じっとしていられない症状

発達障害によるもの


ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)による症状は「多動性・衝動性」と言われます。


子どもの場合は……
・授業中じっとしていられない、席を立ったりする
・走り回ったり何かをよじ登ったり、じっとしていることが少ない
・大きな声で騒いだり、しゃべりすぎたりする
・順番を待つのが苦手
・突発的な言動が多い

大人の場合は……
・落ち着きがない
・体を動かしていることが多い(顔を触ったり、貧乏ゆすりをする)
・声が大きかったりおしゃべりだったりする
・順番待ちや交通渋滞が苦手
・考えずに発言したり、行動したりする

などがあります。

精神疾患や神経系の異常によるもの


統合失調症の急性期には幻覚や妄想などの症状が現れることがあります。

本人にとっては現実のように感じられるため、不安・恐怖・切迫感などが突然の言動に駆り立てることがあります。

また、双極性障害の躁状態のときは「自分はなんでもできる」という誇大妄想を持つことがあります。

自分の行動を止めることが難しく、多弁になり、寝る間を惜しんでエネルギッシュに活動します。

そのほか、病的な不安が続いて日常生活に支障をきたす不安障害や、神経細胞間の情報伝達がうまくいかないことで脚に我慢できない不快感が生じて脚を動かしてしまう「レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)」などもあります。

薬の副作用によるもの


抗精神病薬や抗うつ薬などの副作用で、体がそわそわしたりむずむずする症状が出ることがあります。すると座り続けることや横になっていることが困難になる人もいます。

じっとしていられない原因

発達障害は先天的な脳機能の偏りです。その発症原因はまだ解明されていません。

また、統合失調症や双極性障害、不安障害などの精神疾患も、原因ははっきりとは分かっていないのが現状です。ただ、精神疾患は身体的、心理的、社会的要因が複雑に関わって発症へと至ります。

レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の場合は、貧血や糖尿病、リウマチなどの病気や妊娠などが原因で起きるものと、神経細胞間の連絡役である物質「ドーパミン」がうまく働かなくなることで起きるものが主な原因とされています。

じっとしていられない場合の治療・対処法

ADHD(発達障害)の場合


ADHDによる衝動性・多動性は先天的なものであり、「どうして自分はできないのか」と本人自身が悩んでいることもあります。

そのため、まずは環境調整が第一の対処法となります。

周囲の人に協力を呼びかけ、集中しやすいような席の配置にしたり、パーテーションを設けるなどできる範囲のことから心がけていきます。

それでも難しい場合は、薬物療法や精神療法を検討します。

精神疾患の場合


精神科や心療内科で治療を受けます。精神疾患の治療の中心は薬の服用です。

その上で、自分の体調の波を把握して対処法を学んだり、考え方を整えていく精神療法や、病気によって落ちた能力を補う訓練などを行います。

その他


まずは医師に相談してみましょう。レストレスレッグス症候群の場合も、原因によって薬を飲む場合と飲まずに治療する場合があります。

薬の副作用についても患者自身はどの薬が原因なのか判断するのは難しいため、現在服用している薬を医師に丁寧に伝えましょう。