胆のう炎の症状

右季肋部(右肋骨の一番下のあたり)や心窩部(みぞおち)の痛み、またその部位の圧痛(押すと痛い)、筋性防御(腹腔内の炎症によって、その部分の腹膜が緊張して硬くなること)、吸気時の腹痛(Murphy sign(マルフィー徴候)、発熱が見られます。吐き気やおう吐をともうなう事もあります。また、検査の結果では、白血球数の増加、CRP(炎症を示すタンパク質)の上昇が見られます。CT、腹部エコー、MRIでの画像では、胆のう壁の肥厚、胆のうの腫大、胆のう周囲に体液が貯留している様子が見られます。重症では黄疸(白目や皮膚がビリルビンの沈着によって黄色くなること)が見られます。

急性胆管炎は、発熱、腹痛、黄疸が主な症状で、Charcot(シャルコー)3徴と呼ばれます。これに、意識障害、ショック(血圧が下がり、生命の危機にある状態)を伴うものはReynolds(レイノルズ)5徴と呼ばれます。血液検査では、ALP、γ‐GTPの上昇、白血球数、CRPの上昇が見られます。画像では、胆管の拡張や胆管結石(胆石)が見られます。

胆のう炎の原因

胆のう炎の9割は、胆石によって引き起こされます。胆石が胆管に蓄積し、閉塞する事で胆のうに胆汁が鬱滞し、細菌が感染して炎症が起こります。胆のう炎の原因になる菌には、大腸菌やクレブシエラなどのグラム陰性桿菌が主ですが、近年ではバクテロイデスなどの嫌気性菌やエンテロコックスなどグラム陽性菌が増加しています。胆石はコレステロールがもとに造られますから、暴飲暴食、肥満、脂質に偏った食事や運動不足が原因となります。胆汁の中のコレステロールが多すぎると、コレステロールが溶けずに固まってしまうためです。また逆に、低栄養状態でも胆石が引き起こされます。低栄養だと胆汁成分のビリルビンがカルシウムと結合しやすくなり、石になるためです。胆石を伴わない胆のう炎は、無胆石と呼ばれ、ごく稀に見られます。

原因は長期の絶食や、何らかの原因による胆管閉塞、糖尿病、動脈硬化症、膠原病(自己免疫疾患)、肝動脈塞栓術(TAE)後の胆嚢虚血(血行障害)などが知られています。他の原因には、寄生虫などの感染、アレルギー反応等があります。膵臓から分泌される酵素の逆流によっても引き起こされます。最近は、喫煙の関連性も指摘されています。

胆のう炎の予防/治療法

胆のう炎の原因の9割が胆石によるものですから、胆石の予防をしましょう。胆石は、高コレステロール血症によって引き起こされやすくなります。暴飲暴食を控え、糖分、脂質を摂りすぎないようバランスの良い食事をとりましょう。脂肪の少ない鶏肉、魚といったタンパク質と、野菜を沢山取り入れて食物繊維を豊富に摂取することが望ましいです。週に3回程度でもよいので1回20分以上有酸素運動をしましょう。過度なダイエットによって、低栄養、低たんぱく状態になると、胆石になる危険性がありますから、極端に食事を控えた、栄養の偏ったダイエットは控えましょう。

喫煙との関連も近年指摘されており、たばこを吸う人は禁煙しましょう。ストレスも発症の誘因となりますから、ストレスを解消しながら過ごすようにしましょう。カフェインは胆石を予防すると言われており、緑茶やコーヒーを1日1〜2杯程度飲んで、リラックスできる時間を作りましょう。水分を1日1〜2L程度摂取しましょう。1L程度飲めば十分ですので、喉が乾かない場合は無理に2L飲む必要はありません。

胆のう炎の治療には、入院し、絶食と点滴治療、程度によっては鼻を通して胃にチューブを入れて吸引し、胃を空にすることで、腸にたまる体液を減らします。多くの場合、抗生物質を静脈内投与し、鎮痛薬を投与します。
炎症が重度の場合は手術により胆のうを摘出する場合もあるでしょう。