症状

直腸炎は潰瘍性大腸炎の1つの病型ですが、1日に数十回もの下痢や腹痛を伴う潰瘍性大腸炎の症状は緩く、下痢が続いたとしても1日2~5回程度です。また、貧血や栄養障害などで全身が悪化して、命にかかわるというようなこともありません。
  
主な症状は、粘血便や血便、下痢、直腸からの粘液の流出で、痛みを感じることはありません。しかし、淋菌感染症、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス感染症によるものは、肛門と直腸に激しい痛みが現れることがあります。
   
クローン病や潰瘍性大腸炎が原因のものは、症状の強さと病気の重症度に関連性が認められています。

原因

直腸炎の原因はさまざまで、直腸に発生する潰瘍性大腸炎やクローン病が原因となることがあります。性感染症によるものでは、淋菌感染症、梅毒、クラミジア・トラコマチス感染症、単純ヘルペスウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症などにより発症します。特に男性の同性愛者に多いため注意が必要です。
  
性感染症以外では、サルモネラ属などの細菌が原因になることもあり、また、薬剤や直腸粘膜脱による刺激でも起こります。前立腺癌や直腸癌、子宮癌などの直腸に放射線をあてる療法により発症することも分かっています。免疫機能が低下している場合も発症リスクが高くなり、特に単純ヘルペスウイルスやサイトメガロウイルスによる感染症が原因です。

治療法

直腸炎は免疫機能が低下していると発病しやすいため、免疫機能の強化に努めるといいでしょう。体を冷やさないようにして、質の良い睡眠をとることが大切です。飲酒や喫煙を控え、十分な休養をとり、ストレスをためない生活習慣を身につけましょう。適度な運動や、栄養バランスのとれた食生活も重要です。
  
また、直腸炎の発症リスクを軽減するためには、性感染症からの保身が必要となります。危険な性行為を避けることで性感染の蔓延を防ぐことができます。