鎖肛とは
鎖肛とは、「直腸肛門奇形」とも呼ばれる先天性の奇形で、胎児期の発育異常によって起こります。鎖肛では正常な位置に肛門がなく、塞がった状態になっていたり、瘻孔と呼ばれる穴があいていたりします。他の奇形を合併しているケースが50%程度あり、治療や手術の時期は、は恥骨直腸筋と肛門が塞がっている「盲端部」との位置関係によって変わります。
鎖肛の症状
鎖肛は、生まれつき肛門が閉じてしまっている症状のため、生後体温を直腸で計測する時や生後排便がでないことを契機に発見されることがほとんどです。瘻孔という穴が開いている場合や、肛門の位置の異常の場合には、生後すぐには発見されないこともあり、・お腹の張り
・胆汁性嘔吐
・尿に胎便が混じる(尿道に瘻孔がある場合)
・膣から胎便が出る(膣に瘻孔がある場合)
・子宮等に尿がたまる
といった症状から異常がわかるケースもみられます。多くのケースで新生児期に症状があらわれ、手術が行なわれますが、まれに幼児以上の年齢になってから、
・便が細い
・便が出にくい
・腸閉塞による穿孔等の症状から発見されることもあります。また超音波による出生前診断では鎖肛自体を診断することは困難です。
鎖肛の原因
鎖肛の発生原因は不明ですが、およそ5000人に1人の確率でみられることから、先天性異常として低い割合でもないということはわかっています。胎児の初期段階では、肛門・泌尿・生殖器は全て1つになっています。それが直腸や肛門、膀胱、尿道等に別れるのが妊娠6週前後のため、鎖肛はこの時期の発育の異常によって発生すると考えられています。瘻孔ができるのも同時期で、男の子の場合には直腸と尿道の間に、女の子の場合には直腸と子宮、もしくは膣との間に管のような孔があくことがあります。また、低位型といって直腸の閉じた端の部分が正常な肛門位置の皮膚の近くにあるケースでは、陰嚢や会陰部に孔を生じ、胎便の排出がみられることが多いです。鎖肛の治療法
鎖肛の治療方針は、鎖肛の状態を1.低位型
2.中間位型
3.高位型
の3種類に分類した上で決定されます。
1は肛門部の皮膚まで直腸の端が届いている場合、2は基準線に従って1より離れていると診断された場合、3はもっとも遠い位置範囲にある場合となります。1では新生児期に肛門形成術を行ないますが、2と3では新生児期には人工肛門を設置、生後半年以降に周囲の筋肉の発達等を考慮しながら肛門形成術が行なわれ、人工肛門は閉じます。1に比べて2や3では術後の排便障害がみられる確率は高くなっていますが、機能訓練によって改善は十分可能です。
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