新型コロナウイルスの影響で、熱を測る機会が増えました。
新型コロナでは当初「37.5度」が感染を疑う目安とされました。ただ、「そもそも平熱が37度を超えているけど、受診すべき?」「37度台になったらふらふらでもう歩けない」など、人によって熱に対する感覚や症状も違うのではないでしょうか。
今回は、体温のメカニズムや平熱の計り方などを説明します。
「平熱」「発熱」の定義って?
何度くらいが平均的な「平熱」なの?
少し前の研究データですが、健康な日本人の平熱は36.6℃から37.2℃の間とされています。
これは脇の下で(実測)30分で測った体温のデータで、この間に7割ほどの人が該当すると言われています。
定義と実際の「平熱」は異なる
とはいえ、平熱といっても個人差が大きく、低めの人、高めの人がおり、絶対値だけですぐに異常である、健康である、ということはできません。
感染症法という法律では、37.5度以上を「発熱」、38.0度以上を「高熱」と分類していますが、先ほど述べたように人によって平熱が異なることから、平熱と比べて明らかに体温が高ければ「発熱」と考えます。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について」の一部改正について
人によって平熱が違うのはなぜ?
平熱とは、健康なときの体温のことを言います。体温は基礎代謝量や体温調節機能の影響を受けます。
筋肉量の多い人は基礎代謝量(脳や筋肉などに使用される生命活動のための最低限のエネルギー量)が多くなっていますし、食生活などの環境要因により体温調節機能も変わってきます。
一般的に乳幼児では平熱は高め、高齢になると平熱は低めになる傾向があります。
赤ちゃんの発熱は何度から注意が必要?対処法と病院に行く判断基準
平熱は時間や環境などでも変わる!
体温は、食事や運動、睡眠、女性であれば月経の周期、1日の中でも時間帯によって変動することが知られています。
これはホルモンや交感神経・副交感神経の活動、それに食事や運動といった変化があるためで、1日のうちでは朝が一番低く、夕方にかけて高くなるのが一般的です。
自分の平熱のリズムを知っておくには、起床時、午前、午後、夜と時間帯ごとの体温を測定しておくと良いでしょう。
正しい体温の計り方
体温は体の中心に近ければ近いほど高く安定しています。
体の状態の指標とするための体温は、通常、脇の下や舌下、耳、直腸といった体の中心に近く安定して測定できる場所を用います。
測定する場所によって正しい測定の仕方や適している体温計が変わりますので注意しましょう。
一番よく使われる脇の下で体温を測定する場合には、脇に汗をかいている場合には拭き取り、体温計はななめ下から脇の下のくぼみに先端を当てて測定します。
脇が密着するようしっかり閉じて、安静にして測定しましょう。
機器によって適切な測定時間が異なりますので、お手持ちの体温計の使用方法を確認しておくと良いでしょう。
まとめ
新型コロナウイルス感染症では受診の目安となる体温の基準はなくなりましたが、ご自身の体調を把握しておくためにも普段の平熱を知っておくことはとても大切です。
「37.5度」という数値にこだわらず、普段の平熱と比べて熱っぽいと感じた場合は医療機関に相談してみましょう。
【新型コロナの最新情報を網羅!】症状や感染経路、感染判断の目安
プロフィール
- 監修:医師 松浦 恵
- 北海道大学医学部卒業後、大学病院、小児病院などで勤務したのち、東京医科歯科大学大学院を卒業。研究を続けながら、成長発達、思春期、内分泌疾患を中心に、健診や予防接種も含めた臨床に携わっている。