ブラッシングをしているときに、歯ブラシの毛先が当たった歯に痛みを感じたり、水がキーンとしみたりすることはありませんか?

もしかしたら、それは「知覚過敏」かもしれません。なぜ知覚過敏になってしまうのでしょうか?

今回は、知覚過敏のメカニズムや改善方法について、歯科医師に詳しい話を聞いてきました。

知覚過敏が起こるメカニズム

歯の表面はエナメル質で覆われ、その下には象牙質(ぞうげしつ)があります。
象牙質は「象牙細管(ぞうげさいかん)」という細い管の束で構成されていて、内側にある歯の神経とつながっており歯に受ける刺激を伝達する働きがあります。

知覚過敏は、なんらかの原因によりエナメル質が傷つき象牙質が露出してしまい、外からの刺激が象牙細管から歯の神経に伝わることで生じます。

知覚過敏の原因と対策

ブラッシング


特に、歯ブラシをするときに力が入りやすい犬歯や小臼歯(しょうきゅうし)の頬側の歯と歯肉の境は知覚過敏が発生しやすいところです。

■対策
歯ブラシの毛先は優しく丁寧に動かすことを心掛けて下さい。かための歯ブラシを使用したり、強圧で磨く癖があると、歯の表面のエナメル質がすり減ったり、欠けたりします。電動歯ブラシを使う場合も、歯ブラシの当て方や動かし方に気を付けましょう。


歯間ブラシ


サイズの合っていない歯間ブラシを使ったり、歯と歯肉の形態などに考えずに歯間ブラシを使うと、隣り合った歯と歯の間のエナメル質がすり減っていきます。

■対策
歯間ブラシは、挿入時に無理なく(抵抗なく)動かせるサイズであることをチェックして下さい。


歯ぎしりの習癖


歯ぎしり(ブラキシズム)で歯の根元などに力が加わる状態が続くと、エナメル質の表面に小さなヒビ割れや歯の根元がくさび状に欠けたりすることがあります。また、日中、無意識に歯を強く咬みしめている場合も同様です。
このくさび状欠損は、しみやすいだけではなく、汚れも溜まりやすいので虫歯にもなりやすくなります。

起床時にあごの筋肉の痛みが強く、時間の経過とともに痛みが消失していくという症状があれば、自覚症状がなくとも夜間に歯ぎしりをしている可能性が高いです。

■対策
日中何かに集中している時に上下の歯を強く接触させないように注意し、就寝時はナイトガード(マウスピース)を使用することで、上下の歯が直接接触することを防ぎましょう。
歯ぎしりの力を緩和することで歯を保護したり、睡眠中に生じる顎関節への負担を軽減できます。


食習慣


柑橘系のジュース、スポーツ飲料、赤ワイン、梅酒、炭酸飲料などを飲む習慣があると、飲料が残る部分の歯のエナメル質が溶け、象牙質が露出するようになります。健康飲料と言われている黒酢なども同様です。
このような状態の歯は「酸蝕歯(さんしょくし)」と呼ばれ、しみて痛みやすくなります。

■対策
酸蝕歯を悪化させないために、以下のような対策をとりましょう。

・飲料をストローを使用して歯をつけずに飲む
・酸性飲料の摂取頻度を少なくするようにする
・ガムをよく咬んで、唾液でエナメル質の再石灰化を促進
・酸性飲料を飲んだら水やお茶で口の中を軽くすすぐ
・酸性飲料を飲んだら30分~1時間ほどおいて、唾液で口腔内を中性に戻してから歯をブラッシングする


歯周病


歯周病により歯の根元が露出しているとしみやすくなります。

■対策
根元が出ている歯は、もともと長期間に渡って歯ブラシが届きにくかった部位で、その影響で歯周病になっている可能性があります。歯周病そのものを改善しましょう。


ホワイトニング


ホワイトニングによって、一時的にしみることがあります。

■対策
ホワイトニングが終了すれば、知覚過敏もなくなるようです。ホームホワイトニングの場合は、1〜2日間、ホワイトニングを中断すればその症状は消えるので、また再開できます。

知覚過敏が自然と治ることはあるの?

軽度な知覚過敏は、しばらくすると自然に痛みを感じなくなることもよくあります。
これは唾液や歯磨き粉の再石灰化成分により、露出している象牙質が封鎖されるためと考えられます。

歯科医師からのアドバイス

「知覚過敏だからしみてもしょうがない」思っていても、実は虫歯であることもあります。

痛みを感じたら、定期検診を兼ねて歯科医院を受診し、的確な治療やセルフケアの指導を受けるといいでしょう。

(監修:Doctors Me 歯科医師)