夏に向けてどんどん日照時間も伸び、日差しが強くなってきましたね。アトピーの方は日焼けや紫外線に対してとくに症状が強く出てしまうなど、日差しの季節にお悩みの方も多いのではないでしょうか。

 

今回は、アトピーの方やアトピーのお子さんをお持ちの方にぜひ知っておいてほしい、肌に優しい日焼け止めの選び方や避けるべきものなど、肌を優しく守るためのポイントを皮膚科医・小児科医の竹中先生に解説していただきました。
 

 

アトピーってどんな状態? 

アトピーの男の子

 

アトピーの方の紫外線ケアについて説明する前に、改めてアトピーについておさらいしておきましょう。 

 

症状

アトピー、つまりアトピー性皮膚炎とは、もともとアレルギーを起こしやすい人や肌の乾燥しやすい人に見られる、肌の炎症を伴う病気です。よくなったり悪くなったりを繰り返しながら長期間にわたり肌の炎症が続きます。

 

原因

アトピーは、肌のバリア機能が弱っているために肌にとってよくない物質、例えば細菌やウィルスが容易に皮膚の内側に入ってきてしまうために炎症が起きることが原因の疾患です。

 

本来であれば、皮膚は外から侵入してくる細菌やウィルスやアレルギーの元となる物質から身を守るためにあるものですが、アトピー性皮膚炎の方の肌はそのバリア機能が弱っているため、いろいろなところから細菌やウィルス、アレルギー物質が入りやすくなっています。そういった外部からの"敵"の侵入によって皮膚が炎症を起こしてしまうのです。

 

 

日焼け止めを使ったほうがよい?

日焼け止めを顔に塗る女性

 

アトピーの方は肌のバリア機能も低下しているため、外からの刺激を非常に受けやすい状態になっています。

 

アトピー性皮膚炎の原因となるのは、カビ、ハウスダストや化粧品、金属、消毒液などの化学物質、こすったりひっかいたりの刺激、汗、汚れなどですが、それらに加えて紫外線も刺激物質となりえます。

 

こうした原因に対してはできるかぎり使用しない、当たらないことがベストですが、もしどうしても避けられない場合はそれをガードすることが重要になります。紫外線については日焼け止めを使う、日光に当たる部分を少なくするなどの対策ができるとよいでしょう。 

 

紫外線によるアトピー肌への影響ですが、紫外線によってかゆみを強く生じたりまた日焼けを強く受けてしまったりというものが挙げられます。

 

美白化粧品で代替するのは?

ちなみに「紫外線カット機能のある美白化粧品を日焼け止めの代わりにすることはできるのか」という質問がよくありますが、これはアトピーの方にとってはさらなる刺激になりますので控えたほうがよいですね。

 

美白化粧品には日焼け止め成分以外にも肌を白くする刺激物質が入っています。こうした刺激物質は痛みやかゆみを非常に生じやすく、アトピー性皮膚炎をさらに悪化させる可能性がありますのでできるだけ使用しないようにしましょう。

 

 

日焼け止めの選び方・使い方

日焼け止めを塗る女性

 

アトピー肌に使う日焼け止めは、以下のポイントに気をつけて選びましょう。

 

1. 紫外線吸収剤が使われていない日焼け止め

アトピー肌には、できるだけ紫外線吸収剤ではなく、紫外線を跳ね返すような紫外線散乱剤が入っているものが望ましいです。

 

2. 落としやすい日焼け止め

アトピー性皮膚炎の人はただでさえ肌のバリア機能である保湿力が乏しいので、それ以上に肌の保湿成分を奪ってしまうような強力な洗浄はできるだけ避けましょう。理想は普段使っている石鹸で充分に落とせるようなものがよいですね。

 

3. ナノ化していない日焼け止め

ナノ化している日焼け止めは、肌につけると非常に見栄えがよくきれいに見えますがが、肌の奥深くまで浸透してしまうためアトピーで荒れてしまっている肌には負担が強すぎるので避けましょう。

 

 

子どものために気をつけてあげたいポイント 

赤ちゃんの面倒を見るお母さん

 

アトピー性皮膚炎があると親御さんが非常にいろんなことを心配され、食べ物ひとつとってもあれはダメこれはダメと思ってしまいがちです。

 

日焼け止めにおいても、オススメできる要素はいくつかありますが「絶対ダメ」なものはありません。いろいろと制限するのではなく、お子様に合ったものを選んであげましょう。

 

日焼け止めでも、高級品だからよいのだろうと高額な日焼け止めをお子様に塗っているお母様もいらっしゃいますが、そういったものには添加物や香料も非常に多く含まれていることもあるため、むしろ逆効果である可能性もあります。アトピー肌の子どもには無添加無香料で肌に優しい成分を使ってあげることが大切です。

 

 

最後に竹中先生から一言 

帽子と長袖を着ている子供

 

私の子どもは、日焼け止めにかぶれたことから肌にアレルギーがあるということがわかりました。

 

日焼けを防ごうと思っても、日焼け止めを塗るという選択ができないこともあります。そのような場合には、UV効果のある帽子やジャケットなどを着てお出かけするのでもよいですね。また、パウダータイプの日焼け止めも最近は出ているので、外出先でも塗り直したいときに重宝しました。

 

SPFは高ければいいというものではなく、20から30程度あればお散歩するのには充分です。無理に高いものを選ぼうとせず、20から30程度のSPFがあるものを2、3時間おきにこまめに塗り直してあげるのが一番効果の高い塗り方です。ぜひ楽しいお散歩の時間を楽しんでくださいね。

プロフィール

監修:医師 竹中 美恵子
広島大学附属幼稚園小学校中学校高等学校卒業 金沢医科大学卒業 平成23~28年 広島市民病院 小児科 神経小児科 平成28年12月~女医によるファミリークリニック 院長 日本小児科学会、日本小児神経学会、日本リウマチ学会、日本周産期新生児医学会 、日本アレルギー学会、日本小児皮膚科学会所属。 日本周産期新生児医学会認定新生児蘇生法専門コース取得。 小児慢性特定疾病指定医、難病指定医、子どもの心相談医、キレーション認定医。 レインボータウンFM 上野淳の東京夜会、広島ホームテレビ 子育て応援団、GINGER、25ans、週刊ポスト、えんじいな、広島そごう子育てコーナーコラム担当等 多数雑誌、テレビ、ラジオのメディアに出演。