加齢現症のひとつで歳を取るにつれ避けては通れないものではありますが、実は生まれたての赤ちゃんから若年者、青年期、壮年期などあらゆる世代で白内障は起こりえると言われています。

今回は、そんな白内障について、医師に詳しく伺いました。

白内障の発生メカニズム

眼球の中には光を通す透明な水晶体という大切な組織があります。その水晶体が濁ってしまう病気を白内障と言います。 別名では「しろそこひ」、「うみそこひ」などと言われることもありますが、あまり一般的ではありません。

白内障の分類

・先天性白内障(生まれつきの白内障)
水晶体内に何らかの異常が発生、または先天代謝異常が起きていることが原因となります。また先天性白内障は白内障単独でみられることよりも全身疾患の所見の一部として出現することが多いとされます。視力に障害のあるお子さんの約1割は白内障が原因と考えられます。また250人に1人は先天性白内障があると見積もられています。風疹感染も重要な原因の一つとされています。代謝異常ではガラクトース白内障というものが代表的です。

後天性白内障
原因は様々で、代謝性疾患、全身の病気の一症状として見られる場合、眼の病気に伴って見られる場合、薬の副作用で見られる場合、外傷の影響によって見られる場合、加齢に伴って見られる場合などが挙げられます。

後天性白内障の注意事項

・乳児白内障
片方のことも両方のこともあります。こまめにチェックをしていただき視機能への影響を考慮して手術の時期を判断します。

・若年者の白内障
急速に進行することがあるので注意が必要です。

・早老白内障
30~40歳代でみられる白内障で水晶体の中心部ではなく皮質という外側に近い部分が濁りゆっくり進行するのが特徴とされます。

・加齢白内障
50歳以上で見られるようになり80歳以上ではほぼ全員が白内障になっていると考えられています。

どんな症状が出るの?

<初期症状いろいろ>
・まぶしく見える感じがする
・近くのものが見えにくい
・近視になる
・ものが二重に見える
…など

一般的に加齢白内障はゆっくり進行するので徐々に霧がかかって見える、あるいは徐々に視力が低下していくように感じる、といったことも多いようです。

白内障の診断&治療法

<診断方法>
眼科では細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)という機械を用いて水晶体の濁りを見ます。初期の場合は瞳孔をしっかり広げる点眼薬を用いて検査しないとわからないこともあります。

<治療方法>
加齢白内障の治療としてはまずは水晶体のタンパクの変性や酸化を抑えるために点眼薬を用います。しかし点眼薬だけで十分に進行を抑えられない患者さんが多いのもまた事実。点眼で十分に進行を抑えられず白内障が原因で視力低下により生活に支障をきたす場合は手術で濁った水晶体を吸引して取り出し、人工のレンズを入れて治療します。ごくまれにせっかく手術しても残っている水晶体がまた濁ってくることがあります。これにはコラーゲン繊維による線維性化生というものが関与しています。この場合は後発白内障切開術やYAGレーザーというものによって切開を行って改善を目指します。

医師からのアドバイス

ある程度加齢に伴うものは予防の観点からは難しいのですが、眼内レンズのおかげで回復が期待できる疾患です。異常を感じたら眼科で見ていただいて治療計画を立てていただくとよいでしょう。

(監修:Doctors Me 医師)