A型肝炎の症状

A型肝炎に罹患すると約1ヵ月の潜伏期間を経て、発熱、全身倦怠感、吐気・嘔吐などの風邪の初期症状と類似した症状や、 黄疸、灰白色便などの肝臓病に特徴的な症状が1~2週間続きます。
触診や超音波検査において肝臓腫大がみられ、また、血液検査においては、肝臓機能の指標となるASTやALTなどが高数値を示すことから、肝細胞の破壊が認められ診断に至ります。
小児は軽快することが多く、成人は通常2~3ヵ月で自然治癒し、慢性化することはないとされています。
ただし、劇症化した場合には大部分の肝細胞が壊死し、死亡するケースも見られます。特に、高齢者は重症化しやすいので注意が必要です。

A型肝炎の原因

A型肝炎は、汚染された飲食物や手指、器具などを経由して便の中に排出されたウイルスが経口摂取されることにより感染し、発症します。
日本では、魚介類の生食、特に牡蠣による感染が多く、輸入野菜が原因となったケースも報告されています。以前は冬から春にかけての症例が多い傾向でしたが、近年においてはその限りではなくなってきました。国外の衛生状態の悪い土地では、生水や生氷、汚染された水で洗った生野菜やカットフルーツなどからも感染します。また、性行為によって感染する例もあります。
A型肝炎ウイルスの感染力はきわめて強く、罹患者数と居住環境の衛生状態には相関があるとされています。

A型肝炎の治療法

A型肝炎の予防法としては、手洗い励行などの一般予防法のほか、ワクチン接種による予防法もあります。流行地域への海外渡航を考えているならば、ワクチン接種を検討することが重要です。
飲食物からの感染予防としては、飲食物の十分な加熱、海外などの流行地では生水、氷、生肉、生野菜などを摂取しないことがあげられます。上下水道の整備されていない土地では、飲料水にはミネラルウォーターや沸騰させたものを用い、果物は傷みのない皮付きのものを自分でむいて食べます。