甲状腺腫瘍とは
甲状腺腫瘍とは、甲状腺にできる腫瘍のことを指します。良性のもの、過形成によるもの、悪性のものに分類されます。良性でも甲状腺ホルモンを分泌する機能を有する場合には手術で切除が行われます。甲状腺がんは、進行の遅い乳頭がんから、進行の早い未分化癌まで様々なタイプに分類されます。
甲状腺腫瘍の症状
甲状腺腫瘍の症状は、特にないことも多いですが、大きな腫瘍では甲状腺の一部または全体が腫れて、首の腫れとして自覚されることがあります。甲状腺の腫瘍は良性の場合が多く、代表的なものが腺腫と呼ばれるものです。甲状腺の左右どちらかに、しこりができるのが特徴で、女性に多く、小さなしこりから大きなしこりまでサイズはさまざまです。また良性のしこりが多発することがあり、腺腫様甲状腺腫と呼ばれます。
悪性の腫瘍の場合は、がんや悪性リンパ種が疑われます。がんには乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がんなどの種類があります。乳頭がんや濾胞がんはがんの中では頻度が高く、非常におとなしい性質のことが多いものです。一方未分化がんは非常に珍しいものですが、とても進行が早いという特徴があります。悪性の場合、症状としては、腫瘍が大きくなると、食べ物を飲み込みづらい、声がかれる、息苦しい、などの症状も出てきます。
甲状腺腫瘍の原因
甲状腺腫瘍のはっきりとした原因はまだ解明されていません。放射性ヨード摂取による放射線被曝は甲状腺がんの発症率を高めることが知られていますが、通常の生活での被曝では発症率が高まる心配はないでしょう。
また、甲状腺がんのうち、髄様がんというタイプの場合には遺伝性があり家族内発症が見られることがあります(多発性内分泌腫瘍症2型)。
甲状腺腫瘍の治療法
甲状腺腫瘍は、その原因も不明なことが多く、予防法も確立されていません。がんの一般的な予防としては免疫力を高めることです。栄養バランスに気を付け、規則正しい生活を送り、飲酒は控えめに、タバコはやめることが大切です。甲状腺腫瘍の治療は、まず良性であった場合は、サイズが小さければ経過観察で問題ありません。サイズが大きかったり、症状がある際には手術を行うこともあります。
一方、悪性であった場合には、乳頭がんあるいは濾胞がんの治療は手術による切除が基本です。肺や骨などに転移がある場合には、甲状腺切除術後に放射性ヨード内服による治療が効果的です。
髄様がん、未分化がん、悪性リンパ腫では病変の進行度に応じて手術や放射線治療、化学療法などを単独あるいは組み合わせた治療が行われます。
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