卵胞嚢胞とは
卵胞嚢胞は卵巣嚢胞のうち機能性嚢胞の一種です。 一般的に排卵前は複数の卵胞が発育しますが、排卵された卵胞以外は退縮していきます。しかし脳からのホルモンの刺激により、通常の2〜3倍の大きさになることがあり、これを卵胞嚢胞とよんでいます。 破裂や出血しなければ無症状のことが多く、殆どが自然に消失します。 排卵可能な年齢、すなわち思春期から閉経までの女性に発症します。
症状
卵胞嚢胞があっても明確な症状を訴える人はそう多くありませんが、下腹部の痛みや圧迫感、性交痛、生理痛、異常出血、腰や大腿部の鈍痛、吐き気、嘔吐、乳房の圧痛などが出る場合があります。卵胞嚢胞自体自然に小さくなることが多く、目立った症状もないため経過観察で済んでしまうことがほとんどです。ただし、嚢胞がねじれた茎捻転の状態になってしまうと強い痛みを伴います。通常連続的な鈍痛ですが、熱や嘔吐を伴ったり呼吸症状を伴ったりすることもあります。無月経の原因にもなりますし、卵管をひねってしまうこともありますので、この場合は手術が必要です。
また、35歳以上で卵胞嚢胞がある場合卵巣がんの腫瘍マーカーの検査の対象となります。
原因
卵胞嚢胞の原因には不明な部分が多くあり、明確な原因は未だ特定されていません。今のところ原因として考えられるのはまず卵胞の発育・排卵の過程に異常を来す間脳・下垂体系の内分泌ホルモンの分泌異常です。脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンの影響で、卵胞が異常に肥大したり多数の卵胞が成熟過多になったりすることがあります。黄体形成ホルモンの分泌過剰も一因ではないかといわれています。
次に考えられるのは卵胞挟膜細胞・顆粒膜細胞の反応異常です。卵胞の壁の全体あるいは一部が黄体化してしまうことによって卵胞が液体をため込んだまま存続してしまうのです。こちらも元を辿れば卵胞刺激ホルモンの分泌異常に起因するものです。
治療法
卵胞嚢胞は通常自然に消えてなくなるものです。ですから特に治療や予防は行われませんが、多発する場合には経口避妊薬で排卵そのものをコントロールし予防策とすることがあります。症状によってはホルモン治療の対象となることもあります。嚢胞が数カ月を過ぎても消えない場合、嚢胞のサイズが成長している場合、超音波上で異常所見が見られた場合、痛みを伴う場合、患者が閉経後の女性であった場合、嚢胞が5~10cm以上の場合や、悪性の可能性がある場合などは外科的摘出術の対象となります。この場合は内視鏡手術で済むことも卵巣を全摘出することもあります。
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