C型肝炎とは
C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染によって起こる肝臓の病気です。 肝炎になると、肝臓の細胞が壊れてその働きが悪くなります。肝臓は予備能力が高いために自覚症状が出にくく、気づかないまま病気が進行していく場合が多いので、HCVの感染がわかれば、たとえ症状がなくても検査や治療を検討する必要があります。
C型肝炎の症状
肝臓は、栄養分の生成、貯蔵、代謝や、体内に侵入したウイルスや細胞感染の防御、出血を止めるための蛋白の合成、血液中のホルモンや薬物、毒物などの代謝、解毒、胆汁の産生と胆汁酸の合成などを行う機能を有していて、人間が生きていく上でとても重要な臓器であると言えます。「沈黙の臓器」などと呼ばれ、自覚症状が出にくいことで知られていますが、C型肝炎も決して例外ではなく、ほとんどの場合に自覚症状がありません。自覚症状があるとしても、なんとなくからだがだるいとか、疲れやすいといった全身の倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐などといった程度で、わかりにくいことがほとんどです。これに引き続いて、黄疸、肝臓の腫大が見られることがあり、次第に病気は進行していきます。
C型肝炎ウイルスに感染すると、その約70%の人がC型肝炎ウイルスの持続感染者(HCVキャリア)となり、放置したままだと病気が進行し、慢性肝炎、肝硬変、さらに肝がんへと進展する場合があるので注意が必要です。HCVキャリアとわかった人の大部分は、初診時の肝臓検査によって慢性肝炎と診断されますが、診断を受けても自覚症状のない場合がほとんどです。その場合でも定期的な検査と医師の指導による健康管理、必要に応じた治療は不可欠となります。
C型肝炎の原因
C型肝炎の原因は、C型肝炎ウイルスです。C型肝炎ウイルスは、感染者の血液がほかの人の血液内に入ることによって感染します。感染経路として最も多いものが輸血で、全体の約4割を占めています。ただ、現在は検査が徹底されているため、輸血による感染はまず起こり得ないと考えてよいでしょう。そうした過去の輸血や血液製剤の投与のほか、臓器移植、適切な消毒をしない器具を用いた医療行為、民間療法、刺青、ピアスの穴あけ、麻薬や覚せい剤の回し打ち、感染者とのカミソリや歯ブラシの共用などで、感染の可能性があります。つまり、普段の生活のなかに原因は少ないため、医療機関での感染予防、対策が重要な鍵を握っています。
また、ごくまれではあるものの、出産や性交渉の際にも感染の可能性があると言われています。ただ、普段生活をしていく上で、他人の血液に直接触れることがなければ、感染することはまずありません。C型肝炎に感染している人との握手や抱擁、隣に座る、入浴をともにする、といったくらいでは感染の心配はありません。また、あくまでも血液を介して感染するため、食器やコップを共用したり、キスをしたりといった唾液による感染もなく、日常の接触で感染することはありません。
C型肝炎の予防/治療法
C型肝炎の予防のためのワクチンや免疫グロブリンは、いまのところ開発されていません。感染を予防するためには、感染した人の血液に触れないことが大切です。1994年以前の輸血や、1998年以前の血液凝固因子製剤は検査が不十分だった可能性がありますが、現在使用されている輸血用の血液や血液製剤は、精度の高い検査を経ているために、輸血や血液製剤を介した感染はまず起こりません。常識的な生活を送っていれば感染の可能性はまずないと考えられています。
医療関係でなく注意が必要なのは、刺青やピアスの穴を開ける場合、使用する器具が清潔であるかどうか、必ず確かめることです。また、よく知らない相手との性行為には、コンドームを使用するのが安全です。また、C型肝炎の感染者が、ほかの人への感染を予防するためには、皮膚に傷ができたときはそれを適切に覆う、歯ブラシやカミソリなど、血液が付着するような可能性があるものは共用しない、鼻血、月経血などは自身で処理をするなどの対処が必要となってきます。そのほか、献血をしない、臓器提供や組織提供は行わない、精液は提供しない、など、注意しなければなりません。また、感染に対する予防の一環として、定期的に医療機関を受診して健康診断を行うことも大切です。
C型慢性肝炎~肝硬変になってしまった場合の治療としては、インターフェロンや抗ウイルス薬があります。2014-2015年にかけて新たな抗ウイルス薬が国内で承認され、治療の高い成功率が期待できるようになっています。
肝硬変が進んでしまった状態ではこれらのウイルスを排除するための治療ができないことがあり、肝機能を保つための内服や注射の治療や瀉血療法という定期的に血液を抜く治療があります。
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