妊娠検査薬で陽性反応があり妊娠をしたにも関わらず、その後に枯死卵と判明し、辛い思いをされた人も中にはいらっしゃると思います。
枯死卵などの妊娠初期の流産では、子宮内容除去術が行われる場合があり、女性にとっては心身共に痛みを伴います。
知っておきたい妊娠初期のリスクでもある、枯死卵と子宮内容除去術の内容・注意点について、医師にお話を伺いしました。
枯死卵とは
妊娠し、子宮の中に赤ちゃんが入る袋(胎嚢)が見えるが、胎児自体の姿が見えない状態です。
胎嚢ができる時期
通常、妊娠5週(最終月経開始から5週間後、月経予定日より1週間後、性交から約3週間後)ぐらいには、子宮内に丸いスペースが見えます。これが胎嚢です。
まだこの時点では赤ちゃん自身の姿は通常の超音波検査ではとらえられませんが、妊娠と共に産生されるホルモンは出ているため、尿や血液検査で妊娠判定ができます。
赤ちゃんが確認できる時期
さらに1週間〜2週間経過すると、赤ちゃんの心臓がまたたく様子が超音波検査で見られ、赤ちゃん自身の姿も見られるようになるはずなのです。
しかし、その頃になっても心拍や赤ちゃんの姿が見えない場合、初期流産ということになり、枯死卵であったということになります。
枯死卵の原因
赤ちゃん側に、生きられない理由があったからと考えられ、具体的な原因は以下が挙げられます。
染色体異常
遺伝情報を伝える染色体という構造の異常です。
遺伝子や染色体に大きな異常があり、体を作り上げることができなかった・細胞を増やしていくことができなかった状態を指します。
また、受精卵が分裂する過程では多様な染色体の異常が起こり得ます。
■ 21番染色体
有名なのは21番染色体が3つ重複するダウン症です。
■ 15番・18番染色体
15番や18番染色体が3つ重複する場合は、成長して生まれることができる場合もあります。
■ その他の染色体
上記以外の染色体の異常は、ほぼ流産すると言われています。
ただ、心拍が確認される前の流産となるとは限らず、同じ染色体異常であってもより週数が進んだ段階まで成長することもあります。
抗がん剤や放射線
細胞の分裂を阻害する特殊な薬(抗がん剤など)を使用したり、がんを治療するために用いられるような強い放射線を当てた場合にも、受精卵の分裂が途中で止まり、流産になる可能性はあります。
一般的な薬の使用や、物理的な振動、アルコールなどはこの時期の流産の原因とはならないと考えられています。
枯死卵の場合行われる子宮内容除去術
稽留(けいりゅう)流産で、感染が起きたり多量の出血が起こる場合に、子宮の中身を出す手術のことです。
稽留(けいりゅう)流産とは
流産になると月経と同じように出血が起こり、自然と子宮内膜と胎嚢が外に出て、次の妊娠ができる状態に整うこともありますが、自然には出血が起こらずに、子宮内に胎嚢が長くとどまるような状態を指します。
子宮内容除去術の方法
1. 子宮の出口(子宮頚管)を開くため、あらかじめ器具を入れておきます。
2. 手術中に吐くことがあるので、術前6時間程度は食事・水分が取れません。
3. 多くの場合は腕から点滴をし、そこから眠くなるような鎮静剤の麻酔を注入し、意識がない状態で手術を行います。
4. 子宮の内容物を、へらのような器具で出すか、吸引して取ります。いわゆる中絶手術と同じことを行います。
子宮内容除去術の費用
健康保険が適応されます。3〜5万円程度と思われます。
術後の注意点
術後の痛み
麻酔から覚めたあと、思い生理痛のような鈍痛があります。
通院
術後の出血に注意し、指示通りに通院します。入院は必要ない場合が多いです。
入浴、性行為
許可されるまで(約1カ月間)、湯船につかる入浴と性行為はできません。
家事、デスクワーク
無理のない範囲で当日から可能です。
最後に医師から一言
枯死卵は妊娠に気づいてすぐの流産であり、喜ぶ間もなく悲しみに突き落とされる方が多いでしょう。
ご自分を責めないでください。いつから次の妊娠を目指して良いかなど、担当医とよく相談してください。
(監修:Doctors Me 医師)