みなさんは、胆石症という症状をご存知でしょうか?
実は女性に多いとされており、その他にも食生活が偏っている肥満傾向の人にも発症しやすいことが分かっております。
あまり聞き慣れない胆石症について、原因・症状・治療法を医師に詳しく解説していただきました。
胆石症とは
何らかのきっかけで胆石が胆のうを出て、胆管や総胆管に詰まり、後から来る胆汁や膵液の流れをせき止めることで、強い腹痛などの症状を引き起こすことを胆石症と言います。
また、胆石は胆のうの中にいる間は症状を起こさず、超音波検査(エコー)やCTなどで偶然発見されます。
胆汁・胆のうの役割
おなかの右上にある臓器である肝臓は、胆汁という消化液を作っており、それを胆のうという袋に一時的に貯めています。
食事が胃から腸を通ると、胆のうに溜まっていた胆汁が、胆管を通って、腸(胃と小腸の間にある十二指腸)に流れ出し、食物と混ざります。胆管は途中で膵臓から膵液を運ぶ管と合流し、総胆管となります。
胆石ができるメカニズム
胆汁が胆のうに溜まっている間に、胆汁の成分が固まりになり、石を作ることがあります。これが胆石です。
胆石の特徴
胆石の成分
コレステロール・ビリルビン(いらなくなった赤血球を破壊した廃棄物)・カルシウムなどです。
胆石の大きさ
胆石は硬く、大きさは砂粒ぐらいから胆のうを埋め尽くすぐらい(約8㎝)まで様々です。
胆石ができる数
石は一つとは限らず、多数の石が見つかることがあります。まれに、胆のう内ではなく、肝臓の中で石ができることもあります。
胆石症の原因
コレステロール結石ができやすい人
胆石の中で最も多い、コレステロールが固まってできる胆石「コレステロール結石」は、以下のタイプにに多いと言われています。
・胃の切除手術を受けた人
・急激なダイエットをした人
・脂っこい食事が多く野菜が少ない肥満の人
ビリルビンやカルシウムが固まってできる胆石
・細菌感染を経験した人
・肝硬変の人
胆石が胆のうから出て発作を起こす時間帯
脂っこい食事をした後の夜間、つまり多くの胆汁が必要とされる場面に多いと言われています。
なぜ胆石症は女性に多い?
コレステロール結石は、以下のタイプに多いと言われており、頭文字を取って5Fと言われています。
・40代(Forty)
・女性(Female)
・肥満(Fatty)
・白人(Fair)
・多産婦(Fecund)
なぜ女性に多いのかはよく分かっていませんが、女性ホルモンが胆汁の成分に影響を与えているためではないかとも言われています。
胆石症の症状
痛む部位
右の肋骨の下あたりから、みぞおち・背中・右肩が痛くなります。
痛みや症状の特徴
・押すと痛みが増します。
・のたうち回るほどの痛みの場合もあれば、重い鈍痛だけのこともあります。
・2時間程度で治ってしまうこともあります。この場合、一旦胆管に詰まった胆石が、自然と腸に流れ落ちたのだと思われます。
・吐き気が起こることもあります。
悪化した場合
■ 胆のう炎
胆のうに炎症を起こし胆のう炎となると、皮膚が黄色くなる黄疸や熱が見られます。放置すると細菌感染を起こし、ショック状態となり、全身に細菌が回って敗血症となり命を落とすこともあります。
胆石症の検査・治療
検査
超音波検査やCT検査で石の存在を確認します。
治療
痛みがある場合は治療が必要になります。治療は手術であり、胆石ごと胆のうを取り出します。不思議なことに、胆のうが全くなくなっても特に消化機能に支障がないのです。
■ 胆のうや胆管に強い炎症が起こっている場合
胃カメラのような内視鏡を十二指腸まで入れ、石を排出させたり、胆汁を流しだす処置を行います。
■ 痛みがない結石が健康診断などでたまたま見つかった場合
治療をしない場合も多いですが、飲み薬で胆石を溶かす治療や、衝撃波を体の外から当てて胆石を細かく砕く治療を行う場合もあります。
最後に医師から一言
食生活に気を付けるとともに、食後にお腹の右上が痛くなり2時間程度で楽になるということを経験した場合は、胆石を疑って受診するようにしましょう。
石が残っている場合、大きな発作が起こる前に手術をしておくことを勧められるかもしれません。
(監修:Doctors Me 医師)
参考文献