現代では、パソコンモニターやスマートフォンを見る時間は増加の一途をたどっています。そのため、気がつくと目に強い疲れがを感じることがありますね。これは社会的にも大きな問題になっています。

今回は、パソコンモニターやスマートフォンが目に与える影響について、医師に詳しい話を聞いてきました。

VDT症候群とは

長時間モニターやスマホ画面を見続けると、以下のような症状があらわれると考えられていて「VDT症候群/VDT障害(Visual Display Terminal Syndrome)」とよばれています。

VDT症候群の症状


・まばたきが減ることによるドライアイ症状(目の疲れ、渇き、充血、角膜や結膜の傷)
・肩、首のこり
・頭痛
手根管症候群
・心身の疲労

特に目が外に寄る外斜視・外斜位傾向のある人は、モニターの小さい文字を見続ける努ことで、強い疲れや眼精疲労を起こしやすいといわれています。

厚生労働省によるガイドライン


仕事でモニターを見てタイピング作業をする時間が長い人に対し、厚生労働省が以下のような「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を発表しています。
◎特別な健康診断を受けること
◎定期的に休憩をすること
◎作業環境に配慮を行うこと

画面から発生する「ブルーライト」

パソコンモニターやスマートフォンの画面からは、「ブルーライト」と呼ばれる短い波長の光が発生しています。

このブルーライトの光を多量に長時間浴びることで、網膜や網膜の下の「色素上皮」と呼ばれる組織に、光酸化ストレスが生じて損傷が起こるといわれています。

また、ブルーライトを見つめることによって体内時計が乱れ、不眠を引き起こす可能性があるともいわれています。
夜寝る前に暗い部屋でスマホを見る習慣のある方は、不眠の原因にもなりうるので、注意が必要です。

子どもへの影響

現代は、多くの人が仕事でもプライベートでもモニターやスマホ画面を見続ける、という生活をしています。いまだかつて、ここまで長時間、一般の人が目を酷使し続ける生活をするという事態はありませんでした。

特に子どもの場合、この先、長期的にこのような生活を続けると、どのような影響があるか予測できない部分があります。実際に、画面の小さい文字を凝視することで、近視が進むことは根拠があり、近年子どもの近視は増加しています。

パソコンモニターやスマホだけでなく、子どものゲーム時間も増える傾向があります。また、近年では3Dやバーチャルリアリティといった、自然な立体視とは異なる状況を体験させる機器が出てきています。

メーカーが「対象年齢12歳以上」などと表記している場合もありますが、こういった端末が子どもの視機能にどのような影響を与えるかを知るためには、まだまだ検証が必要です。

対策方法

VDT症候群の対策


厚生労働省のVDT作業のガイドラインは、以下についてにも言及しています。参考にするといいでしょう。

◎モニターの照度設定、環境整備をすること(モニターに照明や日光が移りこまないようにする、モニターを視線より少し下に配置し見下ろすようにするなど)

◎連続作業を行う時には1時間中に10分程度の休憩を設けること

スマホ画面


スマートフォンの画面については、以下のことにも留意してください。
◎可能な限り大きな画面にする
◎大きめの文字表示にする
◎ディスプレイを明るくしすぎないようにする

ブルーライトの対策


ブルーライトから受ける影響については医学的に検証されていない部分が多くありますが、対策として以下のようなことが考えられます。
◎意識的にまばたきをする
◎ドライアイ用の点眼を使用する
◎メガネやコンタクトレンズの度数を少しゆるくする

また、ブルーライトカットをうたうメガネ、スクリーン、ソフトウェアなどの「ブルーライト対策グッズ」は多く出ていますが、どこまで効果があるかは不明です。
しかし、使用して害があるわけではないので、ご自身に合った製品を探して、試してみるのもいいでしょう。

医師からのアドバイス

モニターやスマホを長時間見たからといって、失明に至るような障害が残ることは考えにくいですが、眼精疲労やドライアイの原因の一つにはなっていると考えられます。

今後、仕事や生活の中でモニターを見る時間は、ますます増えるかもしれません。うまく付き合っていくために、ご自身に合った対策方法を見つけられるといいですね。

(監修:Doctors Me 医師)