多発性内分泌腺腫症の症状

多発性内分泌腺腫症の症状は1型、2型のどちらを発症するかで異なります。
MEN1と呼称される多発性内分泌腺腫症1型の主な症状は、副甲状腺や膵腸管内分泌腺、下垂体からなる全3臓器のうち、2つ以上の臓器から腫瘍が発生することです。ただし、1型における腫瘍の発生は患者の年齢や体質によって異なってくるため、一概にどの臓器に腫瘍が現れるのかを判断することはできないとされています。
そして、MEN2と呼称される多発性内分泌腺腫症2型の主な症状は、甲状腺や副腎、副甲状腺に腫瘍ないし機能亢進が現れることです。基本的にはこれら臓器の中から複数の臓器に腫瘍ができるため、1つの臓器に腫瘍ができるだけでは2型と断定することはできませんが、稀に腫瘍が異なる時期に複数の臓器に現れることがあります。

多発性内分泌腺腫症の原因

多発性内分泌腺腫症の発症にいたる原因は、1型、2型関わらず遺伝子の変異であるとされています。
多発性内分泌腺腫症1型と呼称されるMEN1は、病名と同じMEN1の名がつけられているMEN1遺伝子の変異によって発症します。MEN1遺伝子とはがんを抑制する遺伝子で、1型の発症にいたる原因は先天的な変異であるとされています。
そして、多発性内分泌腺腫症2型と呼称されるMEN2の場合は、生殖細胞系列におけるRET遺伝子の変異によって発症します。ただし、2型における遺伝子変異は1型とは異なり、機能獲得型変異が原因とされています。機能獲得型変異とは、遺伝子または遺伝子産物の活性が正常より高まったことで発生する変異です。

多発性内分泌腺腫症の治療法

多発性内分泌腺腫症は1型、2型で原因は異なりますが、主に遺伝子の変異によって発症する疾患であるため、予防することは困難です。そのため、発症を予防するよりも発症を早期に確認し、重症化する前に適切な治療を受けることが重要となります。遺伝子の変異を完全に治すことは不可能ですが、早期の治療によって症状をおさえることができます。
また、遺伝子の変異は先天的なものである場合が高いため、多発性内分泌腺腫症を発症した親族が1人でもいれば、発症を疑うことができます。発症を疑える場合は、日頃より定期的に検査することが重要です。