大動脈解離の症状

大動脈解離になると、血管が裂けている場所に、突き刺さるような鋭い強い痛みが生じます。例えば、胸の血管が裂けてしまうと胸痛や背部痛、腹部の血管が裂けると腹痛や腰痛などです。

大動脈から血管が枝分かれする部分に病変が及ぶと血の巡りが悪くなり、臓器に血液が届かなくなる場合もあり、脳梗塞など色々な臓器の梗塞が引き起こされることがあります。

大動脈解離が心臓の出口である大動脈の根本まで進行すると、大動脈弁が壊れ心臓から出た血液が逆流してしまいます。すると心臓への急激な負担によって、急性の心不全に陥ります。

また、血管の裂け目から大動脈が破裂することがあり、その場合は血圧が下がりショック状態になったり、心臓の動きを妨げたりして、最悪の場合は死に至ります。

大動脈解離の原因

大動脈解離は、大動脈の内膜に傷ができることから発症します。

内膜に傷ができやすい最大の理由は、高血圧と考えられています。

高血圧によって血管に高い圧がかかることで、内膜に傷ができやすい環境となります。

その他には、マルファン症候群、エーラス・ダンロス症候群、ターナー症候群や梅毒など、血管の壁が弱くなってしまう病気に併発しやすいとされています。

また、妊娠することで、母体内に増えたホルモンによって大動脈の壁に変化が起きます。特に妊娠後期と出産後に少し発症しやすくなると考えられています。

交通事故によるハンドル外傷や、高いところから飛び降りた際の外傷なども、間接的な衝撃が大動脈に加わり、解離を引き起こす場合があります。

大動脈解離の治療法

高血圧が原因となる場合が多い疾患のため、日常的に血圧の管理を行うことで予防につながります。

特に糖尿病や高脂血症を患っている人は、動脈硬化を起こしやすいため、血圧のみならずコレステロールや血糖値の食事や運動による管理も忘れてはなりません。さらに、アルコールの摂取や喫煙の習慣も見直すことで、予防につながります。

大動脈解離の治療は解離を起こした部位により異なります。

心臓の近くまで解離が及んでいる場合には、致死率が高く、緊急での手術(大動脈を人工血管に置き換える)の適応となります。

一方、心臓から離れた部の解離では、緊急手術は必要なく、厳重な血圧管理と安静が必要となります。