膣のかゆみや赤みとは
膣が炎症を起こした状態を、膣炎と呼びます。膣の粘膜が赤くなり、ヒリヒリとした痛みやかゆみなどの症状が出ます。原因によっては、おりものが増え、悪臭を放つ場合もあります。
膣炎の症状
膣炎の症状は、その原因となる病気によって異なります。主な膣炎の症状について説明します。カンジダ膣炎(膣カンジダ症)
カンジダ膣炎の場合、おりものの量が増えます。悪臭はほとんどしませんが、白くチーズのようなおりものが出ます。かゆみがかなり強く、外陰部が赤くなることもあります。
細菌性腟炎
細菌性膣炎の場合、赤みやかゆみが出ることはあまりありません。おりものは水っぽく、黄色や茶色、灰色などです。魚のような生臭い悪臭を放つことがあります。自覚症状がない場合もあります。
トリコモナス膣炎
トリコモナス膣炎の場合、かゆみや痛みがあり、外陰部が赤く腫れることもあります。黄緑色っぽいおりものが出ます。おりものは泡立っていることや、悪臭を放つことが多いです。
クラミジア感染症
クラミジアに感染した場合、粘り気のあるおりものが出ることがあります。不正出血や、腹痛が起こることもあります。自覚症状があまりなく見逃してしまうと、子宮頚管や卵管まで感染してしまうこともあります。感染が広がると、激しい腹痛を起こすこともあります。
膣炎の原因
膣炎は、さまざまな原因によって引き起こされます。多いのは、性交渉で原因となる細菌や真菌に感染するケースです。トリコモナス、クラミジア、カンジダなどが挙げられます。この場合、性的パートナーも一緒に治療しないとお互いに感染を繰り返し、なかなか完治できません。また、膣は大変デリケートな場所のため、性交渉による細菌感染以外の原因で膣炎を起こすことも多いです。疲労やストレスなどで抵抗力が落ちてくると大腸菌やブドウ球菌といった、一般的にありふれた細菌に感染することもあります。タンポンの長時間の使用や、洗浄力が強すぎる石鹸やボディソープなどで膣を洗った場合も、感染しやすくなって膣炎を起こすことがあります。
また、閉経後は卵巣から分泌されるホルモンが減少し、粘膜が薄くなり粘液も減少します。膣は傷つきやすく、炎症が起きやすくなります。「萎縮性膣炎」とも呼ばれます。
膣炎の治療
膣炎の原因となったウイルスや細菌に応じて、薬物治療を行います。膣錠やクリーム、必要であれば抗菌薬を用います。
膣炎の予防
排便後は前から後ろに向かって拭く
細菌性膣炎の予防には、膣の清潔を保つことが重要です。肛門からの感染を防ぐために、排便後は前方から後方に向かうように拭き取る習慣を身に付けましょう。
性交渉時はコンドームを使用
性交渉による感染の予防には、コンドームが最も有効です。途中からつけるのではなく、はじめからコンドームを着用しましょう。
タンポンは長時間入れない
生理中にタンポンを長時間入れっぱなしにすることや、長期連用することはやめてください。挿入時に膣壁を傷つけてしまうこともありますし、細菌が繁殖することもあります。
洗いすぎない
膣は、化学的な刺激にとても敏感です。洗浄力が強すぎる石鹸やボディソープを使って膣を洗うことは避けましょう。また、頻回すぎる洗浄は、炎症を起こしやすくします。
通気性のよい衣類を
肌着や衣類は、なるべく通気性のよい物を選びます。補正下着やストッキングなど、締め付けの強い下着を長時間着用すると、陰部が蒸れてしまいます。
生活習慣の改善
病原体への抵抗力を高めるために、体調を整えることも大切です。バランスのよい食事と十分な睡眠をとることを心がけましょう。
- このコンテンツは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません
- 専門家の皆様へ:病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください