頭痛にはいくつかの種類があります。頭痛で悩んでいるかたは多いと思いますが、ご自身の頭痛がどの痛みなのかわからない場合もあるでしょう。
今回は「片頭痛」と「緊張型頭痛」の2種類の違いについて、医師の建部先生に詳しい話を聞いてみました。

片頭痛の症状について教えて下さい。

片頭痛は、比較的若い女性に多く、片側あるいは両方のこめかみから眼のあたりにかけて、脈打つような痛みや嘔吐をともなう頭痛です。痛み出すと4時間、長引く場合は3日間ほど続きます。

片頭痛の20~30%くらいに、視覚症状の前兆があるといわれています。それは、視野の中心が見えにくくなり、その周囲がきらきらと輝く歯車のような模様が見え、次第に視野全体に広がる「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる症状です。

また、感覚が鈍くなる、言葉が話しにくいといった前兆がみられる場合もありますが、いずれも前兆は15~30分くらいでなくなり、その後から頭痛が始まります。

片頭痛の治療法を教えて下さい。

片頭痛が起こってしまった場合、暗く静かな場所に移動して安静を保ち頭部を冷やします。
また、場合によっては以下の薬を服用します。

【片頭痛の薬】

1.片頭痛が起きた場合
トリプタン、鎮痛剤、エルゴタミンといった薬剤を使いますが、妊娠中、授乳中の女性には使えない場合があります。

2.発症を予防する場合
てんかん治療薬、プロプラノロールやロメリジンと言われる高血圧薬、抗うつ薬がありますが、これらも妊娠中や、心臓病持ちの方や喘息持ちのかたに使えないといった制限があります。

緊張型頭痛の症状について教えて下さい。

緊張型頭痛の多くは、「ヘルメットをかぶったような感じの頭痛」を感じ、首から頭にかけての姿勢の異常や、ストレスが誘因となるといわれていて、以下の症状が出ます。

・肩や首の強いこり
・めまい
・ふらつき
・全身のだるさ

痛み出すと、人によって様々ですが30分、長引く場合は7日間ほど続き、痛みは夕方に強くなる傾向があります。

緊張型頭痛の治療法を教えて下さい。

予防としては、精神的・肉体的ストレスをなくすため、ストレッチ、頭痛体操、入浴をすること、また治療法として認知行動療法などがあります。

【緊張型頭痛の薬】
鎮痛剤、筋弛緩薬、抗不安薬などを使いますが、あくまでストレスや、首と肩の筋肉の緊張をとるために、一時的に使うものです。

片頭痛と緊張型頭痛は自覚症状で区別がつきますか?

【片頭痛の自覚症状】
ズキンズキンと拍動するような強い痛みが、特に片側にある。

・嘔気・嘔吐をともなう
・光や音、臭いが気になる
・前兆をともなうことがある
・動くと痛みが悪化する

【緊張性頭痛の自覚症状】
頭全体に、締めつけられるような重苦しい鈍痛がある。

・嘔気はあっても嘔吐をともなわない
・前兆症状がない
・頭や体を動かすと痛みが少し楽になる

医師にかかった方がいい目安はありますか?

頭痛がいつもよりひどくなったり、高熱や手足の麻痺がともなう場合は、受診が必要です。

また、薬が効かなかったり量が増えている、日常生活に支障が出ている場合も受診したほうがいいでしょう。

最後に医師からアドバイス

片頭痛は、比較的若い女性が、ストレスや心理的な葛藤から解放されたときに最も起こりやすいという特徴があります。
また、緊張性頭痛は老若男女問わず起こりうるのですが、精神的・肉体的ストレス、首・肩の姿勢の悪さによるその筋緊張が原因であるという特徴があります。

急激で激しい症状に対しては薬を使うことになりますが、根本的には心の重荷を取り除き、一人一人にマッチした心身のリラックス法を見つけ、それを習慣にすることが大切でしょう。

(監修:医師 建部雄氏)

プロフィール

監修:医師 建部 雄氏
京都市生まれ。社会人を経て医師を志す。2001年、昭和大学医学部医学科卒業。 卒後、東京都内の大規模総合病院にて救急科の経験を積む。 その後、阪神淡路大震災において内科医が避難所等で切実に必要とされていた事実を知り、より多くより幅広く患者さんに対応できる医師を目指して総合内科へ転向を決意。 急性期病院・クリニックの勤務を経て、最も身近な医師としての研鑽を積んでいる。 現在は、横浜市内の総合病院に勤務中。週末を中心に休日夜間の非常勤先病院 救急外来勤務をほぼ趣味としており、失敗も成功も含めて経験は豊富。