関東以西では、スギ花粉の飛散が徐々に収まりつつありますが、入れ替わるようにヒノキ花粉の飛散が急激に増加しています。
また、2018年は昨年に比べてヒノキ花粉の量が43倍にのぼるとの報道も出ています。
やっとスギ花粉の悪夢から解放されたと思ったら、休む間もなくヒノキ花粉に襲われてはたまったものではないですね。
今回はこの気になるヒノキ花粉について、医師に解説していただきました。
ヒノキ花粉はいつからいつまで?
スギ花粉は2月から5月上旬にかけて飛散するのに対し、ヒノキ花粉は約1か月遅れて3月から5月中旬にかけて飛散します。
スギと同様、北海道と沖縄を除く、九州から東北にかけて広く飛散しています。
各地域の飛散状況については環境省花粉観測システム「はなこさん」のホームページなどで確認できます。
ヒノキ花粉の飛散状況(4月5日現在)
ヒノキ花粉症の症状は?
ヒノキ花粉症に特有の症状があるわけではなく、症状はスギ花粉症と同様です。
主な症状としては、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎症状や、目のかゆみ・涙・目やに・充血といったアレルギー性結膜炎症状が見られます。
スギとヒノキの花粉症を併発するとどうなる?
スギ花粉症とヒノキ花粉症の両方を持っていると、スギ花粉の飛散がおさまる5月上旬を過ぎても症状が続きます。スギとヒノキ両方が飛散している時期には、より症状が強くなる場合もあります。
アレルギー症状が続くと、体力も消耗し、アレルギー性鼻炎に伴う副鼻腔炎を起こすなど、症状が重複し複雑になっていく場合があります。
ヒノキ花粉以降にも花粉はある?
地域によっても異なりますが、4月から10月にかけてはイネ科、5月から8月にかけてはカモガヤ、8月から10月にかけてはキク科(ブタクサ・ヨモギ)、10月から12月にはセイタカアワダチソウ、1月から3月にかけてはハンノキが花粉を飛ばします。
また、北海道では上記のような植物の花粉が少ないものの、5月ごろシラカバ花粉が見られます。
つまり、年間を通して花粉は飛んでいます。ただ、スギ・ヒノキ以外の植物であれば、花粉が飛散するのは周辺数十メートルが中心となることが多く、群生地を避ければ影響を少なくすることができます。
スギ・ヒノキの花粉は風に乗って数十キロメートルの範囲に花粉を飛ばすため、都会でも逃れることができないのです。
花粉症の症状を和らげるポイントは?
花粉症の対策としては、花粉が飛ぶ時期にできる対策と、それ以外の時期に行う備えがあります。
花粉が飛ぶ時期にできる対策
花粉が飛ぶ時期には、体内に花粉を入れない(抗原回避)ための工夫が必要です。
花粉が飛散量が多くなる日中(午前11時から午後3時ごろ)の外出や換気を控え、外出時は眼鏡・マスク・帽子を使用します。なるべく花粉が付きにくいツルツルした材質の衣服を選び、家に入る時には髪や服をはたき、うがい・洗顔をするとよいでしょう。
また、屋外の洗濯物・布団干しを控え、フィルター付きのエアコンや空気清浄機を使用することも効果的です。
来年から試したい、花粉が飛ぶ前の対策
毎年自分がいつごろから症状が出るかを覚えておき、その数週間前(症状がない時期)から、抗アレルギー薬の内服や点眼・点鼻を行うことで、ピーク時の症状を抑えることができるといわれています。内科、耳鼻科、アレルギー科、眼科などで相談しましょう。
また、花粉が飛んでいない時期に、減感作療法と呼ばれる治療を行い、少しずつ花粉の成分を体内に取り込ませることで、アレルギー反応を起こりにくくする治療法もあります。
注射もしくは口の中に花粉の成分を入れる治療法(舌下免疫療法)もあり、これは子供でも行うことができます。ただし、この治療法は数年間継続して治療を行う必要があります。
また、鼻粘膜に対する手術を行うことで花粉症の症状を軽減させることもあります。
最後に医師から一言
日本では戦後、木材資源を作る目的でスギやヒノキを植林し、現在では日本の森林面積の10%をスギ・ヒノキ人工林が占めています。スギは日本特有の木であり、スギ花粉症が問題となっているのは日本だけといわれています。
花粉飛散量が従来のスギの1%程度という少花粉スギが開発されており、スギを伐採し少花粉スギや広葉樹を植林する転換が行われているので、今後は改善していくかもしれません。
我々も個人でできる対策を行っていくことで、少しでも春~初夏を快適に過ごせるようにできるとよいですね。