歯周病糖尿病の関係と聞いても、あまり関連性はなさそうに思えます。

しかし、歯周病と糖尿病は双方向に関連し、併発してしまうと、悪化してしまうことがあるようですが、本当なのでしょうか?

今回は歯周病と糖尿病リスクの関係性から、歯の治療を受ける際の注意事項などを歯科医師の彦坂先生に解説していただきました。

歯周病と糖尿病リスクの関係性


歯周病と糖尿は密接に関係しており、糖尿病があると歯周病が悪化しやすかったり、歯周病になりやすくなることは以前から言われていました。

最近では、歯周病になると糖尿病のリスクがぐんと上がり、糖尿病が悪化しやすいことも報告されており、 医科と歯科の連携が必要な分野として注目されています。

糖尿病の人は必ず歯科医院に行き、重点的な歯のクリーニングと、定期的な歯周病検査や治療が必要で、生活習慣の改善に加え歯周病治療を行うことで、糖尿病改善が見込めるということです。

《参照》
・The New York Times

歯科で糖尿病をチェックはできる?


歯科医院でも血液検査を行うことが出来るため、可能と言えますが、基本的には内科への紹介状を書いてチェックしてもらう形になります。

糖尿病の人が歯の治療を受ける際の注意事項


事前に糖尿病の既往歴を伝える


糖尿病の人は易感染性という、感染しやすく、治癒が遅くなる傾向を持っています。

歯を抜く場合、感染しやすくなったり、治りが遅くなる危険があるため、歯科医院にかかる場合に糖尿病の既往は必ず伝えてください。

インプラント治療が受けられないことも


血糖コントロールが悪かったり、糖尿病が重度の場合、インプラントの定着が悪くなったり、感染の恐れがあるのでインプラント治療が受けられない場合があります。

定期的な検査、クリーニング


糖尿病の場合、歯周病が悪化しやすい為、定期的な歯周病検査やクリーニングが必要です。

糖尿病が無い場合に比べ、短いスパンでの健診や歯のクリーニングが必要な場合が多いです。

歯周病予防に有効なガムの選び方・噛み方


選び方


キシリトール100%、ノンシュガーなど、糖分が含まれていないガムを選びましょう。

噛み方


左右どちらかだけで噛まず、左右どちらもバランスよく噛むことが大切です。

また、顎が疲れる程噛んだり、毎日大量のガムを摂取しないように適度に摂取するようにしましょう。

歯に悪影響を与えるガムの選び方・噛み方


糖分が含まれている


糖分が含まれているガムの場合、むし歯や歯周病を引き起こすことになります。

また、歯は唾液により自ら表面を修復し硬くなろうという作用が働きますが、糖分が含まれているガムの場合は歯の再石灰化を阻害してしまう可能性があります。

ガムを噛む際に左右どちらかに偏りがある


左右、どちらかでガムを噛む癖がついているとかみ合わせが悪化したり、顎の関節に負担になり顎関節症を引き起こします。

最後に彦坂先生から一言


歯周病は20歳超えた人のほとんどがかかっている病気と言われており、糖尿病も、生活習慣病で、私たちの身近な病気と言えるでしょう。

しかし、どちらも重症化するまで症状は出にくく、健診に行かない限り発見されにくい病気なので、早期発見、早期治療が必要で、どちらも予防することがとても大切です。

歯周病と糖尿病は密接にかかわっている為、相互に作用を及ぼします。予防が一番大事ですが、糖尿病にかかった時には歯周病のチェックも行い治療し、また歯周病になっているときには一度糖尿病チェックもしてみるのがいいかと思います。

健康は宝です。

プロフィール

監修:歯科医師 彦坂 実な美
鶴見大学歯学部卒業後、研修医を経て一般歯科医院で経験を積む。一般診療全般をこなすが、メタルフリー治療や審美歯科、ホワイトニングを得意とする。最近力を入れているのは予防医療でニューヨークのニューヨーク大学にも研修に行くなど、積極的に欧米諸国の歯の健康に対するモチベーションを学ぶ。メタルフリー学会に所属し、銀歯の金属アレルギーやリスクについての知識の普及のため記事の執筆や講演も行っている。一児の母