秋冬は気温がぐっと下がり乾燥する季節になり、子どもの体調の変化に気を付けたいですよね。
しかし、特に乳幼児に多い病気は何があるのでしょうか?2017年秋はインフルエンザやRSウイルスなどの感染症が例年よりも早く流行しており、特に予防対策が大切です。
今回は秋冬に気を付けたい乳幼児の病気について、医師に詳しくお話を伺いました。
目次
秋冬に気をつけたい乳幼児の病気
秋冬は空気が冷たく乾燥しているため、風邪ウイルスにとっては繁殖しやすい環境になり、またウイルスの侵入口になる鼻・喉の粘膜が乾燥してウイルスが入り込みやすい状態になります。
そのため、インフルエンザや風邪が流行しやすくなります。いわゆる「風邪」には100種類以上の原因ウイルスがあると言われています。
秋冬に流行しやすいウイルスは以下になります。
など
しかし、温暖化やヒトの移動範囲の拡大により、どのウイルスも季節を問わず流行するようになってきているとも言われます。
特に注意したい「RSウイルス」
2017年は7月頃から感染者数が増えており、例年9月から増加を始めるのに比べると早くから流行が始まっていると言えます。
潜伏期間
2〜8日
感染経路
インフルエンザと同じく飛沫感染(咳やくしゃみのしぶきを吸い込むことによる感染)と接触感染(鼻水や唾液を触って口・鼻に入れることによる感染)と考えられています。手洗い・うがいでの予防が有効と考えられます。
発症年齢
生後1歳までに半数の人が、2歳までに100%の人が一度は感染すると言われています。
症状
初感染の際に20〜30%の人に、熱・鼻水・咳といった上気道症状だけでなく、肺炎や気管支炎といった下気道症状が出る「こじらせやすい」風邪ウイルスと言えます。
肺炎・気管支炎に要注意
乳幼児の肺炎の約半分、細気管支炎の50〜90%がRSウイルスによるものと言われています。特に生後6カ月未満の乳児、生後1年未満で免疫異常や心臓病や染色体異常を持つ子どもでは重症化しやすいと言われています。
生後6カ月未満は、母親から胎盤・母乳を通して抗体を受け継いでいるはずなのに、肺炎を起こすことがあります。高齢者でも肺炎を起こすことはありますが、1歳以上の子どももしくは健康な大人では再感染しても重症化しにくいと言われています。
検査、予防接種
RSウイルスには、迅速検査があり、診察室で鼻水を採取し試薬と反応させることで、10〜15分でウイルスの有無を判定できるキットがあります。1歳未満の子供や、免疫異常・心臓病などを持つ子ども、入院が必要なほど状態が悪い場合には保険適応で検査を受けられます。
免疫異常や心臓病のある子供には、予防接種がありますが、それ以外の子供では自費でも予防接種を受けることはできません。
入院が必要なケース
RSウイルス感染だから必ず入院というわけではありませんが、息がぜーぜーして呼吸回数が多かったり、水分が取れないなど全身の状態が悪い場合は入院も考慮されます。
(参照:国立感染症研究所)
秋冬前に準備する防寒アイテムや室内環境の注意点
アイテム
・石油ストーブ、ガスファンヒーター
触れたり、熱風を直接吸い込んだりする危険な器具を使用する場合は、周囲を柵で覆うなど注意が必要です。一酸化炭素中毒にも注意し、定期的な換気が必要です。
・ホットカーペット、電気毛布
脱水や低温ヤケドに注意が必要です。
・加湿器
一番安心なのはエアコンと加湿器の併用だと思います。
ただ、加湿器のタイプによっては、貯水槽でカビや細菌が繁殖する危険があり、清掃を定期的に必要とします。熱い蒸気が出るタイプは、カビ・細菌は増えにくいものの、蒸気によるヤケドのリスクがあります。
室内環境
あまり厳密に考えず、大人が厚着しなくても快適に過ごせる程度の温度・湿度を保てれば良いでしょう。
秋冬の乳幼児の服装
枚数
子どもの手足は冷たくても良いと言われていますが、首の後ろや背中を触ってみて、汗ばんでいたら暑がっている・ひやっとしていたら冷えすぎと考え、枚数を調節しても良いと思います。
・生後1カ月未満:大人と同じ、もしくはプラス1枚
・生後1カ月〜3カ月:大人と同じ枚数
・生後4カ月〜:大人よりマイナス1枚ぐらい
室内
肌着と厚手の長袖長ズボン、寒そうならベストやカーディガンを着せます。
屋外
室内の服に加え、防風用の服、帽子、靴下を着せます。防風用の服は、歩かない月齢なら上下つなぎになっているジャンプスーツ、自分で歩くならコートになります。
ベビーカーに風よけの毛布や覆いをかけるのも良いでしょう。
秋冬におすすめの乳幼児向け食材
ビタミン豊富な野菜・果物を取り入れましょう。旬の作物は特におすすめです。
・大根
・にんじん
・じゃがいも
・かぼちゃ
・ブロッコリー
・キウイ
・いちご
・リンゴ
・柑橘類
秋冬の乳幼児の健康を守る!感染症予防対策
ベビーカーに雨風除けのカバーをつける
ベビーカーで公共交通機関に乗ったり人ごみに出かける場合、ベビーカーをたたまずにいられる環境であれば、ベビーカーに雨風除けのカバーをかけておけば、咳・くしゃみを浴びることを防げて、自分でマスクやうがいができない年齢に便利です。
手を拭く
赤ちゃんの手洗いが難しければ、手を拭いてあげるだけでもよいです。外出中の食事前などには消毒用アルコールの使用も良いでしょうが、あまり何度も拭きすぎると肌荒れを起こすこともあります。
生活リズムを乱さない
長時間の外出や生活リズムの乱れを避け、ゆっくり眠らせてあげるようにすることが、抵抗力を落とさないために重要です。
最後に医師から一言
風邪をひきやすくなる秋冬を元気に乗り越え、風邪症状が出たら早めに休養を取らせるようにしましょう。
(監修:Doctors Me 医師)