感染しても軽症で済む人が多い一方で、急激に症状が悪化して亡くなる人もいる新型コロナウイルス感染症。
どのような人がリスクが高く、どういった対策を取ればいいのかについて、実際の症例を振り返りながら解説します。
目次
新型コロナが重症化するとどうなる?
新型コロナウイルス感染症の症状は、1週間前後の発熱や呼吸器症状(咳や喉の痛み)、強いだるさを特徴としています。
感染しても約8割の人は軽症・無症状で治るとされています。
一方、残り約2割の人には重症化する傾向が見られます。
新型コロナウイルスの症状が出てから5~7日以内に呼吸の状態が急速に悪化し、重症肺炎に至る人、亡くなる人もいます。
新型コロナウイルス感染症への対応について(高齢者の皆さまへ)
重症化リスクが高まる要注意の基礎疾患(持病)とは?
これまでに明らかになっている範囲で、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高いとされているのは、以下のような人々です。
・高齢者
・喫煙歴の長い人
・生活環境や病気、内服薬の影響によって免疫力が弱まっている人
・高血圧の人
・糖尿病の患者
・心不全の症状がある人
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の患者
なお、現状では妊婦についての重症化リスクは指摘されていませんが、肺炎を起こした場合は妊娠していないときと比べて重症化しやすいとされており、注意が必要です。
新型コロナ重症化には性別や年代も関係あり?
中国・武漢の複数の病院において、新型コロナウイルス感染症による肺炎で死亡した患者168人のうち、126人(75.0%)が男性でした。
また、死亡患者を年代別に見ると、50歳以上が161人(95.8%)を占めました。
125人(74.4%)には基礎疾患があり、高血圧(84人、50%)、糖尿病(42人、25%)、虚血性心疾患(31人、18.5%)の順に多かったとされています。
性別によって重症化リスクが違うのかどうか、また、本当に違うのであったとしても、その原因は今のところ不明です。
ただ、ホルモンや喫煙者割合などが関係しているのではという意見もあります。
新型コロナ症状が悪化して死亡した人の割合(致死率)は?
2020年5月13日時点で、国内の新型コロナウイルス感染症の患者は約16000人となりました。
そのうち死亡者は668人で、死亡率(致死率)は4.1~4.2%ほどです。
なお、WHO(世界保健機関)のデータによると、全世界の感染者数(同日付)は約417万人で、死亡者は約28万7000人、死亡率は約6.9%となっています。
新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年5月13日版)
WHO Coronavirus disease (COVID-19) Pandemic
重症化リスクには徹底した予防対策を
高齢の人や持病のある人は、徹底した予防対策を行うことが大事です。
マスクの着用や手洗いはもちろん、3密(密閉空間、密集場所、密接場面)に行くことは避けましょう。
少しでも体調が良くないと感じたら外出しないようにしてください。
また、腸の免疫を整えるヨーグルトなどを取り入れた栄養バランスのよい食事も重要です。
日頃から軽い運動や口腔ケアなどを怠らずに健康を維持するように心がけてみてください。
プロフィール
- 監修:医師 武井 智昭
- 慶応義塾大学医学部で小児科研修を修了したのち、 東京都・神奈川県内での地域中核病院・クリニックを経て、現在、高座渋谷つばさクリニック 内科・小児科・アレルギー科院長。 0歳のお産から100歳までの1世紀を診療するプライマリケア医師。