臍帯ヘルニアとは
臍帯ヘルニアとは、臍帯(へその緒)内に生じるヘルニアの一種で、多くの場合は出生前に診断される病気です。腸管や肝臓といった臓器がへその緒から突出してしまうため、正常な成長の妨げとなります。発症頻度は1万人に1人程度ですが、半数以上の症例で染色体異常などの奇形を合併することになります。
臍帯ヘルニアの症状
基本的には出生前に診断されるケースが大半です。へその緒の内側に胃腸や肝臓などの臓器が突出していたり、へその緒が破裂して脇から腹腔内臓器が飛び出していたりといった症状を見せます。ヘルニアのサイズが小さく、出生前に発見されなかった場合でも、出生時には容易に発見できます。臍帯ヘルニアでは、50~80%に染色体異常や泌尿生殖器、中枢神経系などの重症奇形を合併します。
なお、はみ出している臓器がへその緒のどの部分であるかによって、臍上部型、臍部型、臍下部型の3種類に分類されます。最も多く見られるのは臍部型であり、こちらは比較的奇形は少なめです。
臍帯ヘルニアの原因
臍帯ヘルニアの原因については確定的な説はまだありませんが、有力とされている説が2つあります。・腹壁形成不全説
正常な発育では、胎生3~4週頃に腹壁が形成されることになります。しかし、何らかの理由によって腹壁の形成に障害があり、完全に閉鎖されなかった場合に臍帯ヘルニアが引き起こされるのではないかという説です。臓器が大きく飛び出ているような臍帯ヘルニアはこちらの原因だと考えられています。
・腸管腹腔内還納不全説
胎生8~10週頃になると、へその緒の中にあった腸管が腹腔内に戻ることになります。ところが、これが完全に戻りきれないまま成長が進んでしまうと、臍帯ヘルニアが引き起こされるのではないかという説です。こちらは小さめの臍帯ヘルニアの原因だとされています。
臍帯ヘルニアの治療法
臍帯ヘルニアは、胎生20週ごろに胎児エコーによって診断されることが多いです(出生前診断)。事前に判明した場合には、あらかじめ新生児外科治療が可能な施設へ紹介を受け、そこでの分娩ができるよう環境を整備しておくことが大切です。出生時に診断された場合にも、速やかに同様の施設への搬送が求められます。実際の治療法は、臍帯ヘルニアの程度や、合併している症状によって変わってきます。ひとまずは脱出した臓器をもどし、腹壁を閉鎖する手術がなされますが、それに伴って腹圧や横隔膜、静脈の循環などに影響が出ます。
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