赤ちゃんは、いつどこでどんなことをするかわからない、いつも危険と隣り合わせ。ほんの一瞬目を離した隙に事故は起こります。
大切な我が子を大ケガや事故から守るためにも、予めできるだけ多くのヒヤリ・ハットを把握しておくことも大切ですね。
今回はそんな赤ちゃんの家庭内の事故を中心に、とっさの時にできる応急処置や予防対策を医師に詳しく解説していただきました。
不慮の事故は0歳児の死因の4位、1歳〜4歳では2位、5歳〜9歳では1位であり、日本では1年間にそれぞれの年齢層で約100人の子どもが事故のために命を落としています。
さらに、これらの事故の6割は家庭内で起こり、残りは交通事故や保育施設、レジャー中の事故です。
(出典:厚生労働省人口動態統計)
赤ちゃんはものを目で見るだけでなく、口に入れて舐めたり噛んだりすることで認識しようとします。また食べ物とそれ以外の区別がつきません。
ペットボトルの口に入るサイズのものは、赤ちゃんが飲み込む可能性があるとされています。
・ボタン電池
・磁気治療用の小さい磁石
・薬、薬のPTPシート(錠剤が入っておりアルミの膜をぷちっと破って取り出す、硬いプラスチックのシート)
・タバコ
・台所、トイレなどの洗剤・漂白剤
・防虫剤など
大きさや形によっては誤飲しても無症状で、何事もなく便から出てくることもあります。気管に入ると激しい咳や窒息が起こります。
また、化学薬品など刺激の強いものであれば皮膚や粘膜がただれます。激しく泣いたり、腹痛を訴えることもあります。
窒息、中毒、粘膜障害、消化管穿孔などが考えられ、物質や量によっては死につながることもあります。
■ ステップ1:何をどのぐらい飲んだか、様子はどうかを確認します。
■ ステップ2:息ができないようなら背中を叩いたり、人工呼吸をします。
※注意点
化学薬品や医薬品を飲んだ場合、吐かせて良い場合がほとんどですが、灯油や除光液、洗浄剤や漂白剤など強酸・強アルカリは吐かせてはいけません。
■ 置き場所
高さ1mまでのところは赤ちゃんの手が届くので、危険なものを置かないようにします。
■ 目の前で食べない
大人が口に入れる場面を目にしてしまうと、食べるものだと思って自分も欲しがりますので、目の前で飲まないようにします。
■ 薬
PTPシートは、一錠ずつ切り離せないようにミシン目が入っていません。ハサミで切り離さずシートごと保管しましょう。
・誤飲したものや食べ物が気管に入った場合
・タオル・ビニール袋・布団などが顔にかかって払いのけられない場合
・風呂・トイレなどの水で溺れる場合など
顔色が真っ赤で激しい咳をしていたり、真っ白や真っ青で息が止まっている場合は危険な症状です。
■ ステップ1:口の中にすぐに取り出せるものがある場合は取り出します。
■ ステップ2:難しそうなら無理をせずに、背中を叩いて吐かせます。
■ ステップ3:何も出て来ず、呼吸ができていなければ救急車を呼び、心肺蘇生を行います。
■ 食べ物
プチトマト、豆、ピーナッツなど、誤飲しやすいものは与えないようにし、危険なものは手の届かない所に置くようにします。
■ 布団、敷布団
添い寝していて、親やきょうだいが布団やタオルを顔にかけてしまうこともあります。赤ちゃんの布団を敷布団と固定しておいたり、欧米ではスリーパーを着させて掛布団なしで寝させることもあるようです。
■ ドア
赤ちゃんは水深が浅くても溺れてしまうので、トイレや風呂場のドアはロックしておきます。
・ベッド
・ソファ
・テーブル
・ベビーカー
・抱っこひも
・階段、玄関の段差など
頭を打ったり、骨折することが考えられます。ケガをした場合は、以下の応急初処置が必要です。
■ ステップ1:安全なところに寝かせ、どこを打ったのか、怪我の状態を確認します。
■ ステップ2:意識があるか、すぐ泣いたか、けいれんがないかを確認します。
■ ステップ3:出血があれば清潔なハンカチやタオルで押さえて止血します。
寝返りができないと思っていても、一瞬目を離した隙に転落することがあります。ベッドには柵をする、落ちそうな段差や階段には柵を設けるなどの対策が必要です。
・壁のコンセント
・延長ケーブルの差込口
・被膜の取れた電気コード
差込口に金属のクリップ、ヘアピンなど通電性のものを指しこんだりして起こすことがあるので要注意です。
電気が通った部分の皮膚や、体内にやけどをすることがあります。心臓に電気が通り、不整脈を起こすと死に至ることもあります。
■ ステップ1:乾いたタオルなど電気を通さないもので掴んで引き離すかブレーカーを落とします。
■ ステップ2:意識状態を確認します。
■ ステップ3:反応がなければ心肺蘇生を行い救急車を呼びます。
※ 注意点
赤ちゃんが金属やコードを持ったままの場合、素手で不用意に触るとこちらも感電することもあります。
また、電気による怪我は体内にあることもあるので、外見上何ともなくとも受診が必要です。
コンセントの使用していない差し込みを塞ぐための安全グッズが売られていますので利用しましょう。被膜が破れそうなコードは破棄しましょう。
・ガス台をいじる
・料理している鍋の取っ手をつかむ
・赤ちゃんを抱っこ・おんぶしながら料理をしていて、油がはねたり火が衣服に燃え移る
・電気ポットのコードを引っ張って熱湯を浴びる
・テーブルクロスを引っ張ってテーブルの料理がかかる
・アイロンやストーブに触る
・炊飯器の蒸気に触れる
・沸かし過ぎた風呂や暑すぎるシャワーでの火傷
・ホットカーペットや電気毛布での低温やけど
火傷をすると皮膚の機能が失われ、感染を起こし命に関わったり、皮膚がひきつれて痕が残ることもあります。
■ ステップ1:すぐに流水で冷やします。
■ ステップ2:服を着ている場合は無理に脱がせずに服の上から水で流します。
■ ステップ3:腕1本分以上の面積の火傷や、皮膚が白っぽくなったり水膨れがある場合は早急に受診が必要です。
火傷しそうなものを手の届くところに置かないようにします。
・ハサミ
・風呂場のカミソリ
・台所の足元の収納扉の裏に包丁を入れている場合
・誤って箸を耳・鼻・のどに刺してしまう行為
錆びた釘などでの怪我の場合、破傷風感染も考えられます。指など細い部分は切り落としてしまったり、動かなくなることもあります。
■ ステップ1:土などで汚れていれば流水で流し、傷の状態を確認します。
■ ステップ2:清潔なタオルなどで押さえて心臓より高い位置に上げて止血します。
刃物は手の届かない所に置き、割れると怪我につながるガラス製品や鏡にも注意します。
自動車や自転車、ベビーカーに乗っているときの事故や、歩いているときの事故が考えられます。
様々な臓器の損傷や骨折が考えられます。
安全な場所に移動し、意識や怪我の状態を確認します。
チャイルドシートやヘルメットを正しく使用します。
子どもは思いもしない行動をするため、いくら気を付けていても子どもの不慮の事故を完全に防ぐことは難しいですが、できる限り対策を行いましょう。
また、市民向けの心肺蘇生の講座があれば受講しておきましょう。
(監修:Doctors Me 医師)
大切な我が子を大ケガや事故から守るためにも、予めできるだけ多くのヒヤリ・ハットを把握しておくことも大切ですね。
今回はそんな赤ちゃんの家庭内の事故を中心に、とっさの時にできる応急処置や予防対策を医師に詳しく解説していただきました。
乳幼児の事故の傾向
不慮の事故は0歳児の死因の4位、1歳〜4歳では2位、5歳〜9歳では1位であり、日本では1年間にそれぞれの年齢層で約100人の子どもが事故のために命を落としています。
さらに、これらの事故の6割は家庭内で起こり、残りは交通事故や保育施設、レジャー中の事故です。
(出典:厚生労働省人口動態統計)
1:誤飲、誤食
原因
赤ちゃんはものを目で見るだけでなく、口に入れて舐めたり噛んだりすることで認識しようとします。また食べ物とそれ以外の区別がつきません。
危険性が高いもの
ペットボトルの口に入るサイズのものは、赤ちゃんが飲み込む可能性があるとされています。
・ボタン電池
・磁気治療用の小さい磁石
・薬、薬のPTPシート(錠剤が入っておりアルミの膜をぷちっと破って取り出す、硬いプラスチックのシート)
・タバコ
・台所、トイレなどの洗剤・漂白剤
・防虫剤など
症状
大きさや形によっては誤飲しても無症状で、何事もなく便から出てくることもあります。気管に入ると激しい咳や窒息が起こります。
また、化学薬品など刺激の強いものであれば皮膚や粘膜がただれます。激しく泣いたり、腹痛を訴えることもあります。
懸念される疾患
窒息、中毒、粘膜障害、消化管穿孔などが考えられ、物質や量によっては死につながることもあります。
応急処置
■ ステップ1:何をどのぐらい飲んだか、様子はどうかを確認します。
■ ステップ2:息ができないようなら背中を叩いたり、人工呼吸をします。
※注意点
化学薬品や医薬品を飲んだ場合、吐かせて良い場合がほとんどですが、灯油や除光液、洗浄剤や漂白剤など強酸・強アルカリは吐かせてはいけません。
予防対策
■ 置き場所
高さ1mまでのところは赤ちゃんの手が届くので、危険なものを置かないようにします。
■ 目の前で食べない
大人が口に入れる場面を目にしてしまうと、食べるものだと思って自分も欲しがりますので、目の前で飲まないようにします。
■ 薬
PTPシートは、一錠ずつ切り離せないようにミシン目が入っていません。ハサミで切り離さずシートごと保管しましょう。
2:窒息
危険性が高いもの・場所
・誤飲したものや食べ物が気管に入った場合
・タオル・ビニール袋・布団などが顔にかかって払いのけられない場合
・風呂・トイレなどの水で溺れる場合など
症状
顔色が真っ赤で激しい咳をしていたり、真っ白や真っ青で息が止まっている場合は危険な症状です。
応急処置
■ ステップ1:口の中にすぐに取り出せるものがある場合は取り出します。
■ ステップ2:難しそうなら無理をせずに、背中を叩いて吐かせます。
■ ステップ3:何も出て来ず、呼吸ができていなければ救急車を呼び、心肺蘇生を行います。
予防対策
■ 食べ物
プチトマト、豆、ピーナッツなど、誤飲しやすいものは与えないようにし、危険なものは手の届かない所に置くようにします。
■ 布団、敷布団
添い寝していて、親やきょうだいが布団やタオルを顔にかけてしまうこともあります。赤ちゃんの布団を敷布団と固定しておいたり、欧米ではスリーパーを着させて掛布団なしで寝させることもあるようです。
■ ドア
赤ちゃんは水深が浅くても溺れてしまうので、トイレや風呂場のドアはロックしておきます。
3:転倒、転落
危険なもの・場所
・ベッド
・ソファ
・テーブル
・ベビーカー
・抱っこひも
・階段、玄関の段差など
応急処置
頭を打ったり、骨折することが考えられます。ケガをした場合は、以下の応急初処置が必要です。
■ ステップ1:安全なところに寝かせ、どこを打ったのか、怪我の状態を確認します。
■ ステップ2:意識があるか、すぐ泣いたか、けいれんがないかを確認します。
■ ステップ3:出血があれば清潔なハンカチやタオルで押さえて止血します。
予防対策
寝返りができないと思っていても、一瞬目を離した隙に転落することがあります。ベッドには柵をする、落ちそうな段差や階段には柵を設けるなどの対策が必要です。
4:感電
危険性が高い場所・もの
・壁のコンセント
・延長ケーブルの差込口
・被膜の取れた電気コード
差込口に金属のクリップ、ヘアピンなど通電性のものを指しこんだりして起こすことがあるので要注意です。
懸念される疾患
電気が通った部分の皮膚や、体内にやけどをすることがあります。心臓に電気が通り、不整脈を起こすと死に至ることもあります。
応急処置
■ ステップ1:乾いたタオルなど電気を通さないもので掴んで引き離すかブレーカーを落とします。
■ ステップ2:意識状態を確認します。
■ ステップ3:反応がなければ心肺蘇生を行い救急車を呼びます。
※ 注意点
赤ちゃんが金属やコードを持ったままの場合、素手で不用意に触るとこちらも感電することもあります。
また、電気による怪我は体内にあることもあるので、外見上何ともなくとも受診が必要です。
予防対策
コンセントの使用していない差し込みを塞ぐための安全グッズが売られていますので利用しましょう。被膜が破れそうなコードは破棄しましょう。
5:火傷
危険性が高い場所・行為
・ガス台をいじる
・料理している鍋の取っ手をつかむ
・赤ちゃんを抱っこ・おんぶしながら料理をしていて、油がはねたり火が衣服に燃え移る
・電気ポットのコードを引っ張って熱湯を浴びる
・テーブルクロスを引っ張ってテーブルの料理がかかる
・アイロンやストーブに触る
・炊飯器の蒸気に触れる
・沸かし過ぎた風呂や暑すぎるシャワーでの火傷
・ホットカーペットや電気毛布での低温やけど
懸念される疾患
火傷をすると皮膚の機能が失われ、感染を起こし命に関わったり、皮膚がひきつれて痕が残ることもあります。
応急処置
■ ステップ1:すぐに流水で冷やします。
■ ステップ2:服を着ている場合は無理に脱がせずに服の上から水で流します。
■ ステップ3:腕1本分以上の面積の火傷や、皮膚が白っぽくなったり水膨れがある場合は早急に受診が必要です。
予防対策
火傷しそうなものを手の届くところに置かないようにします。
6:刺し傷、切り傷
危険なもの・場所・行為
・ハサミ
・風呂場のカミソリ
・台所の足元の収納扉の裏に包丁を入れている場合
・誤って箸を耳・鼻・のどに刺してしまう行為
懸念される疾患
錆びた釘などでの怪我の場合、破傷風感染も考えられます。指など細い部分は切り落としてしまったり、動かなくなることもあります。
応急処置
■ ステップ1:土などで汚れていれば流水で流し、傷の状態を確認します。
■ ステップ2:清潔なタオルなどで押さえて心臓より高い位置に上げて止血します。
予防対策
刃物は手の届かない所に置き、割れると怪我につながるガラス製品や鏡にも注意します。
7:交通事故、衝突事故
事故に遭う可能性の高い場面
自動車や自転車、ベビーカーに乗っているときの事故や、歩いているときの事故が考えられます。
懸念される疾患
様々な臓器の損傷や骨折が考えられます。
応急処置
安全な場所に移動し、意識や怪我の状態を確認します。
予防対策
チャイルドシートやヘルメットを正しく使用します。
最後に医師から一言
子どもは思いもしない行動をするため、いくら気を付けていても子どもの不慮の事故を完全に防ぐことは難しいですが、できる限り対策を行いましょう。
また、市民向けの心肺蘇生の講座があれば受講しておきましょう。
(監修:Doctors Me 医師)