身体からのSOSを見逃さないで!5つの尿の異常からわかる体調の変化

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体調の変化はすべて目に見えてわかるものではありませんが、例えば毎日排泄する「尿」の色や量がいつもと違ったりすることありませんか?

今回は医師の建部先生に尿の異常からわかる体調の変化について、解説をしていただきました。

尿は身体の情報源


みなさんが1日1回以上はトイレで排出する尿。医療機関での検査材料になるほど、いろいろな体の情報が詰まっています。

単なる排泄物ではなく、 体の不調を教えてくれる尿のことを出来るだけ簡単に今回はお伝えしてみたいと思います。

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尿の異常1:色


透明~淡黄色透明


お茶、コーヒー、ビール類や、体の水分を素早く補う効果のスポーツドリンクなど尿を出させる効果が高い飲料物を摂取すると、中の水分量が増えます。

その結果、尿特有の色素であるウロビリノーゲンの濃度が低くなってしまいこのような尿の色になります。この場合は尿の色としては異常ではありません。

黄色透明(混濁無し)~黄褐色


余剰な水溶性のビタミンB2やタンパク質の代謝によって発生する、アンモニア代謝物といった不要物や老廃物の排出量が増えた場合と、体内水分量が少ない脱水傾向の場合が該当します。

肉類を多く摂取する、激しい運動に伴う疲労、お酒の飲みすぎなどにより尿中ウロビリノーゲンが増加してしまうため、その黄色の尿色が濃くなりこの色調になってしまうのです。

また、肉体労働や運動等で汗が多く出た後も濃い黄色尿になりますが、これは体内で脱水が生じ尿中ウロビリノーゲンが相対的に増えている可能性が高く、迅速かつ十分な水分補給が必要になります。

なお、ビタミンB2は黄色なので、これを含む食事(乳製品、卵、納豆、レバーなど)を多く摂取した場合やこれを含む栄養ドリンクを摂取すると、黄色の尿が出ることがあります。

赤色~赤褐色(血尿)


血液が混入していることを示す尿です。月経中の女性の出血が尿に混じる場合も多くこれは正常として除きます。

他にも尿中に血色素(赤い色素であるヘモグロビン)が出現する場合や、筋肉が何らかの理由(例えば、全身打撲など)で壊れて筋肉内にある色素タンパク質「ミオグロビン」が入り込む場合もこの色調になり得ます。

自覚症状として排尿時の痛み、頻尿、発熱を伴う場合には尿道炎、膀胱炎、あるいは腎盂腎炎が考えられますので速やかに医療機関を受診しましょう。

黄褐色~茶褐色


尿が毎回この色調を呈する場合はビリルビン尿の可能性と、ひどくなると皮膚や眼の結膜等が黄色くなる全身性の黄疸を呈している可能性があります。

この色調を呈する物質ビリルビンは元々、古くなった血液成分の赤血球が材料となり肝臓から胆汁として腸管内へ(大便の色素として)分泌されます。

通常ならばほとんど尿中に排泄されないビリルビンですが、これが血液中に増えて尿として排泄されてしまうことで尿がこの色調を呈するのです。 尿中ビリルビンの高値は肝障害由来が多いため、肝機能検査を行なって状況を把握する必要があります。

ワイン・コーラ色


生後数カ月~3歳くらいまでの小さな子供で、血液中の赤血球という成分が有する酸素運搬に働く血色素、赤い色素であるヘモグロビンにおいて、ヘムという物質の合成過程に働かない異常のため日光に当たると日光誘発性皮膚障害を生じる生まれつきの疾患である先天性ポルフィリン症や、発作性夜間血色素尿症、溶結性貧血などの血液疾患でこのような尿の色を呈することが知られています。

白色(白濁色)


この色を呈する場合は、尿中のシュウ酸濃度が上昇していることがあります。その場合、尿の色自体はさほど心配は要りませんが、肝心なのは腰背部の激痛発作で有名な尿路結石症の注意報で有り得るということです。

ホウレンソウ、バナナ、ココア等に含まれるシュウ酸や、脂肪の多い肉類などの動物性タンパク質の過剰摂取が続くと尿中のシュウ酸カルシウム結晶ができやすくなりさらにはそれを主成分とする尿路結石を形成し、あるとき激痛を招く結果となり危険があります。

他の原因としては、淋菌やクラミジアによる急性尿道炎を起こり、その際の白色膿が尿に混ざることでこの色調になるケースも知られています。

緑色


漢方薬や消化性潰瘍治療薬の一部にこのような色調を呈する場合があるとされていますがこれは珍しいケースでしょう。

時折、確認されるケースとして高齢者に多いのですが、緑膿菌という細菌が原因となる膀胱炎にかかると、緑膿菌が産生する緑の色素によってこの色調の尿が出ることがあります。

尿の異常2:臭い


アンモニア臭:一般的


健常人の場合、排尿直後の尿はあまり臭いがしない、またはおおむね無菌状態であるのが一般的です。

尿が臭うのはそこに含まれる尿素が皮膚や空気中の細菌に付着して分解されアンモニア成分を発生させるためです。

カビ、ネズミの糞尿臭:フェニルケトン尿症


生後数日の赤ちゃんで、カビ臭い~ネズミの糞尿の臭いが尿の異常な臭いとしてごく稀に確認されることがあります。

必須アミノ酸のひとつであるフェニルアラニンが代謝できないことで起こる疾患が原因です。(発生頻度:7万人に1人程度)
※参照:小児慢性特定疾病情報センター
※参照:小児科学 第3版 :医学書院

メープルシロップ臭:メープルシロップ尿症


生後数日の赤ちゃんで、文字通りメープルシロップの臭いが尿の異常な臭いとしてごく稀に確認されることがあります。

人間に必要なアミノ酸の一部が正常に代謝されず残るために起こる疾患が原因です。(発生頻度:50万人に1人程度)
※参照:小児慢性特定疾病情報センター
※参照:小児科学 第3版 :医学書院

腐った果物臭:糖尿病性ケトアシドーシス


糖尿病が悪化すると、インスリンの作用不足によって血液中のブドウ糖を細胞がエネルギーとして利用することができなくなり、代わりに脂肪を分解してできるケトン体を利用しようとすることによって血液中のケトン体が増えることによるものです。

果物が腐ったような尿の臭いがします。

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尿の異常3:量


心因性多尿、多飲多尿


水分や尿を多く出す利尿作用のあるコーヒーやお茶、アルコール飲料の摂取で排尿量は多くなります。

また、うつ病などの精神疾患や糖尿病をはじめ、ある種の内分泌の病気で多量の水分摂取と多量の排尿を呈することがあります。

適切な水分摂取が出来ない・しない状態が続く


老廃物を少ない体内水分に封じ込め、少量濃縮尿として体外に何とか排出しようとするので腎臓へ負荷が大きくかかり、慢性的にこういった状態が続けば腎機能低下が起こり、透析に至るリスクもあります。

神経因性膀胱


脳出血や脳梗塞の後遺症やパーキンソン病、多発性硬化症などで膀胱内に貯留している尿量が認識できず、少量頻回排尿となったり膀胱が尿でいっぱいにもかかわらず排尿したいと 感じないといった膀胱から大脳に至る神経の一部の障害によって起こる排尿障害です。

これがきっかけになって膀胱炎や腎盂腎炎となり腎機能障害を来すこともあります。

慢性的な腎不全


糖尿病などで腎臓で尿を作る能力が低下する腎不全がかなり高度に進んでくると、尿量が減ってきます。

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尿の異常4:泡


排尿時の泡と疾患


排尿時の泡ができる要因としては、正常な場合と病的な場合とがあります。 正常な場合、尿中には黄色の尿色と基となるウロビリノーゲンという物質が含まれています。

ウロビリノーゲンは、石鹸や洗剤と同じく界面活性作用を持っている為に、泡を作る効果があり、尿中の一定濃度以上この物質が含まれていれば健常人の排尿に際して泡立ちます。

病的な場合、ネフローゼ症候群やその他の腎障害において、通常ならば体内に封じ込められて尿中には出ないはずのアルブミンなどのタンパク質が尿とともに排出され、そこに含まれるペプチドとよばれる物質が界面活性剤の働きするので、ウロビリノーゲンとともに排尿時の泡と成り得るのです。

尿の異常5:排尿時


加齢性変化


一般的に加齢とともに男性は前立腺肥大傾向となるため少量頻回排尿になり、女性は骨盤底筋群の筋力低下傾向のためいわゆる尿漏れ・頻尿傾向を呈しやすくなります。

尿路感染症


急性の膀胱炎・腎盂腎炎・尿道炎などにかかると発熱などとともに尿混濁、腰痛~下腹部痛、頻尿といった症状を呈します。また膀胱炎などでは排尿時の出血や血尿も認めます。

尿を正常に保つOK習慣


適度な水分摂取

尿意を我慢しない

適度な運動

バランスのとれた食事

尿を異常にしてしまうNG習慣


■のどが渇いているのに必要以上に水分摂取を我慢する

■尿意があるにもかかわらず、トイレを我慢してしまう

■シュウ酸の多いホウレンソウ、バナナ、ココア等の過剰摂取や脂肪の多い肉類などの動物性タンパク質の過剰摂取

■女性における排便後の肛門部拭き取りケアの間違い
(前面方向に拭き取りしてしまい肛門部の汚物を尿道口に接触させてしまい細菌性膀胱炎のきっかけを作ってしまう)

■お酒の飲みすぎや過食

■鎮痛剤や総合感冒薬といったの薬の乱用

最後に建部先生から一言

尿をつくる腎臓は肝臓に次いで沈黙の臓器と言われています。 その尿は体からの大切なサインを出しています。

著しい変化がないかどうかチェックするように習慣づけてください。 尿のことで気になったら気軽にお近くの泌尿器科に相談してみましょう。

(監修:医師 建部雄氏)
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監修:医師 建部 雄氏

京都市生まれ。社会人を経て医師を志す。2001年、昭和大学医学部医学科卒業。
卒後、東京都内の大規模総合病院にて救急科の経験を積む。

その後、阪神淡路大震災において内科医が避難所等で切実に必要とされていた事実を知り、より多くより幅広く患者さんに対応できる医師を目指して総合内科へ転向を決意。
急性期病院・クリニックの勤務を経て、最も身近な医師としての研鑽を積んでいる。
現在は、横浜市内の総合病院に勤務中。週末を中心に休日夜間の非常勤先病院 救急外来勤務をほぼ趣味としており、失敗も成功も含めて経験は豊富。
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