全身性エリテマトーデス(SLE)とは
全身性エリテマトーデスは、「SLE」と略して呼ばれます。発熱、全身倦怠感などの炎症を思わせる症状と、関節、皮膚、内臓などのさまざまな症状が一度に、あるいは次々に起こってきます。その原因は今のところ分かっていませんが、免疫の異常が病気の成り立ちに重要な役割を果たしています。また、この病気は公費負担の対象疾患です。
全身性エリテマトーデス(SLE)の症状
「全身症状」1週間以上続く38度以上の高熱、2週間以上続く37.5度前後の微熱、全身倦怠感、疲労感等があります。発熱は病気の初発症状であったり病気の活動性の目安になったりします。
「関節症状」
手や指の関節が腫れて痛む。膝や肘などの関節が腫れて痛む。また、日によって場所が変わる移動性の関節炎が見られることもあります。まれに関節の変形も見られることがあります。
「皮膚症状」
頬に出来る赤い発疹で、蝶が羽を広げている形をしている蝶形紅斑が出ることが有名です。
丸く連なったディスク状の発疹も見られます。場所として多いのは顔や耳、首です。蕁麻疹が出やすくなりレイノー現象と言って、指が白く、冷たくなる現象や手掌や爪周囲の紅斑もみられます。
「日光過敏症」
紫外線に当たると、赤い発疹、水疱、熱が出ます。この症状がこの病気の始まりであることも少なくありません。
「口内炎」
口の奥や頬の部分にできます。痛みが少ないのが特徴です。
「脱毛」
円形脱毛のように部分的に髪の毛が抜けたり、全体の髪の量が減ったりすることもあります。また、髪が痛みやすく、髪の毛が途中から折れてしまう人もいます。
「臓器障害」
様々なもの(腎臓・脳や脊髄・消化器・心臓・肺・血液)が知られていますが、すべての症状が起こるわけではなく、一人一人によって、出てくる症状や障害される臓器の数が違います。また、全く臓器障害のない、もしくは軽症のひともいます。
全身性エリテマトーデス(SLE)の原因
初めは特徴的な皮膚の症状が出ることから、皮膚の病気と考えられていました。 その為、紅い皮疹の特徴からループス・エリテマトーデスと名付けられていましたが、その後皮膚だけでなく内臓にも障害が起こることが判明し、1980年に全身性エリテマトーデスという病名がつけられました。発症の引き金になるものとして、強い紫外線による日焼けが知られています。日焼けは火傷の一種で、紫外線に当たると細胞内のDNAが流れだし、それを自己の細胞が外敵とみなすことによって、免疫システムが壊れることで全身性エリテマトーデスを発病するのではないか、と考えられます。また、ウイルス感染によって自己の成分が変化し、それが異物と認識されてしまうことで 発症すると考えられれています。さらに、傷を負ったり外科手術などをきっかけに発症することもあります。女性ホルモンの分泌に影響する妊娠・出産が発病のきっかけになることもあります。 胎児を自己の何らかの機能が異物と捉え、大きな影響が出ると考えられます。女性ホルモンには、抗体や炎症にかかわるサイトカインなどの物質をつくりやすくする働きがあります。
この様にSLEの原因には、免疫異常、遺伝的要因、ホルモン、環境要因(紫外線・寒冷刺激など)が複雑に関与しているとのことですが、これだという原因が今の段階ではまだ分からない膠原病の一種です。
全身性エリテマトーデス(SLE)の予防・治療法
全身性エリテマトーデスの正確な原因がほとんどわかっていない為、予防や治療は大きな課題となっています。この病気は予測不可能で個別に症状の違う、消耗性の症状のある疾患ですが、病気を悪化させないように気をつける点はいくつかあります。1.服用している薬、特にステロイド薬は自分の判断で減らしたり中止したりすることは絶対に避けなければなりません。
2.外出時には、紫外線、特に日光過敏症のある方は肌の露出を最小限にする。日傘や帽子、サングラス等使用し、紫外線対策が必要です。
3.ステロイド薬を服用すると、食欲が増進し肥満になったり糖尿病になりがちです。食事の量に注意し、脂肪や糖質の多い高エネルギー食を避け、栄養のバランスのとれた食事を摂ることが大切です。ステロイドは骨粗鬆症にもなりやすいので骨粗鬆症のお薬も併せて処方されることがあります。
4.全身性エリテマトーデスにとって、ストレスと過労は大敵です。疲れが激しい、だるい、微熱がある、などがある場合には、思い切って仕事や会社、学校などを休んで安静にすることも大切です。
5.寛解期には過労にならない程度の軽い運動やレクレーションは可能です。紫外線対策をしっかり行うと共に、怪我や骨折をしないよう気をつけます。靴はヒールのあるものを極力避け、低く安定した履物を使用します。
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