インフルエンザ

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医師監修

インフルエンザとは

インフルエンザとはインフルエンザウイルスが原因で起こる12月から4月に流行る感染症です。
急に起こる38~40℃の高熱、関節痛、頭痛が特徴的です。通常は、薬を使わなくても約1週間で治癒するとされていますが、高齢者や糖尿病などの持病のある方や小さな子どもがインフルエンザに感染すると、肺炎や脳症など合併症を起こすことがあるので注意が必要です。
インフルエンザワクチンの接種が重篤化を防ぐために有効とされています。
インフルエンザは学校保健安全法施行規則(平成24年施行)により出席停止となる伝染病の一つで、「発症後5日かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過」するまで出席停止となります。職場などでもそれに倣って自宅待機となることが多いです。

インフルエンザウイルスの感染経路



■ 飛沫感染
インフルエンザは感染した人のくしゃみや咳などによって飛び散った、ウイルスを含む粒子(飛沫)を鼻や口から吸い込むことで感染します。

■ 接触感染
飛沫から水分が蒸発した細かい粒子が空気中を浮遊し、それを吸い込んで感染したり、ウイルスのついた手指やものに触れることで感染します。

インフルエンザの潜伏期間

熱っぽい男性

■ 潜伏期間の目安
潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)は1~5日です。

■ 潜伏期間での感染力
一般的にインフルエンザは発症する1日前から他の人に感染させる能力があるとされています。

インフルエンザの症状

インフルエンザの症状の特徴


熱

インフルエンザの症状を一概には言えず、症状の一部しか現れない人もいれば、あらゆる症状が出る人もいます。高熱と急激な体調の悪化という形でインフルエンザが発覚することが多いのが特徴です。

■ インフルエンザと風邪の症状の違い
インフルエンザの症状で特徴的なのが全身の倦怠感、筋肉痛頭痛です。



インフルエンザの主な症状






  • 悪寒や寒気を感じてガタガタと震える

  • 頭痛

  • 関節痛、筋肉痛(かなり強い痛み)

  • 全身の倦怠感

  • 食欲不振

  • 胃痛、腹痛、吐き気

  • 下痢

  • 咳、くしゃみ、鼻水

  • 喉の痛み





ウイルス別の症状


インフルエンザウイルス
■ A型
・特徴
感染力が強く、飛沫感染や接触感染で人から人へと感染していきます。潜伏期間に知らないうちに人に移してしまうこともあります。

・症状
急激に38度後半から40度を超えるような高熱が出ることがあり、発熱に伴い悪寒や震え、関節痛や筋肉痛を伴うことも多いです。頭痛や咳、腹痛や嘔吐、下痢が起こることもあります。

■ B型
・特徴
ウイルスが変異しにくくワクチンによる予防が可能ですが、B型には「山形型」と「ビクトリア型」の2種類があります。そのため遺伝子の構造が異なり、1年で何度も発症する可能性もあります。

・症状
比較的症状が軽く37度から38度くらいの微熱が出て、中々下がらない症状が出ます。

■ C型
・特徴
ほとんどの人が小児期に感染し、軽い症状ですむことが多いです。ウイルス特性が違うため、インフルエンザには含めないことがあります。

・症状
微熱程度でおさまることが多く、鼻水や咳が多量に出たりします。

インフルエンザの症状が軽い場合




インフルエンザに感染しても、強い症状が出ずに治ったり、感染しても発症しないことがあります。この場合を不顕性感染(ふけんせいかんせん)と言います。

■ 原因
病原体に感染するまでの過程で、体の免疫が勝ると症状が出なくなったり、軽いままの症状で済むことがあり不顕感染となります。特に予防接種をしていると不顕性感染になることが多くあります。

■ 注意点
自身が発症していなくとも、他人に感染させるほどのウイルスが増殖していることがあるので、咳やくしゃみが出る場合はマスクをつけたり周りに配慮するようにしましょう。

インフルエンザの検査

検査方法




細長い綿棒を鼻の奥に入れて鼻水を採取し反応液に混ぜます。その液をろ紙にしみ込ませ検査する方法が迅速検査で、検査の精度は高いとされています。

■ 迅速検査の仕組み
反応液の中に、インフルエンザウイルスにだけ反応する抗体物質が含まれウイルスが抗体と結びつきます。結びついた抗体とウイルスが通過すると発色する抗体があり、その発色が陽子線として現れるという仕組みです。

インフルエンザに感染していても陰性と判定される理由


困る医師


  1. 鼻水の採取がうまくいっていない

    鼻の奥に綿棒を入れられるのは痛く、暴れて鼻の奥まで綿棒を入れられないことがあります。そのため採取がうまく行かず正しい判定がされないことがあります。

    また、採取時に鼻血が出てしまい反応液に血液が混ざりこんで精度が落ちることもあります。



  2. 十分なウイルスが含まれていない

    通常インフルエンザは鼻、のどといった上気道を中心に活動します。しかし、肺といった下気道での感染が主な場合は鼻水内に十分なウイルスが含まれていないために、陰性と出る場合があります。



  3. ウイルスがそれほど繁殖していない

    検査した時間帯に、検査したのが早すぎて繁殖が十分に行われていないために陰性と診断される場合があります。





検査を受けるタイミング




■ 発症後12時から24時間程度
発症後12時間後にはウイルスが検査に足りる程になり、48時間以内での抗インフルエンザ薬の内服が理想なため、12時から24時間程度の間に検査を受けることが良いと思われます。

インフルエンザの出席停止・自宅待機期間


■ 学生の場合


インフルエンザと診断され、発症した後5日間経過する、なおかつ解熱後2日(未就学の幼児は3日)経過するまでの出席停止が必要となっています。

■ 社会人の場合


社会人の場合、インフルエンザと診断されても、休業や出勤停止は会社によって異なります。一般的に、発症した日から3~7日間は、ウイルスの排出の可能性が高いため、その期間は外出を控える必要があります。

参考:自宅待機期間

インフルエンザの治療薬



抗インフルエンザウイルス薬には様々な形があり、ウイルスの増殖を抑えたり、症状を軽減したりする効果があります。
※インフルエンザウイルスなどのウイルス性の感染症に抗生物質は効果がありません。

タミフル




■ 特徴
成分名オセルタミビル(商品名タミフル)は1シーズンに100万人以上に投与されており、感染した患者に接触した家族や医療関係者に対しての予防投与としても使用されます。

■ 副作用
薬に対するアレルギー症状が報告される頻度は低いものの、小児への投与は慎重に行われています。

リレンザ




■ 特徴
成分名ザナミビル(商品名リレンザ)は吸入するタイプの薬で、口・鼻やのど・気道と同じ経路で薬を入れれば、より効率的に感染部位に薬を届けられるという発想で作られた吸入薬です。

■ 副作用
薬を吸入することで気道を刺激し喘息発作を引き起こすことがあるとされ、確実に薬を吸入できる年齢でないと使用できません。

イナビル




■ 特徴
成分名ラニナミビ(商品名イナビル)は一回の吸入で投与が終了する抗インフルエンザ薬で、インフルエンザが体内に侵入し増殖する経路に沿って、吸引して薬が入ったほうが、効率的に必要な部位に薬が届くと考えて作られた薬です。

■ 副作用
タミフルを使用した小児で見られた異常行動が、抗インフルエンザ薬全体の問題なのかよく分かっていないため、イナビル・リレンザの添付文書にも「使用後2日間は異常行動に注意」と記載されています。

■ 母乳への影響
イナビルの母乳への移行はごくわずかで、赤ちゃんへの影響もないとされることが多いです。赤ちゃんへの影響が気になるという方は、吸入後12時間程度授乳を中止すればよいでしょう。

(参考:日本ラクテーションコンサルタント協会)

ラピアクタ




■ 特徴
抗インフルエンザ薬唯一の点滴薬が成分名ペラミビル(商品名ラピアクタ)です。この薬は予防投与には使用できません。他の抗インフルエンザ薬が使用できない場合に考慮される薬です。

■ 副作用
副作用として、アレルギー症状や白血球減少が知られています。

インフルエンザ予防接種

インフルエンザ予防接種を毎年受ける理由




予防接種では、次に同じような物質を排除できる仕組みを作り、病原体を破壊する抗体を産生できるようになることが目的です。しかし、数カ月でウイルスを排除するに十分でないレベルに低下するため、毎年の予防接種が必要になります。

インフルエンザ予防接種の効果


注射機を持つ女性

■ インフルエンザにかかりにくくする
■ 感染後に発病する可能性を低減させる
■ 死亡や脳症といった重症化を防ぐ

インフルエンザ予防接種の時期


予防接種

■ 1回目は10月から11月
接種して効果を発揮するまでに約2週間かかるため、インフルエンザが流行り始める前の10月から11月ごろの期間に予防接種を受けると良いでしょう。

■ 2回接種の場合は11月までに終わらせる
子どもはウイルスに対する免疫を一回の接種だけで補うことはできないため、2回同じ予防接種を受ける必要があります。

2回接種は1回目の接種から1~4週間あけて接種します。病院によってはワクチンの在庫が無くなることもあるため、流行前の11月までに終えていると効果的です。

インフルエンザ予防接種を受けた後の注意点


注射した後


  1. 普段運動してない人が急に運動する

    全く運動しない方が、登山などの途中で引き返しにくい予定を接種後24時間以内に入れるのはあまり望ましくありません。




  2. 汚染されている可能性のある水に入らない

    温泉・銭湯・プール・川・海など不特定多数の方が入られる水や汚染されている可能性がある水には24時間は入らないほうが無難です。



  3. 注射部位を触らない

    注射部位を掻くのはやめましょう。汗を掻くのは問題ありませんが、あとで注射部位を清潔にするようにしましょう。


インフルエンザ予防接種の副作用

注射した後

軽度の副作用


予防接種をした10%~20%の人が打った箇所に下記のような症状を発症しますが、2~3日で良くなります。



  • 赤くなる

  • 痛くなる

  • 痒くなる

  • 腫れる





中度の副作用


予防接種をした5%~10%の人が発症しますが、2~3日で良くなります。



  • 発熱

  • 頭痛

  • 寒気

  • だるさ

  • 発疹

  • じんましん

  • 赤み

  • かゆみ





重度の副作用


予防接種とのはっきりした関係はわかっていませんが、後遺症が残ったり死亡するような非常に重い副作用がまれにあります。



  • ギランバレー症候群

  • 急性脳症

  • 急性散在性脳脊髄炎

  • けいれん

  • 肝機能障害

  • 喘息発作

  • 紫斑



インフルエンザに感染した際の注意点




  1. 嘔吐、下痢は止めない

    吐き気や下痢はウイルスを排出しようとする身体の防衛反応のため無理に薬などで抑え込まず、全て出す様にしましょう。




  2. 十分に水分補給を行う

    高熱や下痢などで脱水症状を引き起こす場合もありますので、経口補水液などを摂取して水分補給を十分に行いましょう。



  3. 外出は控える

    他人に感染しやすいという特徴があるので、インフルエンザの発症が確定した、または疑われる場合は、学校・職場など人が集まるところへの外出は控えましょう。



  4. 早期に医者を受診する

    インフルエンザであった場合、できるだけ早い治療の開始が重要になるので、流行時期にインフルエンザの可能性を感じたら、速やかに医師の診察を受けることが大切です。


インフルエンザに注意が必要なタイプ

乳幼児


インフルエンザの赤ちゃん

■ 熱性痙攣
発熱が原因で起こると考えられる痙攣で、生後6カ月から6歳くらいの乳幼児に多く見られます。他の病気で起こる痙攣とは区別されますが、初期にははっきりしないこともあるので、診察を受けることが大切になります。

痙攣中の、身体の動作、眼球の向き、継続時間などを診断の際に伝えることが大切なります。痙攣が5分以上続く場合は救急車を呼び、すぐ止まった場合は落ち着いて受診しましょう。

■ インフルエンザ脳症
インフルエンザに伴い、インフルエンザ脳症を発症してしまう危険性があります。

症状)
・ぼーっとしている
・呼んでも返事をしない
・いつもできていることができない
・刺激を与えても反応がない
・痙攣が起こる
・うなされる
・おびえる
・おかしなことをいう

■ 気管支炎、肺炎
インフルエンザによって気道の抵抗力が落ちるため、ウイルスや細菌に感染して肺や気管支に炎症が起きます。

症状)
・ぼーっとしている
・発熱が続く
・激しい咳、痰をする
・倦怠感がある

■ 急性中耳炎
インフルエンザによる二次感染により、中耳炎が起こることもあります。

症状)
・熱が続く
・機嫌が悪い
・耳をさわられると激しく嫌がる
・耳を気にする
・耳だれが出る

■ 39度以上の高熱
6歳未満の子どもさんの多くで39度以上の高熱が見られます。発症から3日目で熱が下がり、1週間程度で治癒することが多いですが、再び高熱になる場合は二次感染が疑われますので早めに受診しましょう。

■ 嘔吐・下痢
6歳未満で3人に1人くらいに嘔吐や下痢が見られます。

65歳以上の高齢者


インフルエンザの高齢者

■ 高熱の症状が出ない
65歳以上のご高齢者では発熱時の最高体温が低いことが比較的多いとされるため、高熱の症状が出ないことがあります。

■ 重篤化するリスクが高い
高齢の方がインフルエンザに感染してしまうと重症化しやすいことがわかっているため、積極的に予防に努めましょう。

持病をお持ちの方


喘息持ちの方

呼吸器や心臓に持病をお持ちの方は、肺炎を引き起こして死に至る可能性もあるため、積極的に予防接種を受けましょう。

特に、下記のような持病をお持ちの方は、症状が重篤化するリスクが高いため、インフルエンザの予防に励み、周りの人に移さないようにしましょう。



  • 慢性呼吸器疾患

  • 慢性心疾患

  • 糖尿病などの代謝性疾患

  • 腎機能障害

  • ステロイド内服などによる免疫機能不全




(参照元:厚生労働省)

妊娠中の方


妊婦さん

妊婦さんがインフルエンザに感染した場合、お腹の赤ちゃんを考慮してインフルエンザ治療薬の使用を控えることがあります。

免疫力の弱い妊婦さんがインフルエンザに感染してしまうと治りづらいため、事前に予防接種を受けることをおすすめします。

授乳中の方


妊婦さん

予防接種が母乳を通じて赤ちゃんへ影響を与えることはないと考えられています。赤ちゃんからインフルエンザウイルスを遠ざけるためにも、積極的に予防接種を行うようにしましょう。

卵アレルギーの方


卵

ワクチンは孵化鶏卵で培養するため、卵などにアレルギーがある人は接種できない場合があるので医師に相談しましょう。

インフルエンザの予防法

手洗い、うがい


うがい手洗いの順番

外出後は手洗いうがいをして、外で付いたウイルスを体内に入らないように洗い流すことで、体内へのウイルスの侵入を抑えることができます。家族や同居する人がいる場合はみんなで「手洗い、うがい」を習慣化してインフルエンザ予防をすることが大切です。

マスクをする


マスク

インフルエンザは飛沫感染でも感染してしまうため、マスクをすることは感染予防にもなります。同時に、自分の咳やくしゃみの飛沫から他人に感染するのを防ぐ効果もあります。

栄養と休養を摂る




免疫力が低下するとインフルエンザにかかりやすくなるので、休養をしっかり取り、体力をつけて抵抗力を高めることで感染しにくくなります。また、インフルエンザが流行っているときには、必要異常の外出を控え、病原体であるウイルスを寄せ付けないようにしましょう。

適度な湿度を保つ




インフルエンザウイルスは低温、低湿を好み、乾燥しているとウイルスが長時間空気中を漂っています。 加湿器などで室内の適度な湿度を保つことが大切です。適度に換気をして新しい空気を入れるのもウイルスの除去になります。
  • このコーナーは、病気や症状に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません
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