新型コロナウイルス感染症の症状や治療に関する知見も集まってきたことから、厚生労働省は医療現場での対応の方向性を示した「診療の手引き」を改訂しました。
そこで新しく記載されたのが、合併症としての血栓症の危険性です。血栓症とはどんな病気で、どのようなリスクを高めるのかを説明します。
新型コロナ「診療の手引き」改訂の注目ポイントは?
改訂版「診療の手引き」では、新型コロナウイルス感染症の概要や治療の流れなどを説明するとともに、症状による重症度の分類(軽症・中等症・重症)の基準も定めました。
画像引用:厚生労働省『新型コロナウイルス感染症 診療の手引き第2版』
そしてもうひとつの注目ポイントが、「血栓症との合併の危険性」が指摘されたことです。
軽症者に突然死が起きるのは血栓症の影響?
国立感染症研究所がまとめたデータを見ると、重症者や亡くなった方の割合は圧倒的に60歳以上で多くなるとされています。
しかしその一方で、若い患者が脳梗塞を起こしたり、経過観察中の軽症患者が突然死亡したりする事例がありました。
改訂された診療の手引きでは、これらの突然死に血栓症が関係しているとの可能性が指摘されています。
そのため、新型コロナウイルス感染症の症状は軽症であっても、血液の中にどの程度の固まりがあるのかを調べる検査を行い、血栓症が進行する前に血液をさらさらにする抗凝固薬を使うなどの治療を推奨しています。
命にかかわる病気の引き金に…血栓症とは?
血栓症とは、何かの原因によって血管の中に血のかたまり(血栓)ができて、それによって血管が詰まってしまう病気です。
血流がストップしてしまうと、その先にある臓器などが正常に働くことができなくなり、さまざまな症状が出てくることになります。
血栓症によって引き起こされる病気
動脈に血栓ができることによって引き起こされる病気として有名なのは、心筋梗塞や脳梗塞です。
静脈の場合はエコノミークラス症候群(肺塞栓症)が挙げられます。
まとめ
新型コロナウイルス感染症の世界的流行が続く中、未だそのウイルスや病気については未知の部分が多いといえます。
また、軽症だと見られていた患者でも、突然症状が悪化することもあります。
「診療の手引き」改訂によって新たに加えられた血栓症に関する注意点も、しっかりチェックしていくようにしましょう。