子どもの皮膚トラブルで多いのが「湿疹」ではないでしょうか?
汗や乾燥などの要因もあるのですが、大人と子どもの皮膚は違うので、ケア方法も注意しなければなりません。
今回は、子どもの湿疹で考えられる病気、正しい皮膚の洗い方、湿疹の予防対策を、医師の竹中先生に詳しく解説していただきました。
目次
子どもに湿疹ができやすいのはなぜ?
子どもの皮膚は大人に比べて、約2分の1と言われるほど薄く、周りの環境に左右されやすいという特徴持っています。
しかし、汗腺は大人とほぼ変わらないので小さな体積で同じ汗をかく分、肌が汗ばんだ状態になりやすかったり、肌が薄いために乾燥しやすく、大人に比べて湿疹ができやすくなります。
子どもの湿疹ができやすい部位
汗が溜まりやすい部位
・関節
・手足
・顔
乾燥しやすい部位
・首
・顔
子どもの湿疹で病院に行く判断基準
子どもがかゆがり、掻いているようであれば、早めに受診されるべきです。傷ができたり、血が出るほど掻きむしっているようであれば、そこから二次感染など、症状がひどくなることもあるので早急に受診するべきと思います。
湿疹が出ていなくても、乾燥で少しカサカサしている時に、症状が進行するのを待つのではなく、予防のために相談するために受診されるのも良いでしょう。いずれにしろ、何か異常がある場合は市販の薬を迷いながら使うより、きちんと診てもらいましょう。
子どもの湿疹で多い病気
皮脂欠乏症性湿疹
皮膚の乾燥からバリア機能を失った日風に様々な細菌やウィルスが付着しそこからかゆみを生じます。最初はかさかさとしたような肌ですが、次第にかゆみが増してくると掻きむしることによる傷がさらなる湿疹の原因となります。
皮脂欠乏性湿疹は、乾燥を防ぐことにより予防することができるので、しっかりとした保湿が1番の対処法です。
もしかゆみや湿疹まで出てくるようであれば、保湿だけでは間に合わないケースが多いためできるだけ早く病院に行って診てもらうようにしましょう。
脂漏性皮膚炎
症状としては、頭や顔面に多く出るニキビのようなブツブツとしたようなデキモノ、フケ、かゆみが挙げられます。
老人や赤ちゃんに多く、分泌する皮脂が多いとそれを餌とするカビが発生して皮膚の炎症を起こします。こまめにシャンプーや石鹸を使用し、清潔に保つようにしましょう。
アトピー性皮膚炎
もともとのアレルギー体質も大きく関係しますが、赤ちゃんの頃からほっぺや体の中心部分を中心に湿疹を繰り返している場合は、アトピー性皮膚炎の可能性もあります。
適切な治療が必要ですが、保湿だけでも随分と症状が軽くなるために、日頃からしっかりと洗って保湿をすることが大切です。
汗疹(あせも)
汗をかきやすい部分、例えば首や背中四肢の関節にできやすい湿疹で、汗を拭きとらずそのまま放置しておくと、その汗が原因で皮膚が荒れてしまうのが汗疹です。
強いかゆみを掻きむしることでさらに皮膚の状態が悪化するので、汗をこまめに拭いたり着替えをしたりすることが必要です。汗をかいたらできるだけ早く、入浴またはシャワーを浴びることがおすすめです。
蕁麻疹(じんましん)
30分から1時間の間に消失する、比較的短時間で消えてしまうかゆみのある膨隆疹です。アレルギーのものを摂取することや触れることで全身どこにでも膨らんだような赤い膨らんだ湿疹ができます。たとえ30分とは言え猛烈なかゆみなので、お子様の場合大抵掻きむしってしまいます。
アレルギーの原因は約7割原因不明と言われておりわかっている3割のものでも食物昆虫花粉日光また感染症の場合、寒暖差、例えば入浴前後などに起こることもあります。
その他にはストレスや運動誘発による蕁麻疹もありますので、もし蕁麻疹が出た場合にはしっかりと原因の追及が必要ですので必ず受診されてください。
接触性皮膚炎
オムツかぶれや合わない繊維を長い時間身に付ける、または冷却シートを貼っていた後に、かぶれたり湿布や咳止めテープでかぶれたりする湿疹のことを接触性皮膚炎といいます。
かぶれの事ですが、原因を取り除いても良くならない場合は必ず皮膚科の先生または小児科の先生の情報が必要です。ひどい場合には受診をされた方がよいです。
小どもの湿疹は何科を受診すれば良い?
小児科の患者さんの約7割は皮膚疾患も合併している状態でいらっしゃいます。よくお母様方から「小児科に行けば良いですか?」「皮膚科に行けば良いですか?」という質問をよく受けますが、とにかく医師に見せるということが大事です。
どちらの科でも治してもらえますが、より専門的な知識がいる場合には、「小児皮膚科」の得意な先生を受診されるのが良いでしょう。
子どもの皮膚の正しい洗い方
子どもの皮膚は、石鹸を使わなくても良いのではないかという質問をよくいただきますが、それは大きな間違いです。私たちも、1日のうちに顔をお湯だけで洗うとなんだか気持ちの悪い感じがしますよね。
お子様の場合でもそれは一緒で、1日汗を掻いたりホコリにまみれたり砂遊びをしたり、そのような状況で石鹸を使わずに汚れを落とすと言うのは少し難しいと思います。
しっかりと泡立てた石鹸で全身を洗うようにしてください。そして洗い流す時には布など使うのではなく素手でしっかりとぬめりを落としてあげることが大切です。
受診されるお子さんの中で、よく流し残しで皮膚トラブルになるお子様が多いのが現状です。しっかりと素手で流し消えたかどうかを確かめてあげてくださいね。
子どもの湿疹を予防するには?
乾燥対策
乾燥は肌のバリア機能を弱めるためそこからアレルギー源が体内に侵入しアレルギーが起こると言うふうに言われています。乾燥対策はそれだけでも子どもの皮膚トラブルの90%以上をなくすと言われているほど大切な予防対策です。
何をして良いかわからない場合には、肌を清潔にすること、そしてまずは乾燥対策をされるのが1番大切です。
洗浄
乾燥対策をする次に大切なのがしっかりと洗浄することです。
しかし、最近では洗浄成分が強すぎて乾燥するお子様も増えていますので、きつすぎずお肌に優しい成分を選ぶようにしましょう。そしてお風呂の時には必ず石鹸を使って洗い流すようにしてください。
長時間のオムツ着用をしない
オムツだけに限らず長時間暑い中でもダウンコートを着るなど、冬場にあせもができやすい環境が最近では多いように感じます。
おむつも値段が高いからと何回か排泄して捨てるのではなく、赤ちゃんも排泄したままのものを身に付けておくのは非常に不愉快なので、1回ずつこまめに変えてあげましょう。
余計な成分を肌につけない
お子様の肌トラブルで多いものの中に接触性皮膚炎が上位にランクインします。これは最近流行のフェイスシールやフェイスペイントなどで起こることが多いです。
必要ない時は極力余分なものをつけるのは避けましょう。そして日焼け止めなどでもかぶれる方がいらっしゃいますので、成分が子どもでも大丈夫なものかどうか大人が確かめてあげる必要があると思います。
最後に竹中先生から一言
私も子どもを育てながらたくさんの皮膚のトラブルに悩まされました。皮膚トラブルは生まれてすぐの中毒疹から始まり人生長い間何度も、いろいろな湿疹や皮膚の反応に出会います。
しかし、そのな皮膚の反応は生きていく上でとても大切な体から出るサインなので、慌てるのではなくちゃんとした診断を受けることが大切です。ささいなことでも不安がある場合には必ず医師を受診して、自己判断で治療しないようにしましょう。
皮膚の反応は全身の反応と思って対応してちょうどいいと思います。アレルギーも皮膚のバリア機能が低下してから起こることを理解すれば、いかに皮膚の清潔保湿をしっかりしなければいけないかということが分かります。
日々のケアが湿疹を少なくしますので、毎日お子様をしっかりと観察してあげて下さいね。
プロフィール
- 監修:医師 竹中 美恵子
- 広島大学附属幼稚園小学校中学校高等学校卒業 金沢医科大学卒業 平成23~28年 広島市民病院 小児科 神経小児科 平成28年12月~女医によるファミリークリニック 院長 日本小児科学会、日本小児神経学会、日本リウマチ学会、日本周産期新生児医学会 、日本アレルギー学会、日本小児皮膚科学会所属。 日本周産期新生児医学会認定新生児蘇生法専門コース取得。 小児慢性特定疾病指定医、難病指定医、子どもの心相談医、キレーション認定医。 レインボータウンFM 上野淳の東京夜会、広島ホームテレビ 子育て応援団、GINGER、25ans、週刊ポスト、えんじいな、広島そごう子育てコーナーコラム担当等 多数雑誌、テレビ、ラジオのメディアに出演。