アルコール性神経障害の症状

アルコール性神経障害の主な症状は両足の末梢にしびれや違和感、痛みを感じることです。痛みは強く、進行すると歩行困難や手のしびれ、手足の感覚麻痺などが症状として現れます。重症例では車いすが必要になることもあります。脳が障害を起こすウェルニッケ脳症を発症すると意識障害や眼球運動麻痺、歩行障害を起こし、後遺障害や最悪の場合、死に至ることもあります。
  
その他認知症の症状を示すコルサコフ症候群や歩行時にふらついた場合や言葉が明瞭でなくなる小脳変性症、筋肉や脊髄の障害の他、アルコールの禁断症状によるせん妄やけいれん発作などさまざまな病気に関係しています。

アルコール性神経障害の原因

アルコール性神経障害を引き起こす原因はアルコールそのものの毒性ではなく、食事を摂らずにアルコールを多飲することによってビタミンB1不足に陥ることが原因です。
 
アルコールを分解、排泄するためには体内のビタミンB1が必要とされます。しかしアルコールに依存している人は食事をあまり摂らずにお酒ばかり飲むケースが多く見られるため栄養障害を起こし、特にアルコールの分解に使われてしまうビタミンB1が不足します。そのためビタミン欠乏性の神経障害が起こります。
  
特にビタミンB1は糖代謝を行うために必須のビタミンなので、全身の、特に脳のエネルギーを生産できず、さまざまな神経障害を引き起こすのです。

アルコール性神経障害の治療法

アルコール性神経障害は多くの場合アルコール依存症に併発して発症します。そのためアルコール性神経障害を予防するためにはまずは飲酒をやめ、アルコールへの依存から抜け出すことが大切です。その上でバランスの良い食生活を実行し、ビタミンBの経口摂取を続けます。
  
またアルコールに依存している人はうつ病や精神的なトラブルを抱えている場合も多いので、心療内科など専門の医師に相談することも必要です。アルコール依存症ではないという人も日ごろから一日の飲酒量の適量を守り、食生活の栄養バランスを意識することが予防につながります。