高山病の症状

高山病には大きく分けて比較的軽度の「山酔い」、生命に関わる「高地肺水腫」「高地脳浮腫」の3つの状態があります。
山酔いを発症すると、頭痛、食欲不振・嘔吐感、全身倦怠感・疲労感、不眠・睡眠障害、めまいなどの症状が現れます。
肺に水がたまる高地肺水腫になると山酔いの症状に加えて、呼吸困難・呼吸不全、強い倦怠感、歩行障害などが起こります。喘鳴や頻脈などの兆候が現れたら注意が必要です。
脳に水がたまる高地脳浮腫に陥ると、歩行障害、意識障害、失禁、昏睡などの症状が加わります。
肺水腫や脳浮腫の症状がある時は危険な状態です。特に高所脳浮腫が疑われる場合は、直ちに下山して医師の診察を受ける必要があります。

高山病の原因

高山病は、高地の酸素分圧の低下に体が順応できていない時に起きる人体反応で、「高地障害症候群」とも言います。低酸素下では血中酸素減少の代償作用として過換気が起こるほか、低圧による体液バランスの低下から尿などの体液が貯留し、体の各組織での代謝が不十分なため種々の障害が発生します。
また、低圧は血管の収縮を起こすため、肺で反応が強いと高地肺水腫に、酸素需要の大きな脳では血流増加による脳圧の上昇が起こり高地脳浮腫に?がります。
海抜2000m(高齢者は1500m)以上の高山に登山する場合や、高地に空路移動する場合、登山列車などで高地に移動する場合などに発症リスクがあり、注意が必要です。

高山病の治療法

高山病予防には体調管理と高地順化が大事です。予防薬としては脳の血管を広げて血流量を増やすアセタゾラミドという薬が有効です。
高地では、血中酸素や利尿に関わる喫煙や飲酒を控えます。また、登山者はペース配分を守り、不定愁訴の兆候を見逃さないようにします。
軽度の高山病は、正しく高地順化を行えば重篤化せずに活動を続けることができます。兆候を感じたときは鎮痛剤を服用し安静にしておけば治る場合がほとんどです。
山酔いの症状が重い場合は、速やかに高度を下げ安静にすることで悪化を回避できます。