破傷風とは
破傷風は、破傷風菌が体内に侵入することで発症する感染症です。発展途上国で多い病気で、特に乳幼児に多くみられます。破傷風菌は土壌の中に常在しており、傷口から体内に侵入してきます。体内に侵入した菌が出した毒素によって、筋肉の痙攣や麻痺が引き起こされ、死に至ることもあります。
破傷風の症状
破傷風の潜伏期間は3~21日で、症状は4段階に分かれます。第1期…潜伏期間後すぐです。口を開けにくくなるため、歯が噛み合わされた状態で食事が困難になります。また、寝汗や首筋が張るなどの症状も現れます。
第2期…開口障害が進み、顔面筋が緊張したり硬直したりすることで、額にしわができます。さらに、痙笑といわれる苦笑したような表情になります。
第3期…最も生命が危険な状態です。頚部硬直や背筋の緊張及び強直が起こることで、発作的な強直性痙攣やバビンスキー、クローヌスなどが起こります。
第4期…全身性の痙攣がなくなり、症状は徐々に回復に向かいます。
破傷風の原因
破傷風は、土の中にいる破傷風菌が、傷口から体内に侵入することで発症します。特に、動物の糞などで汚れた土は危険性が高いです。自分では気づかないほど小さな切り傷から感染する場合が多くあります。土の中に存在しているときは、芽胞の形の破傷風菌ですが、体内に侵入すると、感染した場所で、発芽及び増殖し、破傷風の毒素を産生していきます。また、新生児が発症する場合は、不衛生な環境での、へその緒の切断が原因となることがほとんどです。
破傷風の患者や動物から感染することはありません。発展途上国に多い疾患で、破傷風による死亡者は、数10万~100万人といわれています。
破傷風の治療法
破傷風の予防には、予防接種を受けるのが効果的です。日本では、小児定期接種の中に含まれており、乳児期にほぼ全員が予防接種を受けています。全部で3回の接種が必要で、生後3か月から1歳にかけて行います。免疫は、4~10年、免疫記憶は25~30年ほどです。免疫記憶が残っているうちは、1回の接種で再び免疫が成立します。海外渡航や動物咬傷に対する予防接種を検疫所で行っているため、必要に応じてその都度接種しなければなりません。
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