急性硬膜外血腫の症状

急性硬膜外血腫の初期症状は、血腫により脳が圧迫されて頭蓋骨内側の圧が高まり、激しい頭痛、嘔吐が現れ始めます。時間経過と共に見られる症状は、上下肢の麻痺、瞳孔の散大、意識喪失などの症状です。
  
血腫が増大する事で、意識障害や脳ヘルニアの状態まで進行した場合、生命維持中枢の脳幹が侵され、呼吸障害などを引き起こし、死亡する可能性があります。受傷直後から数時間後に意識が無くなる事も多く、頭部受傷時は症状の進行に十分な注意、早期対処が必要です。重症の場合、約24%で意識障害が遅れて現れ、その79%が3時間以内で症状が現れたと言う報告があります。

急性硬膜外血腫の原因

ボクシングやラグビーなどのスポーツやレジャー、日常生活で起こる事故や災害などで頭部に受傷した場合、硬膜の表面に浮き出たようにある硬膜動脈または硬膜静脈が損傷・出血し、硬膜と頭蓋骨の間に血が溜まる事で、頭蓋骨内側の圧が高まり、急性硬膜外血腫を発症します。
  
特に頭部に強い衝撃を受け、側頭骨骨折による中硬膜動脈の損傷が原因の場合が多く、受傷直後から急速に症状が進行する可能性が高いので注意が必要です。静脈性の出血の場合、症状の発生・進行が遅く手術の必要が無い場合もありますが、受傷してから数週間後に、慢性硬膜下血腫が発生する事があるので、医療機関での診察をおすすめします。

急性硬膜外血腫の治療法

急性硬膜外血腫の予防として、頭部外傷を避けることが大切です。スポーツなど外傷の可能性がある時はヘルメットを装着するなどします。
  
意識障害の程度に比例して生命の危険度が増し、昏睡状態に至った場合の死亡率は70%、救命された場合でも脳自体に強い損傷があることが多いため、後遺症を残す可能性が高いという報告があり、対処が遅れるほど生命の危険度が増すだけでなく、予後に重度の後遺症をもたらす可能性があるので、医療機関での診断・治療など早期対処を行ってください。