インフルエンザ

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医師監修

インフルエンザとは

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスが原因で起こる感染症で、例年12月から3月ごろにかけて流行します。
急に起こる38~40℃の高熱、関節痛、頭痛が特徴的です。通常は、薬を使わなくても約1週間で治癒しますが、高齢者や糖尿病などの持病のある方や小さな子どもがインフルエンザに感染すると、肺炎や脳症などの合併症を起こすことがあるため注意が必要です。インフルエンザの予防接種は、重篤化を防ぐために有効とされています。
インフルエンザは、学校保健安全法により出席停止となる伝染病の1つで、「発症後5日かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過」するまで出席停止となります。

インフルエンザの感染経路


■ 飛沫感染
インフルエンザは、感染した人のくしゃみや咳などによって飛び散ったウイルスを含む粒子(飛沫)を鼻や口から吸い込むことで感染します。

■ 接触感染
飛沫から水分が蒸発したウイルスを含む粒子が空気中を浮遊し、それを吸い込み感染したり、ウイルスのついた手指やものに触れることで感染します。

インフルエンザの潜伏期間

熱っぽい男性
■ 潜伏期間の目安
感染してから発症するまでの期間は、1~3日です。

■ 潜伏期間での感染力
一般的にインフルエンザは、発症する前日から他の人に感染させる能力があるとされています。

インフルエンザの症状

インフルエンザの症状の特徴


熱
インフルエンザの症状の主な特徴は、38℃以上の高熱と急激な体調の悪化です。インフルエンザの症状には、ほかにも頭痛や関節痛、全身倦怠感、喉の痛みなどが挙げられます。症状の一部しか現れない人もいれば、あらゆる症状が出る人もいます。

■ インフルエンザと風邪の症状の違い
インフルエンザの症状で特徴的なのは全身の倦怠感、筋肉痛頭痛です。



インフルエンザの主な症状






  • 悪寒や寒気を感じてガタガタと震える

  • 頭痛

  • 関節痛、筋肉痛

  • 全身の倦怠感

  • 食欲不振

  • 胃痛、腹痛、吐き気

  • 下痢

  • 咳、くしゃみ、鼻水

  • 喉の痛み





ウイルス別の症状


インフルエンザウイルス
■ A型
・特徴
A型ウイルスは感染力が強く、ときに大流行を起こすことが特徴です。「H3N2」と「H1N1」という2種類の型が主に流行します。

・症状
急激に38~40℃を超えるような高熱が出ることがあり、発熱に伴い悪寒や震え、関節痛筋肉痛を伴うことも多いです。頭痛腹痛嘔吐下痢が起こることもあります。

■ B型
・特徴
B型ウイルスは、遺伝子が変異しにくいことが特徴で、「山形型」と「ビクトリア型」という遺伝子構造が異なる2種類があります。

・症状
基本的にA型ウイルスと症状は同じですが、下痢や腹痛など消化器の症状が多いと言われています。

■ C型
・特徴
C型ウイルスは、A型やB型ウイルスのように大流行することはありません。

・症状
症状は、出ないか鼻水程度の軽症で済むことが多いです。

インフルエンザの症状が軽い場合



インフルエンザに感染しても、強い症状が出ずに治ったり、感染しても発症しないことがあります。この場合を不顕性感染(ふけんせいかんせん)と言います。

■ 原因
病原体に感染するまでの過程で、体の免疫が勝ると症状が出なくなったり、軽い症状で済むことがあり不顕性感染となります。特に予防接種をしていると不顕性感染になることが多くあります。

■ 注意点
自身が発症していなくとも、他人に感染させるほどのウイルスが増殖していることがあります。咳やくしゃみが出る場合は、マスクをして周りに配慮しましょう。

インフルエンザの検査

検査方法



細長い綿棒を鼻の奥に入れて、鼻水を採取し反応液に混ぜます。その液をろ紙にしみ込ませて検査する方法が、迅速検査です。

■ 迅速検査の仕組み
反応液の中には、インフルエンザウイルスにだけ反応する抗体物質が含まれ、ウイルスが抗体と結びつきます。結びついた抗体とウイルスが通過すると発色する抗体があり、その発色が陽子線として現れる仕組みです。

インフルエンザに感染していても陰性と判定される理由


困る医師


  1. 鼻水の採取がうまくいっていない

    鼻の奥に綿棒を入れられるのは痛く、暴れて鼻の奥まで綿棒を入れられないことがあります。そのため、採取がうまく行かず正しい判定がされないことがあります。

    また、採取時に鼻血が出てしまい反応液に血液が混ざり込むことで、精度が落ちることもあります。



  2. 十分なウイルスが含まれていない

    通常インフルエンザは鼻、喉といった上気道を中心に活動します。しかし、肺などの下気道での感染が主な場合は、鼻水内に十分なウイルスが含まれていないために、陰性と出る場合があります。



  3. ウイルスがそれほど増殖していない

    症状が現れてから検査をするまでの時間が短いと、ウイルスの増殖が十分ではなく陰性と診断される場合があります。





検査を受けるタイミング



■ 発症後12~24時間程度
発症の12時間後には、ウイルスが検査に足りるほどに増殖します。48時間以内に抗インフルエンザ薬の内服が理想的なため、発症後12~24時間ほどの間に検査を受けることがよいでしょう。

インフルエンザの出席停止・自宅待機期間


■ 学生の場合

インフルエンザと診断され、発症した後5日間経過する、なおかつ解熱後2日(未就学の幼児は3日)経過するまでの出席停止が必要となっています。

■ 社会人の場合

社会人の場合、インフルエンザと診断されても、休業や出勤停止は会社によって異なります。一般的に、発症した日から3~7日間は、ウイルスの排出の可能性が高いため、外出を控える必要があります。

インフルエンザの治療薬


抗インフルエンザウイルス薬には、ウイルスの増殖を抑えたり、症状を軽減したりする効果があります。

※インフルエンザウイルスなどのウイルス性の感染症に抗生物質は効果がありません。

※インフルエンザにかかったときは、どの種類の抗インフルエンザ薬を飲んでも飲まなくても、異常行動が現れる可能性があります。

タミフル



■ 特徴
オセルタミビル(商品名:タミフル)は、感染した患者に接触した家族や医療関係者に対しての予防投与としても使用されます。

■ 副作用
薬に対するアレルギー症状が報告される頻度は低いです。腎機能が低下している人は、血漿中濃度が高くなる可能性があるため、投与は慎重に行われます。1歳未満の子どもに対しては、安全性が確立されていません。

リレンザ



■ 特徴
ザナミビル(商品名:リレンザ)は、口から吸入するタイプの薬です。口・鼻やのど・気道と同じ経路で薬を入れれば、より効率的に感染部位に薬を届けられるという発想で作られた吸入薬です。

■ 副作用
薬を吸入することで気道を刺激し、まれに喘息発作を引き起こす可能性があります。また、下痢や発疹、悪心が起こる場合があります。

イナビル



■ 特徴
ラニナミビル(商品名:イナビル)は、1回の吸入で投与が終了する抗インフルエンザ薬です。

■ 副作用
副作用として、下痢や悪心、蕁麻疹などが起こることがあります。

■ 母乳への影響
イナビルの母乳への移行はごくわずかで、赤ちゃんへの影響はさほどありません。赤ちゃんへの影響が気になるという方は、吸入後12時間程度授乳を中止すればよいでしょう。

(参考:日本ラクテーションコンサルタント協会)

ラピアクタ



■ 特徴
抗インフルエンザ薬で唯一の点滴薬が、ペラミビル(商品名:ラピアクタ)です。この薬は予防投与には使用できません。他の抗インフルエンザ薬が使用できない場合に検討される薬です。

■ 副作用
副作用として、下痢や白血球減少、嘔吐などが起こる可能性があります。

ゾフルーザ


■ 特徴
バロキサビル(商品名:ゾフルーザ)は、2018年3月に発売された抗インフルエンザ薬で、1回の服用でよい経口薬です。

■ 副作用
副作用として、下痢が起こる可能性があります。

インフルエンザ予防接種

インフルエンザ予防接種を毎年受けるべき理由



予防接種は、次に同じような病原体が入ってきたときに、病原体を破壊する抗体を産生できるようにすることが目的です。しかし、インフルエンザワクチンは、接種の数カ月後には、ウイルスを排除するに十分ではないレベルに抗体価が低下します。そのため、毎年の予防接種が必要になります。

インフルエンザ予防接種の効果


注射機を持つ女性
■ インフルエンザにかかりにくくする
■ 感染後に発病する可能性を低減させる
■ 死亡や脳症といった重症化を防ぐ

インフルエンザ予防接種の時期


予防接種

■ 1回接種の人は12月中旬までに
接種して効果を発揮するまでに約2週間かかります。そのため、インフルエンザが流行り始める前の10~12月中旬ごろまでには、予防接種を受けるとよいでしょう。

■ 2回接種の人
13歳未満の子どもは、インフルエンザウイルスに対する免疫を1回だけでは得られないことがあるため、2回を受ける必要があります。
また、持病がある人や免疫が抑制されている人などは、医師の判断で2回接種になることがあります。

・1回目は10~11月中旬ごろまでに
1回目の予防接種は、10~11月中旬ごろまでには受けましょう。

・ 2回目は12月中旬までに
2回目の接種は、1回目の接種から1~4週間あけて受ける必要があります。遅くとも、12月中旬までには2回目を打ちましょう。病院によっては、ワクチンの在庫が無くなることもあるため、注意が必要です。

インフルエンザ予防接種を受けた後の注意点


注射した後


  1. 普段運動してない人が急に運動する

    全く運動しない方が、登山などの途中で引き返しにくい予定を接種後24時間以内に入れるのはあまり望ましくありません。




  2. 汚染されている可能性のある水に入らない

    温泉・銭湯・プール・川・海など、不特定多数の人が入る水や汚染されている可能性がある水には、24時間は入らないほうが無難です。



  3. 注射部位を触らない

    注射部位を掻くのはやめましょう。汗をかくのは問題ありませんが、あとで注射部位を清潔にするようにしましょう。


インフルエンザ予防接種の副反応

注射した後

軽度の副反応


予防接種をした10~20%の人が打った箇所に下記のような症状を発症しますが、2~3日ほどでよくなります。



  • 赤くなる

  • 痛くなる

  • 痒くなる

  • 腫れる





中度の副反応


予防接種をした5~10%の人が発症しますが、2~3日で良くなります。



  • 発熱

  • 頭痛

  • 寒気

  • だるさ

  • 発疹

  • じんましん

  • 赤み

  • かゆみ





重度の副反応


予防接種とのはっきりした因果関係はわかっていませんが、後遺症や死亡のような重い副反応が非常にまれにあります。



  • ギランバレー症候群

  • 急性脳症

  • 急性散在性脳脊髄炎

  • けいれん

  • 肝機能障害

  • 喘息発作

  • 紫斑



インフルエンザに感染した際の注意点




  1. 嘔吐、下痢は止めない

    吐き気や下痢はウイルスを排出しようとする身体の防衛反応のため無理に薬などで抑え込まず、全て出すようにしましょう。




  2. 十分に水分補給を行う

    高熱や下痢などで脱水症状を引き起こす場合もあるため、経口補水液などを摂取して水分補給を十分に行いましょう。




  3. 外出は控える

    インフルエンザは、他人に感染しやすいという特徴があるます。インフルエンザの発症が確定した、または疑われる場合は、学校・職場など人が集まるところへの外出は控えましょう。


インフルエンザに注意が必要な人

乳幼児


インフルエンザの赤ちゃん

■ 熱性痙攣
発熱が原因で起こると考えられる痙攣で、生後6カ月から6歳くらいの乳幼児に多くみられます。他の病気で起こる痙攣とは区別されますが、初期には原因がはっきりしないこともあるので、診察を受けることが大切です。

痙攣中の、身体の動作、眼球の向き、継続時間などをメモして、診断の際に医師に伝えましょう。痙攣が5分以上続く場合は、救急車を呼び、すぐ止まった場合は落ち着いて受診しましょう。

■ インフルエンザ脳症
インフルエンザに伴い、インフルエンザ脳症を発症するリスクがあります。

症状)
・ぼーっとしている
・呼んでも返事をしない
・いつもできていることができない
・刺激を与えても反応がない
・痙攣が起こる
・うなされる
・おびえる
・おかしなことを言う

■ 気管支炎、肺炎
インフルエンザによって気道の抵抗力が落ちるため、ウイルスや細菌に感染して肺や気管支に炎症が起きます。

症状)
・ぼーっとしている
・発熱が続く
・激しい咳、痰をする
・倦怠感がある

■ 急性中耳炎
インフルエンザによる二次感染により、中耳炎が起こることもあります。

症状)
・熱が続く
・機嫌が悪い
・耳をさわられると激しく嫌がる
・耳を気にする
・耳だれが出る

■ 39度以上の高熱
6歳未満の子どもでは、39度以上の高熱がみられることが多いです。発症から3日目で熱が下がり、1週間程度で治癒することが多いですが、再び高熱になる場合は二次感染が疑われますので早めに受診しましょう。

■ 嘔吐・下痢
6歳未満で3人に1人くらいに嘔吐や下痢がみられます。

65歳以上の高齢者


インフルエンザの高齢者

■ 高熱の症状が出ない
65歳以上の高齢者は、発熱時の最高体温が低いことが多いとされ、高熱の症状が出ないことがあります。

■ 重篤化するリスクが高い
高齢者がインフルエンザに感染してしまうと、重症化しやすいことがわかっています。積極的な予防に努めましょう。

持病がある人


喘息持ちの方

呼吸器や心臓に持病がある人は、肺炎を起こして死に至る可能性もあるため、積極的に予防接種を受けましょう。

特に、下記のような持病をお持ちの方は、症状が重篤化するリスクが高いため、インフルエンザの予防に励み、周りの人に移されないようにしましょう。



  • 慢性呼吸器疾患

  • 慢性心疾患

  • 糖尿病などの代謝性疾患

  • 腎機能障害

  • ステロイド内服などによる免疫機能不全




(参照元:厚生労働省)

妊娠中の人


妊婦さん

妊婦さんがインフルエンザに感染した場合、お腹の赤ちゃんを考慮してインフルエンザ治療薬の使用を控えることがあります。

免疫力の弱い妊婦さんがインフルエンザに感染してしまうと治りづらいため、事前に予防接種を受けることをおすすめします。

授乳中の人


妊婦さん

基本的に、インフルエンザの予防接種が母乳を通じて赤ちゃんに影響を与えることはないと考えられています。赤ちゃんからインフルエンザウイルスを遠ざけるためにも、積極的に予防接種を行うようにしましょう。

インフルエンザの予防法

手洗い、うがい


うがい手洗いの順番

外出後は手洗いうがいをしましょう。外でついたウイルスを体内に入らないように洗い流すことで、体内へのウイルスの侵入を抑えることができます。家族や同居する人がいる場合は、みんなで「手洗い、うがい」を習慣化してインフルエンザ予防をすることが大切です。

マスクをする


マスク

インフルエンザは飛沫感染でも感染してしまうため、マスクをすることは多少の感染予防になります。同時に、自分の咳やくしゃみの飛沫から他人に感染するのを防ぐ効果もあります。

栄養と休養をとる




免疫力が低下するとインフルエンザにかかりやすくなるので、休養をしっかり取り、体力をつけて抵抗力を高めることで感染しにくくなります。また、インフルエンザが流行っているときには、必要以上の外出を控え、ウイルスを寄せ付けないようにしましょう。

適度な湿度を保つ




喉や鼻の中が乾かないように、加湿器などで室内の適度な湿度を保つことが大切です。適度に換気をして、新しい空気を入れるのもよいでしょう。
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