高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害は、身体障害があっても軽症であることが多く、外見的には障害が目立ちにくいです。そして本人も障害を認識できないことがあります。障害は入院中よりも日常生活で出現しやすく医療者にもわかりにくいです。以上のような特徴から周囲に理解されにくく、しばしば「見えない障害」とよばれています。
気が散ってしまう「注意障害」は注意の機能が障害され、注意が散漫になり、集中できない状態です。小さな刺激でも動作が中断されます。
計画的に行動できない「遂行機能障害」は機能が障害され、物事を段取り良く進められなくなった状態です。何からやればいいか分からなくなったり、こだわりが強く、予定外のことに対応できずおろおろしたりします。
「記憶障害」は記銘、保持、想起のいずれかが障害され、新しいことが覚えられなくなったり、思い出すことができなくなった状態です。
「社会的行動障害」は感情を適切にコントロールすることができなくなり、不適切な行動をとる状態です、感情を抑えられなくなったり、逆に自発的に行動できない等の症状があり、人間関係がうまく構築することができません。またギャンブルが好きになったりすることもあります。

高次脳機能障害の原因

脳血管障害や変性疾患、頭部外傷、脳症脳炎などが要因にあることがあります。例えば、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などです。原因の約50%は脳梗塞で、ついで脳出血に多く、変性疾患、くも膜下出血、脳外傷。脳腫瘍がつづきます、しかし原因の14%は不明やその他とされています。その他には、脳腫瘍、ウイルス性脳炎、低酸素性脳症、アルコール中毒などによっても発症する場合があります。

「脳血管障害」とは脳の血管が破れてしまう脳出血およびくも膜下出血と脳の兼官が詰まってします脳梗塞に大別されます。多くは、手足が動かしにくくなる身体障害とともに高次機能障害が出現しますが、記憶力が低下する、イライラしやすくなる、集中力が低下するといった他人から分かりにくい障害だけが残ることがあります。

「頭部外傷」の中では交通事故が最も多い受傷原因ですが、他に高所からの落下や、暴行などによって脳が傷つくことがあります。

高次脳機能障害の予防/治療法

脳血管障害を予防することが高次脳機能障害の予防につながるといえます。脳血管障害の基礎疾患として「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」「心房細動」があげられます。

これらは生活習慣がかかわっており、特に喫煙、大量飲酒、肥満、運動不足が危険因子としてあげられます。そのため禁煙したり、食生活、運動習慣の見直しが必要となります。禁煙は一人では難しいときは禁煙外来に通院することをお勧めします。
また食事は高脂肪高塩分なものを避け、和食などを中心とすることがよいでしょう。運動は1万歩以上、歩行することがよいとされています。

また血圧管理も重要となってきます。生活習慣に加え、血圧が高い場合は降圧剤を内服し高血圧をコントロールすことが必要です。健康診断を定期的に受け、日ごろより健康的な生活習慣を送ることが予防の一番の近道です。