パソコンやスマートフォンを用いたコミュニケーションも増え、私たちは日々、目を酷使しています。
特に人間は外から取得する情報の大部分を視覚情報に頼っており、目に関連する症状が増えるのは当然かも知れません。
今回は代表的な目の症状や、症状に対応する成分を含んだ目薬を紹介します。もちろん中には受診したほうがいい症状もあるので、参考にしてください。
代表的な症状別、目薬の成分や種類
目の症状として代表的なものと、それに伴う目薬の成分・種類などを紹介します。
商品パッケージの裏などに成分が書いてありますので、目薬を選ぶ際などに見てみるといいかもしれません。
ドライアイ
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム(角膜保水、保護)
眼精疲労
シアノコバラミン(末梢神経修復作用)
ネオスチグミンメシル硫酸塩(目のピント調節を助ける)
目やに
スルファメトキサゾールナトリウム(抗菌)
充血
テトラヒドロゾリン(血管収縮)
ナファゾリン塩酸塩(血管収縮)
グリチルリチン酸ニカリウム(抗炎症)
プラノプロフェン(抗炎症)
目のかゆみ
クロルフェニラミンマレイン酸塩(抗ヒスタミン作用)
クロモグリ酸ナトリウム(抗アレルギー作用)
ケトチフェンフマル酸塩(抗ヒスタミン作用)
眼科で処方される目薬と市販薬の違い
上記の成分のうち、シアノコバラミンやネオスチグミン、プラノプロフェン、クロモグリク酸ナトリウム、ケトチフェンなどは眼科で処方される目薬と同じ成分です。
その他の成分に関しては、眼科で主に治療に使われる成分とは少し異なることが多いです。ただし、市販薬は効果がないというわけではありません。
市販薬の強みは、ひとつの目薬に複数の症状を緩和することができるさまざまな成分が含まれていることです。
一方、眼科での処方薬は、症状ごとに目薬が割り当てられる可能性があります。
以上を考慮した上で市販薬を選んだり、または受診のタイミングを考えたりする必要があります。
目薬を選ぶポイントや注意点
使用しているコンタクトに合った目薬を
コンタクトレンズを使用している場合は注意が必要です。
多くの目薬に含まれる防腐剤は、容器内の雑菌が増えることを防ぎますが、レンズと吸着して角膜を傷つけることがあります。
ハードコンタクトや一日使い捨てのコンタクトに関してはさまざまな考え方がありますが、基本的には市販薬のパッケージの指示に従うようにしてください。
目薬の使用期限は?
市販目薬に防腐剤が含まれていても、開封後の期限は3ヵ月以内(医療用点眼剤は開封後1か月以内)であることも注意が必要です。
市販薬の中には、容器が点眼一回分に小分けされている物も販売されています。長期間保存したい場合にはこういった薬を選ぶのもおすすめです。
眼科を受診する目安やタイミング
初めて経験するような症状である場合、念のため眼科を受診することが望まれます。
また、市販の目薬を使用したにも関わらず、症状が悪化する場合や3〜4日しても症状に変化が無い場合、症状を繰り返す場合は受診を検討しましょう。
加えて、市販薬には目の周りに塗る軟膏(眼軟膏)は販売されていないことから、目の周りに症状がある場合は受診をする目安となります。
目薬の正しい使用方法
開封前はパッケージに記載の期限を参照し、開封後は防腐剤含有であっても3ヵ月以内のもののみを使用するようにしてください。
それよりも短い場合は基本的にパッケージ、または説明書に記載があると思いますので指示に従うようにしましょう。
目薬差すのが苦手。おすすめは「げんこつ法」
差し方については、自分で点眼する場合は「げんこつ法」で行うと、手元が安定して点眼しやすくなります。
画像引用:日本眼科医会「目薬の使い方」
1、しっかりと手を洗う
2、グー(げんこつ)の手を頬あたりに置き、下瞼を軽く引く
3、げんこつに目薬の容器を持つ逆の手を置き、確実に点眼する
※医師からの特別な指示がある場合は、それに従ってください。
子供の目に差す場合は、下瞼を軽く引いて目を上に向けてもらうと恐怖を感じさせることなく点眼できることもあります。
画像引用:日本眼科医会「目薬の使い方」
最後に薬剤師からアドバイス
目薬は非常に購入しやすい薬です。しかし目の構造や涙の構成は複雑で、かつ多くの神経や細胞が関わっています。
そのため、市販の目薬で改善が感じられない場合は、一度薬剤師に相談するか、眼科を受診するようにしましょう。
仕事においてもプライベートにおいても、多くの情報はあなたの目から入ってきます。目を酷使した後は、ホットタオルや遠くを見ることで目の筋肉を休ませてあげるなどして労ってあげましょう。
厚生労働省「スイッチOTC医薬品の候補となる成分についての要望に対する見解」
東京医薬品工業協会 点眼剤研究会・大阪医薬品協会 点眼剤研究会「点眼剤の適正使用ハンドブック」
プロフィール
- 薬剤師 志村駿介
- 大型調剤薬局にて調剤業務を経験。その後、市販薬やサプリメント、健康機器の販売業務にて人々のセルフメディケーションの手助けを行う。現在は薬学博士取得のためヨーロッパで最新の薬物治療や医療制度を学びながら、Malta Medicines Authorityにて医薬品の安全性評価や規制の仕事を行っている。