

ごはんであれば、雑穀米などにすると栄養価がアップし、糖質を効率よくエネルギー源にするために必要なビタミンも摂りやすくなります。またその際は、あわやひえなど消化のよいものを選ぶとよいでしょう。

 

消化がしやすく、胃腸にやさしいもの

夜食には、消化が早く胃腸に負担がかかりにくいメニューを選びましょう。

 

食物が胃に滞留する時間は、脂質とタンパク質は長く、炭水化物はそれより短いという特徴があります。夜遅くに消化に時間がかかる脂っこいものを食べると、胃腸に負担がかかってしまいます。

 

すると、胃がもたれて翌朝の食欲に影響が出たり、睡眠不足の原因となったりして、翌日の集中力を低下させることも考えられます。

 

食感がある食材を適度にプラス!

食感がある野菜やきのこ類を利用して、よく噛めるように工夫をしましょう。よく噛むことは、食べ過ぎの予防はもちろん、脳の血流をアップさせて頭をスッキリさせることにも役立ちます。

 

体を温めてくれるメニュー

夜遅くまでの受験勉強は、体温リズムが乱れ体調を崩しやすくなります。そのため、夜食には体を温めてくれるメニューを選びましょう。

 

体を温めて血液循環をよくすることは、免疫力を高め、風邪などの予防にもつながります。

 

具体的には、「卵入り雑炊」など適度に野菜の入ったものがおすすめです。この他にも、おかゆ・雑炊・うどん・おにぎり・味噌汁・スープなどもよいですね。

 

夜食メニューで注意すること

お菓子系のメニューではなく、食事の延長線上にあるものを基本にしたメニューを考えるとよいでしょう。お菓子は腹持ちが悪いだけでなく、肥満の原因にもなります。

 

また、消化がよいからといって食べ過ぎるのも勉強の妨げになってしまいます。消化器官である胃に血液が集中し、脳に送られるはずの血液量が減ることで脳の活動が弱まり、眠気につながってしまうからです。

 

1時間の勉強で使うカロリーは、約80〜100kcalといわれています。勉強2〜3時間分だと考えると、約200〜300kcalを目安とした、小腹を満たす程度と考えるのがよいでしょう。

 

 

胃腸にやさしい夜食レシピ 

【かぶと鮭フレークのあったか雑炊】

 

<材料(1人分)>

・ごはん:軽く茶碗に1杯(約80g)

・かぶの根:1つ

・だし汁:200ml

・卵:1/2個

・みりん:小さじ1

・醤油:小さじ1

・鮭フレーク:大さじ1

 

<トッピング>

・三つ葉:適量

 

<作り方> 

①かぶは8等分に、三つ葉は食べやすい大きさに切る。

②鍋にだし汁を入れ沸騰してきたら、かぶ・ごはん・みりん・醤油・鮭フレークを加え、かぶがやわらかくなるまで弱火で8〜10分ほど煮る。

③再び沸騰させ、溶き卵を加え、お好みの状態まで卵に火を通す。

④器に盛って、お好みで三つ葉をトッピングして出来上がり!

 

<ポイント>

かぶは過度に大きく切り、やわらかく煮過ぎないように注意しましょう。カロリーは、229kcalのメニューです。

 

 

試験前に食べるとよいのはどんなもの?

試験当日の朝ごはん

 

試験当日の朝ごはんでは、消化が悪い油ものは避けましょう。また、ごはんはパンよりもゆっくりと吸収・消化されるため、エネルギーとして長持ちします。パンよりもごはんがおすすめです。

 

おかずは、昔ながらの和定食のような大豆製品や卵、魚などにするとよいでしょう。卵黄や大豆製品からは記憶力を高めるのに役立つレシチンが、魚からは脳の発育や機能維持に関わっているDHAが摂れます。

 

受験のストレス対策として、デザートにビタミンCを含むキウイやイチゴなどを入れるのもおすすめです。栄養バランスが整った食事は、脳の働きをサポートするだけでなく、体調まで整えてくれます。

 

しかし、食事には即効性はないため、できるだけ日ごろからしっかり食べ、試験に備えておくようにしましょう。

 

試験直前のおやつ

 

試験直前の疲労回復や気分転換などのためには、脳にすばやく糖質が届く食べ物や飲み物がよいです。

 

糖質には、以下のような種類があります。

・単糖類(ブドウ糖、果物に含まれる果糖など)

・二糖類(砂糖など)

・多糖類(穀類やいも類などに含まれるデンプンなど)

 

これらの中で最も即効性が期待できる糖質は、単糖類です。単糖類は、これ以上消化する必要がないため吸収がよく、脳をすばやく働かせたいときや体が疲れたときなどにも、負担が少なくエネルギー補給ができます。

 

単糖類を手軽に摂れる代表的な食材には、はちみつや果物があります。バナナやレーズンなどは糖質が摂りやすいだけでなく、バナナは消化にやさしく、レーズンに含まれる鉄分は集中力を高めるとされています。

 

果物・はちみつ入りのスムージーや飲料も市販されていますので、利用してみるのもよいでしょう。

 

ただし、吸収が早い糖質の摂り過ぎは、急激に血糖値が上がり体に負担をかける可能性もあります。くれぐれも頻度や量には注意してください。

 

 

試験当日に会場に持っていける手作りおやつレシピ

【レーズンとくるみのコーンフレークチョコ】

 

<材料(1〜2人分)>直径2cm型おかずカップ:約6つ分 

・チョコレート:50g

・クルミ:10g

・レーズン:10g

・コーンフレーク

・牛乳:大さじ1

・ココア(無糖):大さじ1

 

<作り方>

①チョコレート、クルミを包丁で細かくする。

②耐熱ボウルにチョコレートを入れて湯煎で溶かす。

③ ②に細かくしたクルミとレーズン・コーンフレーク・牛乳・ココアを混ぜ、お好きな容器に入れて冷蔵庫で固める。

④チョコレートが固まったら出来上がり!

 

<ポイント>

2人分にした場合のカロリーは、1人分220kcalです。

 

レーズンを入れることで糖質の吸収アップが期待でき、チョコレートやココアに含まれるテオブロミンは記憶力や集中力を高めるとされています。 

 

 

最後に管理栄養士から一言 

 

夜食や間食は、勉強に煮詰まったときの気分転換にも役立ちます。上手に取り入れてお子さんの受験をサポートしてあげてくださいね。

 

参考資料

受験生をごはんで応援!合格賢脳レシピ80 / 篠原菊紀(監修)/ 法研(2016)

塾前ごはん 塾後ごはん―受験対策は食で決まり! / 森野眞由美(監修)/ 主婦と生活社(2006)

毒を出す食 ためる食[子ども編] こころとからだを丈夫にする42の法則 / 蓮村誠(著)/ PHP研究所(2016)

プロフィール

監修:栄養士 横川 仁美
食と健康・美容を繋ぐ「smile I you」代表。 お味噌汁レシピ研究家×薬機法に強いセールスライター。 管理栄養士を取得後、保健指導や重症化予防、ダイエットサポート、電話相談のカウンセリング等を通して、のべ2000人の方の食のアドバイスに携わる。現在はコラム執筆・監修、レシピ作成、オンラインでのダイエットカウンセリングを中心に活動。 薬機法・景品表示法・健康増進法の知識も生かしながらさまざまなライティング活動を行っている