内耳炎の症状

急性の内耳炎の場合には難聴や耳鳴り、回転性のめまい、吐き気、嘔吐といった激烈な症状がでます。平衡覚や回転覚が強く障害され、もはやまっすぐに歩くことはできません。
  
好酸球性中耳炎など慢性中耳炎などによって炎症が徐々に内耳へと波及した場合には耳鳴りや進行性難聴、軽度のめまいといった症状を呈します。さらに症状が進行すると、黄色もしくは白色の耳垂れがでるようになります。これは細菌感染による膿が原因です。
  
ただし、中耳炎や髄膜炎になったからといって必ずしも内耳炎に進展するわけではなく、抗生物質によって原因となっている細菌感染などが早期に治療できれば内耳炎にはなりません。

内耳炎の原因

内耳に存在する平衡感覚を司る三半規管などの前庭器官及び感音器官である蝸牛に炎症が生じ、機能低下するために起こります。一般には急性中耳炎や慢性化膿性中耳炎、真珠腫性中耳炎などの中耳炎の炎症が内耳へと波及することで起こります。
  
抗生物質の普及で中耳炎から内耳炎へと進行する例は減ってきたもの未だに好酸球性中耳炎では内耳炎が起こることが多いです。髄膜炎によって内耳炎が起こった場合は重度の難聴をきたします。
  
また、炎症が内耳に広がる経路としては正円窓や卵円窓、外側半規管、内耳道の4つがありその他の経路はまれです。真珠腫が原因の場合は、内耳の骨が破壊され中耳の炎症が内耳に波及することで起こります。

内耳炎の治療法

細菌感染による炎症の場合は抗生物質を用いて中耳炎と内耳炎を同時に治療します。同時に内耳の神経障害に対してはビタミン剤や副腎皮質ステロイド薬を用いて対処します。
  
真珠腫などによる慢性中耳炎が基礎疾患である場合には抗生物質の投与によって原因の炎症を抑えながらも、内耳の骨が破壊されている場合もあるので鼓室形成術という手術によって外科的に治療します。
  
また、内耳瘻孔がある場合には破壊された骨を修復して瘻孔を閉鎖する処置を講じます。髄膜炎による内耳炎の場合も基本は抗生物質で治療しますが、この場合、早期に適切な治療が施されないと難聴などの後遺症が残ることがあります。