多くの女性や男性がやせたいと思い、ダイエットに挑戦しますが、中にはそれが引き金となり過食症に陥ってしまうことがあります。なぜ、痩せたいと思っているのに過食症になってしまうのか。また、なかなか改善することができないのは、なぜか。今回は、過食症の実態について、医師に伺いました。

過食症、恐怖の症状

過食症は拒食症と同様、摂食障害の一種で、神経性大食症とよばれることもあります。ストレスなどが引き金となり、たくさんの食べ物を一度に食べて、その後に自分で嘔吐したり、下剤で出してしまったりします。いっぽうで、嘔吐などは行わないケースもあります。やめたくてもやめられず、過食や嘔吐などの行為を繰り返してしまうのが特徴です。うつ病や睡眠障害などを合併することもあります。

繰り返す過食・嘔吐による弊害

過食や嘔吐、下剤の使用などの行為を続けていると、次のような重篤な疾患が体中に現れ、最悪のケースでは死に至ってしまうことも……
・糖尿病やミネラル不足
・けいれん
・骨粗しょう症
・無月経
・胃炎や食道炎
・貧血
・脱毛
・全身倦怠感

過食症の原因と対策

<原因>
仕事や学校、家庭などのストレスや、無理なダイエットが発症のきっかけとなります。
<対策>
なるべく過食をしそうな時は別の行動を行うなど、意識をそらしていったり、食事の時は人と一緒にとるということが改善の方法となります。
<治療方法>
カウンセリングや、対人関係療法といってストレスとなる対人関係の問題を見ていく治療法や、認知行動療法といって食事の記録をつけ、どのようなパターンや考え方が過食につながっているかを見て、客観的な視点をもつようにしていくことを行っていく治療法が有効とされています。不安などの気持ちが強い場合は、抗不安薬の内服なども併せて行なわれます。

医師からのアドバイス

過食症になりやすい人は、「自分が嫌い」、「自分を好きになれない」など、自己否定感をもっていたり、自己評価の低い人であることが多いです。その理由のひとつに、家庭環境が関係していることもあります。両親が不仲であったり、親から過度の期待をかけられていたりして、バランスがとれず、ストレスや本心を人に打ち明けられない、肝心なことが言えないなどの苦しさを抱え、それが食べ物に向けられてしまうことが多いといえます。