エイズ(HIV)の症状

感染初期には初期症状としてインフルエンザに似た症状(39〜40℃の発熱など)が出ることがあります。HIVに感染してから約2週間後に発症し、数日〜数週間後には治まります。
  
ただし、人によって差があり、必ずしも初期症状があるわけではないし、たとえ発熱があったとしても、単なる風邪だったということも多く、それだけでHIVに感染したと判断することは出来ません。

HIVウイルスは、体内で増殖していくとともに、人間の身体の免疫細胞を少し筒ずつ壊していきます。そのため、進行すると、免疫力が落ち、通常の身体では病気を発症しない程度の菌に対しても抵抗力がなくなり、感染してしまうようになります。(日和見感染といいます)
周囲にいる少しの細菌にも感染し、肺炎等を引き起こし、そして重傷化していくでしょう。

エイズ(HIV)の原因

HIVウイルスに感染すると、HIVウイルスは血液、精液、膣分泌液、母乳などに多く分泌されます。唾液、涙、尿などの体液では他のヒトに感染させるだけのウイルス量は分泌されていません。感染は、粘膜(腸管、膣、口腔内など)および血管に達するような皮膚の傷(針刺し事故等)からであり、傷のない皮膚からは感染しません。そのため、主な感染経路は「性的感染」、「血液感染」、「母子感染」となっています。
 
HIV感染は、性行為による感染が最も多いです。主として、女性は膣粘膜から、男性は性交によって生じる亀頭部分(粘膜)の細かい傷から、精液、膣分泌液に含まれるHIVが侵入することで感染します。また、男性同性間の性的接触では、腸管粘膜から精液中のHIVが侵入します。機械的な刺激の強い膣や口腔の粘膜は重層ですが、腸管粘膜は単層であることから傷つきやすいため、HIVが侵入しやすく、膣性交よりも感染リスクが高くなります。
  
輸血、注射器・注射針の共用による麻薬の回し打ち、医療現場による針刺し事故などから、感染者の血液が他のヒトの血管中に侵入することにより感染が成立します。麻薬や覚せい剤を注射器・注射針を共用して回し打ちをすることは、HIV感染のみならず、C型肝炎についても非常に感染率が高くなります。輸血については、現在、日本赤十字社においてすべての献血血液について非常に厳格なHIV検査を実施しているため、感染の危険性は極めて低いです(ただし、献血のHIV検査結果は献血者本人にはお伝えしていません)。医療現場による針刺し事故は主として医療従事者に起こりえますが、注射針の安全な取り扱い、適切な廃棄、また、万が一、HIV感染者の血液により暴露事故が起こってしまった場合には、2時間以内に抗HIV薬の予防内服を行うことによって、感染の危険性を低下させることができます。
  
母子感染は、出産時の産道感染、母乳哺育による感染、胎内感染があげられます。このため、母子感染を防止するためには、(1)妊娠初期のHIV検査実施による感染診断、(2)妊娠中の抗HIV療法、(3)陣痛発来前の選択的帝王切開術、(4)帝王切開時のAZT点滴投与、(5)出生児へのAZTシロップ予防投与、(6)出生児への人工乳哺育、などの適切な母子感染予防対策を実施することにより、現在では母子感染率を0.5%未満にまで低下させることが可能となっています。

エイズ(HIV)の予防・治療法

HIVは血液、精液、膣分泌液などに多く分泌されますので、それらの体液が粘膜や傷のついた皮膚に触れないようにすることが必要です。  
  
HIV感染の一番多い感染経路である性行為の場合、HIV感染を防ぐためには、必ずコンドームを使用すること、また、相手に使用してもらうことが重要です。オーラルセックスの場合も、口腔粘膜から感染の危険性があるため、コンドームを使用することが大切です。(クリニングスでは、コンドームをハサミで縦向きに切り広げて、膜として使用します。)
デンタルダムというシートも売られています。食品用ラップフィルムも単純ヘルペスウイルスの感染を防ぐというデータがあります。

治療は、抗HIV薬を内服する事です。血液中のリンパ球の数の経過を見ながら治療の開始時期を決定していく必要があるため、医師と相談し、経過をみながら内服治療をしていきます。身体の免疫系に作用させる内服を数種類内服します。内服治療により、エイズの発症を遅らせることができるでしょう。